MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

ミワラ<美童>の座学日誌 No.107

#### ワタテツの座学日誌「閉じ込められるな。魅力ある人間になれ!」{然修録|107} ####


 『人間の魅力とは、何か』 《リーダーと呼ばれる人たちと俺とは、何が違う?》《『偉大なリーダーの鋭い感受性と、{潔|いさぎよ}い自反》
   門人学年 ワタテツ 青循令{猛牛|もうぎゅう}

 {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。

      **{主題と題材と動機|モチーフ}**

   《 {主題|テーマ} 》

 人間の魅力とは、何か。

   《 その{題材|サブジェクト} 》

 リーダーと呼ばれる人たちと俺とは、何が違う?
 偉大なリーダーの鋭い感受性と、潔い自反。

   《 この主題と題材を選んだ{動機|モーティブ} 》

 ヨッコの然修録!
 人はみな、心の中に小宇宙を持っている……みたいなことを言いたいんだろうが、俺は、そんな狭いところに閉じ込められたくなんかない。
 {寧|むし}ろ、大宇宙に向かって、吠えたい。

 「うおーーーォ!!」

      **題材の{講釈|レクチャー}**

   《 リーダーと呼ばれる人たちと俺とは、何が違う? 》

 リーダー不在 = 組織は混迷。
 では、リーダーとは、なんぞやァ!
 リーダーとは、統率者のことである。
 『人間回復の経営学』という名著が、あるらしい。その著者、ジョセフ・バジールの論によると、その統率者には、三つの条件があるという。
 一に、仕事の知識があり、技術に習熟していること。
 二に、創造的な行動。
 三に、感性の{叡智|えいち}。

 リーダーの条件を百パーセントとすると、一は、25%。二も、25%。残る三が、50%なのだという。

 野球の選手ではなかった人が名監督になり、逆に名選手だった人が必ずしも名監督になれないという周知の史実から、先ずは一の25%は、{頷|うなず}ける。

 次に、行動。この行動力がなくては、人の上には立てない。但し、その行動は、闇雲ではなく、創造的でなくてはならない。働きが喜びになるとき、人は創造的に動いているものらしい。それを、喜働という。
 人間は、意欲的に創造をしている瞬間が、一番生き生きとしていて、輝いて見えるという{訳|わけ}だ。この〈喜働〉を、国家統合の合言葉にしたのが、ヒットラーだ。ドイツ語で、「*アルバイト*フロイテ」と言うらしい。
 どうして日本語のアルバイトから〈喜働〉の意味が消えてしまったのかは、不明である。{寧|むし}ろ、逆の意味合いが強くなってしまっているようにも思う。まァ、{閑話休題|それはそれ}。
 行動に喜びが伴えば、人は動く。そんな*喜働*を率先してできる人が、統率者となれる。但しそれは、統率者となれる条件の25%にしか過ぎないという訳だ。

 では、残りの50%。それが、感性の{内に秘めたる力強い活力|ダイナミズム}だ。その活力とは、どんなエネルギーなのか。
 一に、人の痛みを己の痛みにできる力。
 二に、人の喜びを自分の喜びとして感じ取る力。
 三に、自分の喜びを人に感じ取らせる力。
 感じ取る力と、感じ取らせる力……これも、「生まれ持った美質!」と言われる美徳の一つに違いない。、それが、統率者の条件の半分を占めるという訳だ。

 人は、退屈な仕事を強要されると、給料(時給)分以上の仕事をしたがらない。逆に退屈料として、休憩時間や給料の増量を要求したり、その要求が通らなければ、無断でそれを行動に移してしまう。
 どうやら、部下が無能なのは、統率者の{所為|せい}? 部下は、上司の鏡らしい……(アセアセ)。
 
   《 偉大なリーダーの鋭い感受性と、潔い自反 》

 では、素晴らしい部下をたくさん持っている指導者とは、どんな人物なのだろうか。その最たる代表格、鉄鋼王アンドリュー・カーネギー。*成功*者としての{逸話|いつわ}も、多い。その一つ……。
 ある日、長年労苦を共にしてきてくれた、年老いた現場のハンマー打ちの職工さんに、心尽くしの贈り物として、役員昇格の辞令をプレゼントした。当然、大喜びしてくれるだろうと思ったカーネギーさん。
 でも、その職工さんは、そんな心尽くしの辞令を、受け取ってはくれなかった。その老いた職工さんは、その理由を、カーネギーさんに、{斯|こ}う説明した。

 「社長さんよォ。
 よく聞いてくれ。わしは確かに、しがないハンマー打ちさ。でもな、わしがハンマーで鉄を叩くと、カーンっと響く。それは、わしの命の響きなんじゃあ。そうやって叩いて出来上がった鉄の{塊|かたまり}は、まさに、俺の命なのさ。
 役員になりゃあ、そりゃ、座り心地のいい安楽椅子が用意されているんだろうさァ。でも、ハンマー打ちのわしの唯一の喜びの魂は、どうなるぅ?
 社長さんよォ。
 あんたは、それを判ってくれる奇跡的な指導者だと直感したから、わしは、ハンマー打ち一筋で、これまであんたに{就|つ}いてきたのさァ。もしそれが、俺の思い違いだったとしたら、実に、無念だ」

 そこでカーネギーさんは、瞬時に自反し、即座に格物を実践……己を正して、改めて心尽くしの贈り物を、その老いた職工さんに、手渡した。それをも受け取ってはくれないだろうと思ったカーネギー社長は、その職工さんに、斯う言い添えた。

 「これは、アメリカ大統領の年収と同じ金額だ。大統領は、わが国の政治の世界で、最高の人物だ。わしは、あんたを、我が国の職工の世界で、最高の人物だと思う。
 だからあんたは、大統領の年収と同じ金額の報酬を受け取ったって、おかしくはないはずだ。
 どうだねぇ?」
 それを聴いた老いた職工さんは、カーネギー社長の{懐|ふところ}に飛びj込んで、二人でおいおいと泣き崩れたのだそうだ。
 今の時代……こんな社長、いるかーァ?!

 そのカーネギー社長の墓が、アメリカのピッツバーグにある。その墓石のには、斯う刻まれているそうだ。
 「己より優れた部下を持ち、共に働ける技を知れる者、ここに眠る」 

      **{自反|じはん}**

 俺も、ヨッコも、{囚|とら}われの身だ。
 だが、それが、なんだッ!
 俺は、寺学舎の学師、指導者、統率者だ。
 俺ら門人の上に座すムロー先輩には、是が非でも今回の循令で知命し、{武童|タケラ}になってもらわなければならない。
 であれば、俺とヨッコの門人学年の二人が、どうにかするしかないではないかァ……。
 ヨッコは、どう思う?
 でも今は、生きることに徹しろッ! 

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Ver.1,Rev.9
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