MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

後裔記110(ミワラ<美童>学級の実学紀行)R3.9.4(土) 夜7時配信

#### スピアの実学紀行「頑固{一徹|いってつ}! 文明の{礎|いしずえ}を成した和の伝統{業|わざ}」{後裔記|110} ####


 《混成小隊、島の南東の{海辺|スピアッジャ}を突き進む》《頑固! 非文明? 和が秘めた伝統業の底力》《ズングリ丸、人(?)生を{賭|か}けた{懇親|こんしん}の変身!》
   少年学年 スピア 齢10

 体得、その努力に{憾|うら}みなかりしか。

   《 混成小隊、島の南東のスピアッジャを突き進む 》

 ぼくたちの足は、無意識にズングリ丸が打ち上げられている岸辺へと向かっていた。林道を突き進む感じで峠を越えると、島の東岸の海辺に出るはずだ。
 性悪の低気圧が、島の南側を、走り抜けて行ったのだろう。ぼくらは、北東の方角にある二つ並んだ姉妹島からやって来て、そのまま風に{圧|お}されて、この島の北東の浅瀬で難破し、そのまま岩間に頭から突っ込んだのだ。
 なので、海辺に出て左へ……北の方角に回り込めば、そのどこかの岩間に、ズングリ丸が、今でも{嵌|は}まり込んでいるはずだった。
 それが、峠を下り切る寸前、長屋十人組が、ぼくらムロー学級六人組を、追い越した。そして{俄|にわ}かに、歩調は行軍よろしく、速度を上げた。
 そして{奴|やつ}らは、迷うことなく、海辺に出ると直ぐに右に曲がり、島の南東の岸辺を、ズンズコズンズコと歩き出したのだった。
 「ついて来い!」ともなんとも言わず、(なんだッ! コイツらァ……)と、思ったぼく。ほかの五人も、同じことを思っているような顔を、先行する行軍の十体の背中を見{遣|や}っていた。
 ぼくら六人組の先頭は、ムロー先輩。その足は、迷うことなく、十人組が先行する方へと向けられた。直観なんだか、直感なんだか……{兎|と}にも{角|かく}にもぼくら六人は、迷うことなく言葉もなく、長屋十人組に付き{順|したが}う形で、歩調を行軍モードに切り替えた。

 延々と歩き続ける混成小隊……。
 (腹へったーァ!!)と、思うぼくらなのだった。
 
   《 頑固! 非文明? 和が秘めた伝統業の底力 》

 時を同じくして、石炭の積出港付近……。

 ほどなく、採掘機器保守工場に到着。
 {何気|なにげ}に、その大きな建物を見遣る。小型旅客機格納庫のような、間口が広く天井も高い建屋。整然と{据|す}わる、露出した建屋の{躯体|くたい}。縦にH鋼が立ち上がり、横に溝形鋼が渡り、斜めに山形鋼が突っ張っている。
 錆止めの朱色とドブ{鍍金|メッキ}の銀色との、質素なツートンカラー。その{剥|き出し|スケルトン}の内装を背にして、採掘機器が並ぶ。
 {鶴嘴|つるはし}、小型削岩機、ドリル、爆薬、ホーベルと呼ばれる切削刃や、そのホーベルと組み合わせて使うらしい自走枠、コールカッターと呼ばれるチェーンソーみたいな重機、{螺旋|らせん}状に切削刃を植えた形のドラムカッター……。
 そして、何に使うんだか、高圧水のノズルとポンプが、白舗装の上を{這|は}っている。

 問題は、今日の曇り空……ではない。
 唯一、整然と並んでいないもの。大きな保守工場の、大きな間口……その付近。ズングリ丸の、船専用ディーゼルエンジン。
 大半の機器が、整然と並んで、保守目的での出番を待っているが、この{剥|む}き出しのエンジンだけが、例外。目的からして、異質。なんと! 改造だ。
 どうするんだろう……。
 石炭を燃料とする、蒸気機関。汽艇ズングリ丸は、蒸気船に生まれ変わる運命を、辿りはじめていた。ジジッチョは、この工場の技師長。そして、長屋十人組で筆頭生意気なクソガキ君は、このエンジン改造ミッションで新たに雇われた見習い技師……。ジジッチョの、孫だ!

 混成歩兵小隊十六名、整列。
 ジジッチョが、訓示を垂れた。

 「よく来たな。立派、立派。
 先ずは、社員食堂だな。
 正解のようだな。どうやら……。
 わしらは、石炭のことしか解からん。
 じゃから、わしら流で、ズングリ丸を、{甦|よみがえ}らせる。
 とっととこの島から出て行ってほしいわけじゃない。
 民族には民族の生き方っちゅうもんがある。
 仕来りとか、習わしとか、伝統とかが、それだ。
 自然でありさえすれば、仕来りや習わしを守ってさえいれば、伝統など、どうでも良い?
 それは、違う。
 そこの思い違いが、君ら自然エスノの落とし穴だ。
 わしらは、伝統を守るだけしか、能がない。
 だが逆に、だからこそ、今に到るまで、生き{存|ながら}えることができたのだ。
 {然|しか}し! 今日の問題は、そこじゃない。
 日替わりランチのメニューだ。
 今日も、*ひじき*が、戦いを挑んでくるじゃろう。
 それが判っていて、逃げたりなどはできぬ。
 さァ、行くぢょ♪」

 (なんだかなァ……)とは思ったけれど、空腹に勝てる秘密兵器など、この世の中にあるはずもなく……。

   《 ズングリ丸、人(?)生を賭けた懇親の変身! 》

 ツボネエが、言った。
 「ガキッチョたちってさァ。
 いつもこの社員食堂で、旨いもん食ってたんだァ。
 それで、アマガエル食うしかないアタイらに、偉そうなことばっか垂れ腐ってくれちゃってたんだーァ♪
 ありがとねぇ!
 次、もし偉そうにしたら、アンタの金玉、{鶏胆|とりきも}と一緒に{味醂|みりん}と醤油で甘辛煮にして、食ってあげるから。
 ヨロシクーぅ♪」
 さすがの川筋のクソガキも、金玉に言及されては、手も金玉も出ない様子……。
 (てか、「ガキッチョ」ってーぇ??)と、思うぼく。
 ツボネエが、{何故|なぜ}か応えて言った。
 「ジジッチョの孫だから、ガキッチョさ。なんで「ガキ」って呼ばれるか、教えてやるよ。女に優しく出来ないからさァ♪」
 (まァ……)と、思うぼく。

 兎にも角にも、その日、初めて、ズングリ丸のエンジンが、石炭によって、作動した。
 ガランガランガラン……!!
 バーバババーァ!
 「いやはや、爽快♪ まったく、愉快♪」
 と、蒸気機関に改造されたエンジンとジジッチョが、驚きの声を上げた。
 ガキッチョも、一様に喜びの顔を見せてはいるが、どこか今ひとつ……浮かぬ顔!
 「どうしたァ」と、ジジッチョ。
 「べつに……」と、孫。
 ジジッチョが、言った。

 「なァ、自然の衆!
 君らは直ぐに『知命、知命』と言うが、知命したからと言って、人間が完成する{訳|わけ}じゃない。{寧|むし}ろ、逆だ。
 百歩{譲|ゆず}って、やっとこさで立命の完成。まだまだ、『ピーカーブー♪』と{煽|おだ}てられて、手放しで喜ぶ赤ん坊となんら変わりはせん。
 修養によってのみ、真の大人になれる。
 七養、{六然|りくぜん}、大努力。朝と夜には、{五省|ごせい}。その繰り返しが、運命だ。そして、俄かに自修。そこでやっと、『お疲れちゃん♪』と言って、死神が、手招きをする。
 『なァ、自然の衆!』と、確かにわしは言ったが、わしは、浮かぬ顔をしたおまえにも言っとるつもりなんじゃがなァ。
 まァ、ええわい。
 自然の衆も、もう、判ったじゃろう。
 民族の誇りを持つことが、悪いとは言わん。寧ろ、最も大事と言っても良い。
 じゃがな。その誇りの{所為|せい}で盲目になったのでは、なんのための学問であったか、元も子もない、本末転倒、頭ん中が、*どんぐりひっちんかやしとる*っちゅうことじゃ。
 自反……寝ても覚めても、自反!
 格物なんぞ、百年早いわァ♪」

 ぼくらが生まれ育った浦町にも、同じことを言う婆ちゃんが{居|い}たなァ。
 「ドングリヒッチン……」
 どんな歴史なんだかァ……ぼくらの、ご先祖様ーァ!?
 
   **{格物|かくぶつ}**

 百年早いそうです……(ポリポリ)……(アセアセ)。
  
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Ver.,1 Rev.,9
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