MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

然修録 第1集 No.119

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未来の子どもたちのために、
成功するための神話を残したい。
そのために、働く! 読む! 書く!
南内 彬男
なんだい! あきお
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_/ 1 /_/ 『亜種記』 *電子書籍
息恒循を学ぶ子どもたちの闘戦の旅
_/ 2 /_/ 「後裔記」 *メールマガジン
亜種記を構成する諸書(実学紀行)
_/ 3 /_/ 「然修録」 *メールマガジン
亜種記を構成する諸書(座学日誌)
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_/ 3 /_/ 然修録 第1集の子どもたち
寺学舎 美童(ミワラ) ムロー学級8名
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※電子書籍編集のための記号を含みます。
  お見苦しい点、ご容赦ください。

#### サギッチの座学日誌「ヒト種分化、三つの亜種。{何処|どこ}を違えたのか」{然修録|119} ####

 『ヒト種は、三つの亜種に分化しつつある。一体全体、何処を違えてしまったのかッ!』
 《亜種、文明{民族|エスノ}。ここから違えた!》
 《亜種、和の{民族|エスノ}。ここから違えた!》
 少年学年 **サギッチ** 少循令{猛牛|もうぎゅう}

 {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。

 **{主題と題材と動機|モチーフ}**

 《 {主題|テーマ} 》

 ヒト種は、三つの亜種に分化しつつある。一体全体、何処を違えてしまったのかッ!

 《 その{題材|サブジェクト} 》

 亜種、文明エスノ。ここから違えた!
 亜種、和のエスノ。ここから違えた!
 
 《 この主題と題材を選んだ{動機|モーティブ} 》

 こちらも美人(……ではあるけれども、{魔性|ましょう}の{鮫|サメ}{乙女子|おとめご}!)、マザメ先輩の後裔記、**{格物|かくぶつ}**より。

 「他人から言われて、納得して従うってことは、その新しい言葉が、脳ミソに入って、それこそ新しい〈コトバ記憶〉となって、納得するための〈イメージ記憶〉を{搔|か}き集めて、それを{一纏|ひとまと}めにして、無理矢理にその外から入って来た新しい〈コトバ記憶〉と結び付ける……って、ことだよねぇ?

 それって、本当に、「納得した」って、言えるのかなァ!?
 あたいは、納得できないけどねーぇ!!」

 ……と、同じ脳ミソの機能を持ったヒト種の皆々様ーァ♪
 あなた方は、{何故|なにゆえ}に、分化を止められなかったのか。それほど致命的に、一体全体、何処を違えてしまったのかッ!
 
 なんて、そんなことを思った次第にごじゃりまするーぅ♪ ……(ポリポリ)。

 **題材の{講釈|レクチャー}**

 《 亜種、文明エスノ。ここから違えた! 》

 和と自然の二つの亜種は、{斯|こ}う言う。
 「文明が進歩すると、その社会に住まう人たちの*悩み*が、増えてくる」
 すると、文明の亜種は、斯う{仰|おっしゃ}る。
 「そんなことはあるまい! 文明途上や未発達の社会のほうが、もっとたくさんの*悩み*を抱えているはずだッ!」
そう来ると思った和と自然の亜種は、こう言い返す。
 「だったら、*悩み*という言葉を、*ストレス*に置き換えてみてください」

 以上、仮想亜種間討論の一幕……みたいな(アセアセ)。

 確かに、文明エスノの皆々様が仰る(であろう)ように、彼らから観た我々自然や和のエスノの{輩|やから}……{所謂|いわゆる}未発達社会の人たちの悩みは、少なくはない。
 でも、その{殆|ほとん}どは、食糧不足、病気、{怪我|けが}、病院不足{或|ある}いは高度な医療を受けることができないとか、テレビが無いとか、あっても電波が届かなくて映らないとか、文明機器を売ってる店が無いとか……でもそれは、その社会に住んでいる隣人もそのまた隣人も、みんなが共通で当てはまる悩みなのだ。
 ……そう、地震、台風、線状降水帯による長時間に{亘|わた}る豪雨なんかを防ぐことができないように、ある意味、悩んでも仕方がないようなことが多いということだ。

 対して、文明エスノの文明化した社会……確かに、物が豊富で、いろんなことが{便利|コンビーニエンス}になると、一見*悩み*は、減るように思う……それは、当然なんだけど、それと引き換えっていうか、{精神的緊張|ストレス}っていう異質の副産物が、増えてくる。
 「お{隣|となり}、テレビ買ったそうよッ! 課長昇進、{未|ま}だなのォ? ねぇ、聞いてるぅ?」……なんて、奥様からせっつかれて四苦八苦するのは、まだストレスとまでは呼べないのかもしれないけれども、そのへんが、ストレス発祥……ヒト種分化の起因となった時勢だったんじゃないのかなァ?
 そして、高度文明情報化社会……。
 *情報*っていう目に見えない化け物……元い。怪物に、振り回され{疲弊|ひへい}する毎日。その怪物の親玉が、コンピューター。{賢い|スマート}携帯電話とか、{小さな板状|タブレット}のコンピューターなんかが、それだ。そして……その虎の子が、頭に埋め込む**電脳チップ**!
 どっちにしたって、テレビと同じ道具に過ぎないと言われれば、まァ、そのとおりなんだけど……でも{厄介|やっかい}なことに、{奴|やつ}らは、計算や〈コトバ記憶〉を得意とする。しかも、テレビや洗濯機は、娯楽や時間的なゆとりを与えてくれたけれど、コンピューターは、逆に、時間とゆとりを{爆喰|ばくぐ}いするバケモン……化け物モンスターだッ!
 そのバケモンが暴走する分化と退化を、なんとかしなければ、飛散して向かってくる火の粉は、やがて大きな爆弾となってしまう。確かに、今や彼らのストレスの解消法は、枚挙に{暇|いとま}がない。でも、どれもこれも、副作用があったり、お金が掛かり過ぎたりする。
 {莫|まく}妄想だって、{最早|もはや}、心境を天下泰平にしてくれる特効薬とはなってくれない。良からぬ妄想を排除したぶんだけ、ストレスが解消される……という{云|い}わば、自分から見ても{傍|はた}から観ても、*気休め*に過ぎないのだッ!

 《 亜種、和のエスノ。ここから違えた! 》

 満州事変以降、ニッポン・ヒト種は、政治的にも産業的にも、満州で猛烈な勢いで成長発達し、その満州も、大きく発展した。でも、そんな満州国の総理の長老が、ニッポン・ヒト種を名指しにして、{斯|こ}う言ったそうだ。
 「失礼ながら日本人は、経済の才に乏しい」……と。
 文明エスノへの分化が密かに始まっている満州鉄道の要人が、これを耳にする。当然憤慨し、激怒する。ところが、その真意を{説|と}かれて納得……誤解を、解くことができたそうだ。
 その、真意とは……。
 {所謂|いわゆる}、経世済民。
 高学歴で、ひとしきりの知識や技術は、ふんだんに持ってはいるが、大所高所から国家や国民たる民族を案ずるような人物……{即|すなわ}ち大物が、乏しい。
 この話を、ニッポン・ヒト種の危機、文明化に走る日本人に対する警告と{捉|とら}えた人は、ごく{僅|わず}かだった。即ち、その僅かな人たちを除いた多勢が、今の文明エスノの{根源|ルーツ}という{訳|わけ}だ。

 ……で、僅かなほうの人たちは、どう考えたのか。
 例えば、こんな語録を、心に{容|い}れた。
 「民は{由|よ}らしむべし、知らしむべからず」
 『論語』という書物から出た言葉で、その語録を残した孔子という人は、一生を民衆の教化に尽くし、常に民衆を導き、民衆に代わって支配階級を教え正してきた人なのだそうだ。この語録は、その支配階級に向かっての教示の一つだ。
 その意味は……。
 民衆が信頼する指導者になれ!
 民衆に、指導者の意図するところを真に理解させるということは、たいへんに困難な大業である。民衆というものは、目先の問題や自分にとって切実な利害に関わることには敏感であるが、先々のことや複雑なこと、{或|ある}いは教理といったようなことは、なかなか理解ができないものだ。
 だから民衆には、理屈を説明するよりも、民衆が信頼し、敬服して、何事も任すような指導者にならなければならない……{云々|うんぬん}。

 この語録……文明エスノの社会では、こんなふうに{歪|ひず}んで{歪|ゆが}んだ言葉に風変りしてしまっているそうだ。
 「民は大いに知らしむべし、由らしむべからず」
 その意味は……。
 国民に思い知らせてやれッ! 民衆の信頼なんて、クソ食らえだァ! ……みたいな(やれやれ)。
 {何故|なぜ}こんな曲解や誤解や{捏造|ねつぞう}が、{罷|まか}り通ってしまうのか。それは、古典を読まなくなってしまったからに、他ならない。

 欧米の家庭教育では、古典的教養を基礎にして、その上で、現代的な思想や技術を学ばせるそうだ。
 こっちのほうが、ぼくでも(当然だなッ!)と、思てしまう……。

 **{自反|じはん}**

 さて、我らが亜種、自然エスノ。どこから違えたァ?

 人間は、自然の一部。自然は、天地の{造化|ぞうか}。ということは、人間は、天地人。でも我らが亜種の祖先は、地底と海の上に隠れ住まいながら、生き延びてきた。
 天でも地でもない!

 自然エスノよ、地上に立って、天を仰げ。
 そして、吠えよ! 太陽に向かって……(はいはい、汗汗)。

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