MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

後裔記 第1集 No.125

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未来の子どもたちのために、
成功するための神話を残したい。
そのために、働く! 読む! 書く!
人生は、今とここのみ。
{生業|なりわい}は、{莫|まく}妄想、意識、要領。
嗚呼、嗚呼、嗚呼……阿呆寅、
まだ五つ(×12年駆動)♪
南内 彬男
なんだい! あきお
文筆{性懲|しょうこ}りもなく35年 (/▽\)
家父長{懺悔|ざんげ}の30年 m( _ _ )m
酪農修行ぼんくらの3ヶ月 ( ̄。。 ̄)
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_/ 1 /_/ 『亜種記』 *電子書籍
息恒循を学ぶ子どもたちの闘戦の旅
_/ 2 /_/ 「後裔記」 *メールマガジン
亜種記を構成する諸書(実学紀行)
_/ 3 /_/ 「然修録」 *メールマガジン
亜種記を構成する諸書(座学日誌)
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_/ 2 /_/ 後裔記 第1集の子どもたち
寺学舎 美童(ミワラ) ムロー学級8名
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※電子書籍編集のための記号を含みます。
  お見苦しい点、ご容赦ください。

#### サギッチの実学紀行「和の少年に学ぶ。正直に生き、本心を書く」{後裔記|125} ####

 ● 考察……「ヨッコ先輩」という名の影像
 ● 続々と姿を現す……和の子どもたち!
 少年学年 **サギッチ** 齢9

 体得、その言行に恥ずるなかりしか。

 ◆◇◆
 考察……「ヨッコ先輩」という名の影像

 ……で、そのヨッコ先輩なんだけどーォ!!

 よく{喋|しゃべ}るところは変わってないし、話の内容は、毎回違うけれど、なんであれ、自信満々に語られるところも、まったく変わっていない。でもなんとなく、どこかが、{美童|ミワラ}らしくない。住友の番頭さんが、年頭の挨拶で語ったように、変わらなければ生き抜けないと判断して、自主的に自分を変えたんだと思う……と、言っておこう♪

 ◆◇◆
 続々と姿を現す……和の子どもたち!

 さて、先頭を切って庭に出たヨッコ先輩……なんと、庭の周りに{居|い}たと思われる二人の幼女と、オレンジ色の赤ちゃんおもちゃボールを投げ合って遊びはじめた。
 スピアの目が、出目金……いやいや失礼! 仔牛の目になっている。こういうバヤイのスピアの頭の中は、休火山が突如マグマを噴き上げたが{如|ごと}く、有り得ない展開や偶然から生じるような疑念とか期待とか、混乱を極めている……みたいな。経験上、間違いない……たぶん♪

 そんな情景を、ただぼんやりと見ていた。すると、風呂! おれら男どもの番が、回ってきた。無論、おれら男どもが行水中、ミワラの魔女三人衆が何をやっていたかなんて、知ったこっちゃない。それでも、ヨッコ先輩が用意してくれていた着替えは、有り{難|がた}かった。ヨッコ先輩の趣味とは到底思えなかったけれど……まァ、おれの趣味に合致していたから、そこは、深く考えないことにした。
 {因|ちなみ}に、それがもし、完全不一致だったとしても、深くは考えなかったと思う。これは、間違いなく、間違いない! ……と、思う。

 {兎|と}にも{角|かく}にも、小ざっぱりした格好で風呂場から庭に出たおれら男どもの八つの瞳に、ヨッコ先輩の姿が映り込むことはなかった。そこには、ヨッコ先輩を「ヨッコたんだーァ♪」と呼んだ少女と、赤ちゃんおもちゃボールで遊んでいた二人の幼女の姿があるだけだった。{何気|なにげ}に、誰からともなく、彼女たちに、知りたいことを{訊|き}いてみるおれたち男ども……すると、三人の女の子たちが、声を揃えて言った。
 「あっちーぃ!!」
 見ると、すべての予定を済ませたのであろう新型ヨッコ先輩が、疑いもなくその本人のものと思われる背中を、おれらのほうに向け、見慣れた長い{脚|あし}が{為|な}せる軽快な足取りで、小走りでもはじめそうな{律動|リズム}の掛け声をかけながら、どこへ行くやら歩き去る姿が見て取れたのだった。
 因に……。
 「あッ、すったこーらせーぇのどっこいさーァ……とーォ♪ あッ、そーらァ♪ すったこらせーぇ♪」
 ……だ。

 忘れていた。残りの魔女、二名。居間に腰掛け、土間に足を投げ出している。まァ、二人とも、おれらと同様、ヨッコ先輩が用意してくれていた衣類に着替え、貫けるような女の輝きをしていることだけは、どうやらと言うか、どうにも{否|いな}めない。
 (さて……と言うか、はてーぇ!! おれらは、どうしよッかーァ?!)と、おれら男ども四人が思っていると、誰にも気づかれなかっただけで、所在なくその同じ居間に{据|す}わっていたと思われる一人の少年が、むくッと立ち上がった。ここは、青年と書いたほうがいいかどうか、少し迷ったところだ。{閑話休題|それはさておき}、すると……その{年嵩|としかさ}の少年、{俄|にわ}かに、魔女二人のほうに、歩み寄る。矢庭に、おれら男どもも、二人の魔女のほうに、歩み寄る。
 青年は、無表情だった。視線は、玄関の外の庭の向こうの{彼方|かなた}に追い{遣|や}られている。二人の魔女が並んだその背後で、立ち止まった!
 そして、言った。

 「{六呂男|ムロー}さんと、{大上|オオカミ}くんと、{須飛亜|スピア}くんと、{鷺|サギ}くんですね。ぼくのことは、{直|じき}にヨッコさんが話すでしょう。でも彼女は、いつも言葉足らずなんです。彼女からの{報|しら}せは、{斯|こ}うでした。
 一に、六人の難民の子どもたちが、やって来る。
 二に、高度な教育を受けていると思われる。
 三に、{日|ひ}の{本|もと}の言葉を、巧みに喋ることができる。
 以上。
 これでは、少なくとも、一つ足りない。
 四に、美しい少女が二人、含まれている。
 あッ! 誤解しないでください。ぼくは、絵描き志望なんです。美しいものは、それがなんであれ、どんなに危険であれ、それを、ただ単に、素直に、美しい……とだけ、感じ取る。
 {然|しか}し! ぼくはね、その対象物が、そちらの{御二人|おふたり}のように、{譬|たと}えどんなに美しいと感じる{物|ブツ}であっても、女は、一切描かないことにしているんだ。その{訳|わけ}は、当然……言わずもがなさァ。でも、そこの君ら二人は、女ではあっても、まだ子どもだ。言葉で説明しないと{解|わか}らないだろうから、教えてあげるよ。
 女を、我々男が(美しい……)と思うのは、欲望があるからなんだ。もし、その欲望を{拭|ぬぐ}い去ることができたとしようかァ。それでも{尚且|なおか}つ、その女を、美しいと思えるだろうか。それが、ぼくには、{甚|はなは}だ、疑問なんだ。
 自然の植物や、四つ足の動物とか、鳥とか虫けらとかなら、その美しさは正直だし、たぶんどれにしたって、{贋物|にせもの}なんかじゃないはずだ。でも……女はねッ♪」

 その少年は、表情を変えないまま、再び歩きはじめた……が、歩を二つ三つ進めたところで再び立ち止まり、振り返ることなく、斯う言い足した。
 「正直? そう、ぼくは、自然界の生き物ではないので、正直ではありません。だから、ぼくが言うことは、正直じゃない。でも、君らは、まだ子どもだ。正直に言わないと、解らないでしょう。だから、正直に言います。
 ぼくは、{所謂|いわゆる}世間で言う美しい女性を見て、美しいと思ったことはありません。{寧|むし}ろ不美人のほうが、純粋に美しいと感じます。欲望無しに、見ることができるから……」

 少年は、そう言い終えると、土間に下りて庭に出ると、そのまま、姿を消してしまった。
 女性に関する知識に乏しいと自他ともに認めるムロー先輩が、珍しく{蘊蓄|うんちく}をこいた。無論、暗記なんかできないので、その話の筋を、スピアに走り書きしてもらった。確かに、そう言っていた!
 「ドス黒い{雨雲|あまぐも}の去来の{最中|さなか}の{僅|わず}かな間に時折垣間見せる青空のような{質|たち}を秘めた、不思議な男だな。かと思えば、散々駄々をこねてママに叱られて、そのうえ置き去りにされて今にも泣きだしそうな顔をしている。
 そんな可愛げもなく{年甲斐|としがい}もない男のほうが、まだ{年端|としは}のゆかない少女たちの母性本能に訴えるのだ。これは、所謂一つの、神秘。その神秘という{面紗|めんしゃ}……ベールに隠された幼い女心は、暮れゆく雨後の空に上って行く。だから、雨後の空は、{鼠|ネズミ}のような色をしている。
 それもまた、神秘なのだ」

 {僭越|せんえつ}ながら、決まり文句を一つ。
 「わけわかんねーぇ!!」
 以上♪
 
 **{格物|かくぶつ}**

 {美童|ミワラ}の本望とは……。
 我らは、寺学舎に集ったミワラなり!
 思ったことを書けない後裔記なんて、書く意味あんのかッ!
 もし本心を書いて、それが原因で抑留されたり処刑されたりしたとしても、それこそが、ミワラにとっての本望ってもんじゃないのかッ!
 てか、死ぬのは、「イヤだーァ!!」 ……(アセアセ)。

 {内努|うちゆめ}
 恒令の三番目(火曜日)

 本物になるための、五カ条。

 一に、人の数倍努力と苦労をし、{秀|すぐ}れた者になる。
 二に、人が寝るところは半分にし、人の食うところも半分にする。
 三に、努力するところは常に元気で 人の十倍も二十倍もやる。
 四に、心身疲労で病気病死したときは、正に天命と{諦|あきら}める。
 五に、学徒が学問のために死ぬのは、{本望|ほんもう}と心得る。
 
_/_/_/ ご案内 【東亜学纂学級文庫】
Ver,2,Rev.9

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