MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

一学95 ミワラ<美童>の然修録 R3.6.13(日) 朝7時

#### 一学サギッチ「明治まで続いた{諫言|かんげん}。{格物|かくぶつ}の解釈で二分する儒学」然修録 ####

 スピアからの要望……というより、身勝手に振り出された宿題! その、〈**天然の要約**〉とやらに{挑|いど}む。〈道〉の正し方に{纏|まつ}わる異文化を、比較しながら説けだとォ? 学者が宜しいような多様な読書を、おれに振りやがったなーァ?!
   少年学年 サギッチ 少循令{猛牛|もうぎゅう}

 一つ、学ぶ。

      《 {主題と題材とその動機|モチーフ} 》

   【 {主題|テーマ} 】

 〈道〉の正し方。
 
   【 {題材|サブジェクト} 】

 一に、我が国明治期まで続いた諫言の効用。
 二に、大陸で儒学を二分した格物の解釈。

   【 その{動機|モーティブ} 】

 言わずもがな、スピアの野郎の然修録!
 「本当は、道のことより、その〈構え〉のほうに、興味がある。その構え方によって、正し方が変わってくるからだ。この正し方についても、大陸と我ら海洋の中の一国一文明とでは、{趣|おもむき}を{異|い}とする……云々」

 で、諸般の事情により、その〈正し方〉の趣とやらを、書くことにした。これにより、おれの興味のほうは、棚に上げることに相成った……まったく!

      《 題材の{講釈|レクチャー} 》

   【 一に、我が国明治期まで続いた諫言の効用 】

 先ず、諫言の意味。
 主君。今で言えば、社長や上司……の命令や行いが、(理不尽!)と感じられたり、{常軌|じょうき}を{逸|いっ}した姿に見えたとき、それを{諫|いさ}め、思い改めてもらえるように働きかける行為……それが、〈諫言〉という言葉の真意だ。
 武士道の世界では、この諫言は、義務でもある。主君や上司の命令に{背|そむ}いてでも、反対の態度を貫く。これを、忠義という。
 逆に、不本意を殺して、{唯々諾々|いいだくだく}と上司の命令に従ったり、わがまま放題の職権乱用{或|ある}いは{怠慢|たいまん}を見て取って気づきながらも、無関心を決め込んで無難に迎合しようとするその態度は、武士道にあるまじき、恥じるべき最たる{自堕落|じだらく}と見なされる。

 確かに、我が身や愛する家族のことを考えれば、諫言は、無益である場合が多い。それどころか、反逆者、危険人物、変人扱いをされて、仲間外れ、いやがらせ、左遷、不当解雇が、オチである。

 こんな{諺|ことわざ}がある。
 「直諫(直接的な諫言)は、一番{槍|やり}より{難|がた}し」
 戦国の世……真っ先に戦場に駆けつけて、敵陣に一番槍を入れるというのは、その過程の困難も{然|さ}ることながら、その決行で命を落とすこと、必定の{如|ごと}し。
 されど、その決死の覚悟は、末代まで、親族や{後裔|こうえい}たちの誇りとして、語り継がれることだろう。
 対して逆に、直諫はどうか。
 汚名を着せられて、手打ちとなり、家族親族そして末代に到るまですべての後裔たちに、差別や{罵|ののし}りに{堪|た}えることを{強|し}いることと相成ろう。

 江戸期や明治期に生きた我らが源流、旧態日本人と、その源流から{逸|そ}れてしまった現代の電脳狂いの文明人……。そのそれぞれ……彼ら彼女たちは、一体全体、どちらの態度を選ぶであろうか。
 {況|いわん}や! 言わずもがなであろう。

 ここで、特筆すべき、史実がある。
 『{葉隠|はがくれ}』だ。
 この諫言の{摂理|せつり}と効能を、見事に説いてくれているのが、この『葉隠』という書なのだ。
 {斯|こ}う言う。
 「主君の{御心入|おんこころいれ}を直し、御国家を固め申すが大忠節」……と。
 上司が言うがままに{所謂|いわゆる}〈従うだけ〉の腰抜け野郎は、武士道に{於|お}いては論外……{即|すなわ}ち、現代{既|すで}にこの諫言という武士道文化は、「まさに、{亡|ほろ}びたり!」と、言わざるを得ないということだ。

 では、いつごろまで、この諫言という武士道文化が息づき根づいていたのだろうか。
 明治政府の官僚たちの基本法で、「{官吏|かんり}服務規律」というものがあった。その第二条に、斯うある。
 「官吏はその職務につき本属長官の命令を{遵守|じゅんしゅ}すべし。但しその命令に対し意見を{述|のぶ}ることを{得|う}」
 これ、まさに諫言のことではないかッ!
 ここで言う「意見」というのが、まさに諫言なのだ。
 しかも、「一番槍より難し」とまで言わしめたこの諫言の実践者に対しては、処分されたり不利益を{蒙|こうむ}ったりしないように、法の下でその聖職足るを知る者を護っていたという{訳|わけ}だ。
 なんと! 見上げた民族……。

 ところがどっこい!
 この「官吏服務規律」第二条に相当する今の法律……「国家公務員法」第九十八条。
 {斯|こう}うある。
 「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」
 以上。
 ダメじゃん!
 まさに、上司が言うがままに従うだけの腰抜け野郎! 「そうなれよッ♪」と、法律で規定している。官僚一人ひとりの自立した意見を上司に物申すことは、法律で禁じられているということだ。
 上司の命令に対する批判を禁られ、絶対服従を{強|し}いられ続けると、その組織の人間たちは、どうなるか……。
 言わずもがな、心は荒廃し、怠慢が常となり、{挙句|あげく}は、{賄賂|わいろ}のような不正が、蔓延してしまう。
 我が国の民が、分化退化の一途を辿っている{所以|ゆえん}の一つが、ここにあるのだ。

 それでも、民間の社会に於いては、「納得できない{措置|そち}や下命があったならば、{忌憚|きたん}のない正直な意見を、述べるべし」……とする企業も、無いではない。
 但し、それを言葉どおりに真に受けて、諫言もどきの言動をしようものなら、窓際への転属、左遷、挙句は解雇にまで繋がってしまう。
 その事実、現実、実態に気づいたその日から、社員たちは、口をつぐむ。そして次第に、その組織は、消極的な風潮が蔓延し、活力は減退……組織の本来{在|あ}るべき〈姿〉は、沈滞という誤った〈道〉でしか、見かけられなくなってしまう。

 ここで、ワタテツ先輩がオオカミ先輩に贈った言乃葉……然修録にあった「職分への全力傾注{云々|うんぬん}」が、意味を成してくるのだと思う。

   【 二に、大陸で儒学を二分した格物の解釈 】

 大陸の儒学に於いて「道を正す」と言えば、まさにズバリ! 〈格物〉である。この格物を説いた偉人が、二人{居|い}た。一人は、寺学舎の座学でお馴染み、陽明先生こと王陽明。もう一人が、朱子(朱先生)こと、{朱熹|しゅき}だ。
 この二人、〈格物〉の解釈を、決定的に{違|たが}えてしまったのだ。我ら{美童|ミワラ}の{所謂|いわゆる}教科書、{息恒循|そっこうじゅん}は、どちらの論を{汲|く}んだのか……その、結論。
 字義に{順|したが}った陽明先生の解釈を、汲んでいる。
 その、字義とは……。

 格の偏は、〈木〉。
 木は、高く真っ直ぐに伸びなければならない。その木に{譬|たと}えられるものは、決まり、基準、規則、{高次|こうじ}と呼べるような様々な高度なるもの……等など。

 物の偏は〈牛〉で、{旁|つくり}は〈勿〉。
 ここは、少々難解!
 〈いろいろな色の混じった牛〉と、いう意味らしい。「牛に{勿|なか}れ」と、読めるからだろうか。そこは、{兎|と}にも{角|かく}にもと、ひと先ずは思うことにする。大事は、そこではないのだ。
 最も大事とするその意味は、〈不揃い〉だ。
 {現|うつつ}で目に見える〈物〉すべてが、〈不揃い〉であること。それを、示している。{順|したご}うて〈格物〉の意味は、「不揃いな現実を、真っ直ぐにする」と、相成る。

 息恒循では、この字義を基に展開された陽明先生の解釈に{倣|なら}って、{斯|こ}う説いている。
 「{物|ブツ}は己、格は正す。{故|ゆえ}に、己を正す。{延|ひ}いては、己の天命までをも、{格|ただ}す」
 生まれもって授かった天命ですら、長い運命の{道程|みちのり}の間には、諫言を浴びてしまうような不揃いな論が、見えてくることもある。{況|いわん}や! それも、正さねばならぬ……と、いうことだ。

 対して、朱先生とやら……これを、{如何|いか}に解釈して、異なる論を説いたというのだろうか。
 斯うである。
 「格は、{至|いた}るなり」
 それを指す語録が、これ。
 「事物の理を{窮|きゅう}至して、{其|そ}の極{處|しょ}{到|いた}らざるなきを欲するなり」
 〈窮〉の意味は「きわめる」であり、〈處〉は処する……即ち、行いのことだ。
 つまり〈格物〉とは、「本質に至ることを欲す」という意味であり、学問の目的という狭義に{於|お}いては、無難というか……正論の教科書のように思える。
 この正論足るを〈究理〉と言い、朱先生は、主知主義者と呼ばれたそうだ。 

      《 {蛇足|スーパーフルーイティ} 》

 スピアの野郎のご要望に応えて書いてはみたが……果たして、その「天然の要約」とやらに、仕上がっているだろうか。
 ところで、おれもスピア同様、一つ言わせてもらう。
 本当は、〈天然の要約〉なんかより、「{如何|いか}にして貧乏を{糧|かて}にするか」について、書きたかった。

 スピアから振り出された宿題の答案……以上!

_/_/_/ 要領よく、このメルマガを読んでいただくために……。
Ver.,1 Rev.,7
https://shichimei.hatenablog.com/about

// AeFbp // 東亜学纂学級文庫
The class libraly of AEF Biographical novel Publishing