MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

後裔記107(ミワラ<美童>学級の実学紀行)R3.8.14(土) 夜7時配信

#### ツボネエの実学紀行「指令、武の心でアース号の暴発を{止|とど}めよ」{後裔記|107} ####


 《最悪……アマガエルの踊り食いを、回避せよ!》《芝刈りでもなく、洗濯でもなく、山と川に向かう{美童|ミワラ}たち》《病の言い訳と、不可思議な島の子どもたち》《この星の未来を知る、無礼で失礼な野郎ども!》
   少女学年 ツボネエ 齢8

 体得、その努力に{憾|うら}みなかりしか。

   《 最悪……アマガエルの踊り食いを、回避せよ! 》

 余計なことだけど、ちゃんとアタイらは、女湯で{温|あった}まって、{不精|ぶしょう}に{亘|わた}って風邪を引かぬよう、入念に重ね着をして、番台の前の片開き戸を引いて、男湯の脱衣場へと入った……と、いう{経緯|いきさつ}だった。
 ところでさァ。
 なんで男どもって、あーもこーも、途方もない先の未来のことばっか、考えるんだろう。次の天地創造なんてさァ。アタイらが死んだ後のことじゃん!
 次の百年ごとの大戦だって、集結するころにはアタイ、32歳のオバハンじゃん! {始|はじ}まるのだって、精々20代後半っしょ? 苦手なのよねーぇ!! そんな、先のことでウジャウジャ話し合うのってぇ……。
 ねぇ!
 どうせやるって決まってるんなら、もう、始めちゃおうよッ♪ ダメーぇ?! 終結する年だけ、帳尻合わせときゃいいんでしょ? まァ……いいけどさァ。

 銭湯を出ると、案の定、湯冷めした!
 雲みたいな色した月が、呑気な顔して、浮かんでる。なに考えてるんだかァ……。恒令の七養じゃないけれど、時令に{順|したご}うて{以|もっ}ても、寒くって元気なんか養えないっつーのォ!
 しかも、心を凍らせる、ムローの一言。
 「晩めし、どうしようっかーァ!!」
 あのさァ、何十年も何百年も先のことは、あんなに一所懸命、一生懸命に考えるくせして、なんで今晩のことを考えられないのさァ! しかも、なんで切羽詰まってこの腹ペコの時間にならないと、その〈考えてなかった!〉ってことに、気づかないのよォ!
 まったく、信じらんない。
 (まさか、今晩のおかずは、あの、小川でぴょんぴょん跳ねてた、アマガエルちゃんたちーぃ?! 借りて来た醤油かけて、踊り食いーぃ?? イ・ヤ・だーァ!!)と、大真面目に思ったアタイ……なのだった。

 まァ、最悪は回避できたけど……ワタテツ先輩とヨッコの{姉御|アネゴ}、なに食ってんのかなーァ。この島より、文明界の習慣が色濃ゆいって、書いてなかったけぇ?
 まァ、いいけどさァ。

   《 芝刈りでもなく、洗濯でもなく、山と川に向かう{美童|ミワラ}たち 》

 この島は、アタイらが住んでた半島南端の浦町よりも、南にある。だって、まだ三月中旬だっていうのに、もう桜の花が開きはじめている……ぅーん??
 (だったら、もう、山菜が、採れるんじゃーん♪)と、思ったアタイ。
 「指令! 今日の大事は、山菜と川魚の調達。イザッ! 出陣よーん♪」と、吠えたアタイ。
 てな{訳|わけ}で(、たぶんみんな、仕方なく)、男どもは、長屋の前を流れる小川の源流の谷川へ{漁|すなど}りに、女たちはアース山に山菜採りにと、朝も{早|は}よから長屋を出立!
 アース山ってのは、ボタ山の反意語だよん♪
 地球の上に炭鉱の捨石が積み上がってんのがボタ山、地球の一部で盛り上がったり{聳|そび}えたりしてんのがアース山……てな理屈。
 で、後から聞いたところによると、男どもは、{鰻|うなぎ}や{山女魚|ヤマメ}{捕|と}りに夢中になったり、女たちの命で木をひん曲げたりよじ登って*やじろべえ*状態にしたりしながら、コシアブラの{脂|アブラ}ぎった若葉摘みに{勤|いそ}しんだりしていたらしい。
 片や女たちは、なんか優雅というか悠長というか、腰を曲げ曲げしながら、タラの芽やフキの花の{蕾|ツボミ}を、摘んでいたらしい。

 ここで、大きな疑問が生じると思う。
 一に、「後から聞いた……」ってことは、ツボネエは行かなかったってことォ?
 二に、ツボネエが行かなかったんなら、「女たちは……」は、おかしいよねぇ? 「マザメの姉御は……」じゃないのォ?

 では、答えます。
 一は、「はい。急な{病|やまい}で、行かなかった」
 二は、「いいえ。でも正確には、二人とか三人とかじゃなくって、一人と数十匹。「NO!」と言えないタヌキやウリ坊の{少女|メス}たち」
 みたいな……。

 そうそう、一つ。
 マザメの姉御に、教えてもらったこと。
 *フキの花*のことを、「フキノトウ」って言うんだってさァ!
 さすがは、海底生まれ森住みの魔性の{鮫|サメ}{乙女子|おとめご}様ーァ♪

   《 病の言い訳と、不可思議な島の子どもたち 》

 で、アタイの病のことだけど……。
 長年、アタイの闘病生活を見守ってきたムローには、**仮病**だって、直ぐに判ったみたい……(ポリポリ)。
 その証拠に、みんなが長屋に戻ってきて、ムローが開口一番、アタイにこそっと言った言葉、それは……。
 「どうだったァ?」だ。
 アタイ、どうしても長屋に残って、この島の子どもたちと話がしてみたかったんだよねぇ。だってさァ、銭湯に、子どもたちは、たくさん{居|い}たんだよ。だのに、私語の一言も無い。
 仮に、お母さんから、「技師長が喋ってるときは、絶対に静かにしときなさいよォ!」なんて、キツく言われてたにしたって、あんなに素直に、静かにするぅ? 子どもって、そんなもんじゃないよねぇ?
 この長屋の子どもたちだって、どいつもこいつもさァ。ここから{殆|ほとん}ど、外に出ない。遊ぶのは、平屋の連棟式住宅の屋根の上か、その前を流れる小川の周りだけ……。

 そこで、ムローがこそっと訊いてきた、「どうだったァ?」の答えだけどォ……。

   《 この星の未来を知る、無礼で失礼な野郎ども! 》

 歳が近いからか、それとも、アタイの魅力に{圧|お}されて、{言乃葉|ことのは}が*トコロテン*みたく押し出されたのか……{兎|と}にも{角|かく}にも、長屋の子どもたちが喋り出すまで、思ったほど時間はかからなかった。

 アタイは、{斯|こ}う訊いてみた。
 「ジジッチョがさァ。
 『次の天地創造は、荒れる』とか、『それよりも、この星の消滅のほうが、早いかもしれん』とか……なんかさァ、わけわかんなくってさーァ!!
 どういう意味なのか、誰か、知らない?」……みたいな。
 すると、なかでも一番ヤンチャそうな、アタイと{同|おな}い年くらいに見える男の子が、自信満々で、しかも誇らしげに、語りはじめた。

 「当然じゃないかァ。そんなこともわかんないのかよッ! まァ……教育のないおまえらにゃ、無理もないけんどなァ。
 まァまァ、そう、気を落とすなってことよッ♪
 教えてやるからさァ。

 一に、次の天地創造は、荒れる。
 {足下|そっか}の重力の方向に掘り進むと、ある深度を超えたところで、異変が起こる。重力が逆転する地層があるんだ。ここに風穴を空けっちまうと、大量のゴミが、地底から吹き上げられ、大気圏一帯を{犇|ひし}めき合いながら漂い続ける。
 太陽神は、永久に、地上の神々との面会を{絶|と}ざされてしまう。やがて、地上の生きものは、すべて、生ゴミとなる。その生ゴミの山が凍って、{終|つい}には氷河と化す。

 二に、この星の消滅。
 風穴を空けっちまった地底奥深い重力逆転層が、もし万が一溶岩層だったら、サラサラマグマと無数のゴミが{相見|あいまみ}え、{塵旋風|じんせんぷう}が{如|ごと}く大気圏外に噴き出しっちまう。
 宇宙{星艦|せいかん}〈アース〉の出航だッ!
 〈アース〉館長が、太陽系艦隊の単縦陣で後続する同型艦〈{火星|マース}〉に、打電する。
 『我が姉妹艦〈ムーン〉を、貴艦に{委|ゆだ}ねる。サラバだッ!』
 青と白の美しい星座の一つが、赤と黒の星艦と成り、太陽系艦隊を離脱。乗組員の同意なき、悲運の暴挙!
 その結末は、流星だ」

 「リュウセイ?」と、アタイ。
 「なんだッ! 流星も知らねぇのかァ。たまげた女だなァ。火の玉のことさァ」と、その無礼な男の子。
 「えッ! じゃあ、みんな、黒焦げになって、死んじゃうじゃん!」と、アタイ。
 「バカだなァ。もう、判ってるけど……。
 焦げねぇよッ! 溶けるのさァ」と、無礼なクソガキ。
 「よけい悪いじゃん!」と、アタイ。
 「この先、最悪じゃないことて、なんかあんのかァ?
 どのみち、最悪じゃねーぇかッ!
 オレら旧態人間……和のエスノも、おまえら自然のエスノも、狂気の文明エスノの{奴|やつ}らも、大人も、子どもも、おまえらみたいな{余所者|よそもの}も、オレらのような土着者も、自然界の鳥も、四つ足のヤツらも、虫も、植物も、みんなみんな、死んでしまうんだ」と、旧態投げ{遣|や}り野郎!

 次の言葉が出てくることは、{終|つい}ぞなかった。

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Ver.,1 Rev.,9
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