MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

後裔記106(ミワラ<美童>学級の冒険日記)R3.8.7(土) 夜7時配信

#### オオカミの歩学「偏屈の進化! 銭湯演説とアース焼却炉の秘密」{後裔記|106} ####

 《偏屈に{類型|パターン}あり! 和の{民族|エスノ}》《忍び寄る{危機|デインジャラス}! 偏屈に思い{遣|や}りあり》《聴衆はスパイの皆さん! ジジッチョの銭湯演説♪》
   学徒学年 オオカミ 齢13

 体得、その努力に{憾|うら}みなかりしか。

   《 偏屈に類型あり! 和のエスノ 》

 まァ、おれから説明するのが、筋だろう。
 言わずもがな……サギッチの後裔記。
 あいつも、考察の腕を、まァ*随分*とまでは言わないまでも、*随分*と、上げたもんだなッ! ……(ポリポリ)。
 結局、ジジッチョは、瞑想から戻って来たかと思うと、直ぐにむくっと立ち上がり、そのまま、長屋の端っこのムロー先輩たちの住戸から、出て行ってしまった。
 なので、ジジッチョが、六年前に何を体験したのか、おれも含めてみんな、聴けず仕舞いとなってしまった。
 瞑想の前は、あれほど機嫌よくベラベラとよく喋っていたのに、まるで人が変わったかのように、無言で、愛想笑いの一つも見せず、立ち去ってしまったのだ。
 マゴッチョ君も、どうやら、面{喰|くら}ったみたいだ。{如何|いか}にも、{如何|いかん}ともし{難|がた}く……といった感じで、ジジッチョにくっついて、一緒に出て行ってしまった。

 あの二人は、和の{民族|エスノ}なのだ……たぶんだけど。
 でも、間違いない。
 しかも、文明の{奴|やつ}らと通じているような心配も、必要ない。{寧|むし}ろ、逆だ。おれら自然{民族|エスノ}の、しかも{鷺|サギ}助屋に近いほどの嫌悪と敵意を、文明の奴らに対して、抱いている。
 だが、今思い出してみると、文明の奴らに関わる{話題|トピック}になると、パタッと{饒舌|じょうぜつ}が{已|や}み、巧みに話題を、すり替えてしまう。
 それが、まったくのごく自然で、今思い出して、よくよく考えてみて、やっと気づくことができるという……まったく見上げた、**{曲者|くせもの}**の{仕業|しわざ}に違いなかった。

   《 忍び寄る危機! 偏屈に思い遣りあり 》

 ジジッチョたちが立ち去った後、おれは{暫|しばら}く、沈黙の{体|てい}だった。何を言葉にすればいいかが判らず、しかも、特にその必要も、感じられなかった。
 でも、沈黙とか瞑想とかが、どうも……どうにもこうにも苦手みたいな……おれたち、ムロー学級!
 {俄|にわ}かに、騒々しく……成りゆく。
 その口火を切ったのは、意外にも、*その*ムロー先輩だった。

 「賢明な爺さんだ。孫っちにしてみても、さすがは、その爺さんの弟子と言うだけのことはある。
 心得ている。
 ジジチョウは、俺たちの身の上を、気{遣|づか}ってくれたのだ。それは、俺が言ったことを、ちゃんと熟考してくれていれば、直ぐに判ることだ。どうしてこの島で、次の百年ごとの戦乱も、次の天地創造も、どちらの話題も、{禁句|タブー}なのか……。
 情報を共有するということは、己に迫っている危険も、共有させてしまうということだ。だからこの島の人たちは……和の民族っていう人{等|ら}は、何を語るにしても、慎重なのだ。
 しかもだ。その{危|あや}うい情報を共有することによって、共有したが{故|ゆえ}に、その危うさが、突如! 増大してしまう……ってことだって、あるんだ。
 だからだ。
 この島で生きるということは……それを、俺たちに置き換えて考えてみれば、この島に{居|お}る間は、目立たぬように、言動には慎重に慎重を重ねて、気づかぬふりをして、と同時に、誰からも気づかれないように、最善の注意を払わねばならぬ。
 ……と、いうことだ」

 続けて、スピア、言った。
 「じゃあ、ジジッチョは、その危うい情報を共有しちゃったから、今、身の上が、危うい状況にあるってことーォ??」
 「まァ、そうだ。たぶん」と、ムロー先輩。
 「じゃあ、あのマゴッチョも、危ういってことォ?」と、これは、ムロー先輩の同居人……ツボネエ!
 「これこれ、ちゃんと、シノマゴ君と呼んであげなさい。てか、ジジッチョとは、なんだッ! ジジチョウ様……とまでは言わんが、せめて、ジジチョウさんと、お呼びしろッ!」と、{堅物|カタブツ}ムロー先輩。
 「お言葉を、返すようなんだけどさァ。あたいら、{面倒|めんど}っちいのが苦手だって、知ってるよねぇ?」と、出たーァ!! マザメだ。
 「わかった。好きにして、よし♪」と、ムロー先輩。
 あっさり、降伏!
 「わかったんかい! しかも、あっさり……」と、サギッチ。
 やっぱり、そう思うよなァ……(ほれほれ、ほれみいやーァ♪)と、陰湿に心の中で思うおれ。

 「そうと決まったら、銭湯だねぇ♪
 あの黒い顔は、日焼けじゃない。炭っしょ!
 じゃあ、銭湯に直行するはずが、ここにちょっとだけ、寄り道したってことだよねぇ? だったら、行こうよ、銭湯♪」と、これは……そう、言わずもがな、頼れる後輩……スピア!
 「{危険|デインジャラス}、好きだもんねぇ。アニキーぃ♪」と、ツボネエ。
 「わざわざスパイの溜まり場に行って、デインジャラスを共有する必要が、どこにあるんだァ! 大衆浴場も、大衆病院も、スパイにとっちゃーァ、欲しい情報の宝庫だろうがーァ!!」と、ムロー先輩。
 ここは、正論を{楯|たて}に、*断固拒絶*!の構え……。
 (まァ、当然だけど……)と、思うおれなのだった。

   《 聴衆はスパイの皆さん! ジジッチョの銭湯演説♪ 》

 で、その銭湯の脱衣場……。
 ジジッチョが、{残響音|エコー}をバリバリに利かせて、喋り出した。

 「じゃあ、手短に。
 湯冷めすると、明日の仕事に、響くでなァ。
 明日と言っても、炭鉱に、今日も、明日もない。
 延々と、労働が続く。
 眠らない、黒い職場……。
 じゃから、夜明けとも、無縁なのさ。
 まァ、それは、それ……{閑話休題|さても}じゃ。
 二つ、ある。
 一つ。次の天地創造で、この星は、荒れる。
 もう一つは、この星の、完全消滅についてだ。
 あれは、六年前のことだった……。

 わしは、{日|ひ}の{本|もと}の内地で、掘っとった。
 列島の、南西辺りだ。
 子どもたちは、炭坑節を、歌っとった。
 若い技師が、わしのところに駆けて来た。
 そして、言った。
 『技師長!
 文明野郎たちの穴と、貫通しちまいまいまい……ですです! めっちゃ、横柄な{奴|やつ}らです。
 まるでおれたちが、非国民みたいに、言いやがる。
 世界中に指名手配された、まさに凶悪犯人の扱いですよ。
 なんなんですかァ……アイツらァ!』

 ……と、その言葉を聞いて、わしは、直感した。
 文明人たちが、この星を、{亡|ほろ}ぼす。
 わしは、その掘り屋の文明人とやらに、直接、問うた。
 『どういう{料簡|りょうけん}だ。貴様らァ!』……となァ。
 すると、文明の掘り屋の技師長は、{斯|こ}う答えた。

 『横方向の地底網には、地上のゴミを運び入れる運搬装置……ベルトコンベヤーや、チェーンコンバヤーが、連なる。
 縦方向に掘られたクレイジーな穴は、この星のマグマへと延びてゆく。せっかく数十種類に分別された個々の自律したゴミゴミが、再び、グチャグチャに一緒に混ぜられて、シャブシャブの溶岩の中に、放り込まれて、溶け込んでゆく……。
 ヨコ方向は{兎|と}も{角|かく}としても、タテ方向の穴のクレイジーな使い道は、オレのボンクラ頭で考えたって、絶対に知られちゃなんねぇ、国家機密ってもんだろォ?
 それが、一つ裏の道には入った日にゃあ、国家機密もダーァダーァの垂れ流しってもんよォ!
 
 オレ{等|ら}文明界のお偉いさんたちゃーァ、確かにスパイをバンバン飛ばして、{余所|よそ}さんの極秘の計画にゃーァ敏感なんだが、逆に、余所さんから来なすったスパイさんたちまで、律儀に*おもてなし*をしちまうっていう、どうしようもないナイーブ症候群の重症患者ってわけさ。
 まァ……それは、それ。
 *それ*で済まされねぇのは、そっちじゃねぇんだ。
 タテ穴のクレイジーの話を耳にしたら、おまえさんなら、どうするよォ! 今じゃ、家庭ゴミの分別だけで、廃棄ゴミと再生ゴミを{併|あわ}せて見ろよッ! 30種類に迫る勢いなんだぜぇ。
 そんなに苦労して分別したリサイクルゴミが、またぜんぶ一緒に、マゼコジャにされて、巨大なアース焼却炉に、ポイッ♪ ……だなんて、そんな裏切りの現実を知っちまったら、どうするよォ!

 オレたちゃーァ……さァ。
 分別専用の部屋に、ゴミ箱を30個に並べてさァ。朝も早よから、せっせとゴミを洗ってさァ。水に浸してラベル{剥|は}がして、ハサミで切り開いて、材質見て、色も見てさァ。真面目に、30個のゴミ箱に、分別してんのさァ。
 しかもさァ!
 その分別したゴミを、いざ捨てる段になったら、こんどは、七面倒臭いルール、ルール、ルールさッ!
 人をバカにしたクレイジーな秘密を知っても、まだそこまでする律儀な人間が、どこに{居|い}るっていうのさァ! もし居たとしたら、そいつこそが、見上げたクレイジーさァ♪
 分別も、リユースも、リサイクルも、ゴミを原料ペレットに戻しっちまうっていう魔法みたいなリジェネレーションも、なんもかんも、{面倒|めんど}っちいことはすべて、結局は、お偉いさんたちのクソ!みてぇな、無意味で無駄な大義名分のためだけに過ぎないのさァ。
 そのうち、オレたち人間も分別されて、集められたら、陰でグチャグチャに混ぜられて、生きたまま、*半永久*の地球焼却炉に、**ポイーッ♪**……てなもんさァ♪』

 まァ……そういうことだ。
 そのときは、気づかんかったんだが……。
 なんでわざわざ、地球に*半永久*っていう、期間限定の言葉を、付け加えたんだろう……って、後になって、どうにも、気に掛かりはじめっちまってなァ!
 {奴|やつ}……その、文明野郎の掘り屋の技師長は、気づいたのさ。この星の消滅は、そう、遠くないってことをなァ。
 ひょっとすると、それは、次の天地創造よりも、早いのかもしれん……となァ」

 ここで……。
 湯冷めの危険を肌身で感じ取ったんだろう。
 ジジッチョは、そこで、話を切ってしまった。
 {俄|にわ}かに、{現|うつつ}の陽が{傾|かし}ぎ、息恒循の伝霊が、{考推|こうすい}の刻を、告げてくるのだった。 

_/_/_/ 要領よく、このメルマガを読んでいただくために……。
Ver.,1 Rev.,9
https://shichimei.hatenablog.com/about

// AeFbp // 東亜学纂学級文庫
The class libraly of AEF Biographical novel Publishing