#### 一学ヨッコ「本質を見抜く人が{居|い}る。{所謂|いわゆる}眼力。その能力とは」然修録 ####
『洞察力とは、どんな能力なのか』 《人間界の洞察と、自然界の照見》《洞察の宝庫、松下幸之助翁》《洞察の宝庫には、何が入っているか》
門人学年 ヨッコ 青循令{飛龍|ひりゅう}
一つ、学ぶ。
**{主題と題材と動機|モチーフ}**
《 {主題|テーマ} 》
洞察力とは、どんな能力なのか。
《 その{題材|サブジェクト} 》
人間界の洞察と、自然界の照見。
洞察の宝庫、松下幸之助翁。
洞察の宝庫には、何が入っているか。
《 この主題と題材を選んだ{動機|モーティブ} 》
ムロー学人の然修録……。
ムローさんが書くそれは、{直接的|ストレート}と言えば聞こえはいいけれど、要は、結論を{急|せ}いているだけだと思う。
貧乏人は、発奮して、寝るところを半分にして、大努力せよォ? そう、読めなくもないよねぇ?
では、そうすれば、{即|すなわ}ち、大努力をしさえすれば、すべての貧乏人が、偉人になれるのか……。
もしそうなら、〈石を投げれば、偉人に当たる!〉ような世の中になっていなければ、おかしいっしょ!
{況|いわん}や! 貧乏人は、大概、大努力をしなければ、生きてはゆけないのさ。
(じゃあ、その中の一握りしか偉人になれないのは、{何故|なにゆえ}なのか……)と、あたいは、そう思ったという{訳|わけ}だ。
**題材の{講釈|レクチャー}**
《 人間界の洞察と、自然界の照見 》
{洞穴|どうけつ}……{未|いま}だ見ぬ真っ暗闇の謎めく秘密の場所、察するに……「そこに、お宝ありやッ!」と、{閃|ひらめ}く。
……と、{字面|じずら}から察するに、洞察とは、そんな意味だろうか。これが、もし本当に洞察力というものなら、同時に、何やら、超能力めいたものも感じられてくる。
そこを、超能力ではなく、人間力めいたものを感じさせる言葉に、〈照見〉というものがある。こちらは、実際に懐中電灯で照らして、洞穴の中を〈見透かす〉という意味に読めるので、「超能力は、必要なし!」と、いう{訳|わけ}だ。
その、照見……。
超能力の臭いがしない分、現実的で、馴染み易い?
でも、それじゃあ、〈洞察力〉に、ならないじゃん!
……と、思ってしまいそうなところだが、実は、そうでもない。
この照見をした観音さまは、〈五{蘊|うん}皆空〉という悟りを、開いた。
「人間の営み……働きは、みなすべて、空っぽだッ!」と、まァ、そんな意味らしい。でもこの悟りが、宇宙大自然の変化の大原則なんだそうだ。
宇宙大自然という真っ暗闇の巨大にして広大な洞穴を、見透かす能力……どうやら、この〈照見〉ってやつも、洞察とほぼ似た超能力を、どうぢてどうして、{臭|にお}わしている。
《 洞察の宝庫、松下幸之助翁 》
社長の鶴の一声で、事業や社員たちの行動が、大転換……といった話は、よく聞く。しかも、成功例として!
こういう社長のことを、従業員や周りの人たちは、{斯|こ}う言う。「あの社長は、洞察力が、あるよなーァ!!」……と。
こうなると、あの偉人の語録を、調べずにはいられない気持ちになってくる。況や、松下幸之助翁!
その氷山({逸話|いつわ}の山)の一角を、垣間見る……。
高度成長期が落ち着いたころ、産業界では、インフレの到来を確信して借金……銀行から、金を借りまくっていた。
そのとき、松下翁は…….。
「時勢は、変わった。ここらへんで、転換せなあかん!」
と言って、借金どころか、貯金……社内留保に全力を挙げよと、大号令した。これが、のちに語り継がれることとなる伝説、「ダム経営論」だ。
地域住民に、常に飲料水を供給するために、ダムを造って、水を、貯めている……。
企業だって、同じだ。稼いだ金を使いきったり、{余所|よそ}から金を借りてくるとか、そんな馬鹿なことをせずに、利益が出たら、その一割や二割は、蓄えておかねばならない……と、いう訳だ。
言われてみれば、当然……まさに、堅実経営だ。
ところが、世間は、この堅実経営を、否定した。
「利益が出んから、借金するんやんけぇ!」
……と、これも、{尤|もっと}もらしい言い分だ。
でもそこで、松下翁が、吠えた!
これがまた、気分爽快な、名言なのだ。
「そうやって、過当競争をして、みんな、損をしてるわけやァ! ダムがカラになってんのに、水道のセンをひねって、水を出そうとしてんねん。それで、『出ん!』とかなんとか言って、怒っとるわけやァ!」
どうよーォ!!
{儲|もう}からないんなら、サッサと反省して、{倹約|けんやく}せい! ……って、ことだよねぇ?
そう言った、松下翁……。
その後、どうしたのかッ!
ある大手紡績会社の経営者は、その後の松下翁を、{斯|こ}う評している。
「松下さんは、そう考えただけでなく、すぐそれを、実行に移した。そこが、{凄|すご}い! さすがに立志伝中の人は、世の中を見る目が、違うなーァ♪
学校で勉強した人にはない、動物的な感覚があるねッ!」
ここで、あたい、思うんだけどさァ。
この、松下翁の「ダム経営論」を、国や地方自治体が採用すれば、消費税なんて、要らなくなるよねぇ?
だって、無駄なお金を使わなくても済むんだから、わざわざ消費税なんて{打|ぶ}ん取る必要、ないじゃん?
国や地方自治体って、予算を使い切らないと、「そんないっぱい、予算は{要|い}らないんだなッ!」っていう実績を作ってしまうもんだから、次の年の予算を、大幅に減らされてしまう。
だから、年度末になると、人が一人も来ないようなところの道路を、都心なみの綺麗な舗装道路にしたり、タヌキやウリ坊たちのためだけに、大規模な護岸工事をしたり、用も無いのに護衛艦や戦車が走り回って、自衛官が家族に会えなくなって、離婚率が急上昇したりって……。
この国の役人ってさァ。
本当に、おバカの掃き{溜|だ}めだよねぇ!
そんな、おバカな役人の真似をして、無理して膨大な時間をかけて銀行の住宅ローンの審査にパスしてマンションを買った人って、結構少なくないっていうか、多いよねーぇ?!
で、どうなったーァ?
家計の予算、増えたのかなーぁ??
高層マンションで最高値の最上階に住んでたのに、そのマンションの高額物件を二束三文で売って、高い手数料を払って一括繰り上げ返済をして、トイレ共同の安アパートで貧乏生活をしてる人……。
(そんな、バカなッ!)って、思うよねぇ?
でもあたい、そういう人、知ってるから……(ポリポリ)。
《 洞察の宝庫には、何が入っているか 》
松下翁のみならず、経営者ならみんながやっているのが、〈分析〉っていう仕事だ。
簡単に言うと、「こういうデータがあるから、絶対に、こうなる!」……と、いうやつだ。
でも、本当に、絶対にそうなるためには、そのデータが、真実でなきゃ、ダメだよねぇ?
前掲の、「絶対に、インフレになる!」っていう、{殆|ほとん}どの経営者たち共通の判断だってさァ……この、真実のデータで裏付けられたからこそ、みんな、そう信じたんだよねッ?
まさか、テレビや雑誌で、実践を一度もやったことがないような評論家っていう偉いと思われたい人たちが、ただ自分たちの商売のために大騒ぎをしてトークしてんのを聞いて、それを信じちゃったッ! ……だなんて、そんな間抜けなことは、してないよねぇ?
{噂|うわさ}を、一度は信じて、その論について、よく考えたり調べたりすることって、大事なことだと思うし、そこまでなら、何も、大貧民に転落する心配もない。
でも、もし、それを{鵜|う}呑みにして、**実行**に移したとしたら、どうだろう……。その噂が、もし真実ではないとしたら、大なり小なり、実害は、避けられない。
学問の基は、言わずもがな、真実のデータだ。それが、真実であるからこそ、人は、洞察という能力を、発揮することができる。だから、延いては、未来の予見をも、やってのけることができるのだ。
もし、その予見が外れても、それが、学者だったり評論家だったりすれば、それも、〈一つの失敗という*真実*のデータ〉として、先ずは蓄え、次の話術の参考にすれば、いいだけのことだ。
でもそれが、テレビやラジオや新聞から流れて来た商売目的の無償データを鵜呑みにして、それを実行に移してしまって大失敗をした貧乏な一般庶民だったとしたら、どうだろう。
況や! そんなことなら、最初から、データというものは、自らの行動で体得しながら、集めればいいだけのことなのだ。
本当の〈真実のデータ〉というものは……。
自分の目で見、自分の手で触れたもの……たった、それだけしかないのだ。
「でもさッ! {古|いにしえ}より語り継がれてる〈鉄則〉みたいなもんも、あるじゃん? それも、テレビやラジオや雑誌の危ういデータと、{同|おんな}じってことーォ?!」って、訊きたくならなかったーァ??
でもさ。
それだって、実際にそれを、自分で実行、再現してみないことには、それが本当に真実かどうかなんて、判らないじゃん?
風が吹いても、桶屋は、儲からない。
そんなことより……。
風が吹いたら、火の用心だッ!
**{蛇足|スーパーフルーイティ}**
無し! ……だねーぇ♪
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Ver.,1 Rev.,8
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