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_/ 3 /_/ 然修録 第1集の子どもたち
寺学舎 美童(ミワラ) ムロー学級8名
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未来の子どもたちのために、
成功するための神話を残したい……
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_/ 1 /_/ 『亜種記』 電子書籍
亜種に分化した子どもたちの闘戦物語
全12巻、第1~2巻発売中
_/ 2 /_/ 「後裔記」 メールマガジン
亜種記の諸書、子どもたちの実学紀行
週1回、夕方5時配信
_/ 3 /_/ 「然修録」 メールマガジン
亜種記の諸書、子どもたちの座学日誌
週1回、夕方5時配信
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※電子書籍編集のための記号を含みます。
お見苦しい点、ご容赦ください。
#### スピアの座学日誌「道の選択は幼少期に過ぐ。問題は歩き方だ」{然修録|125} ####
『どんな道を選ぶかより、どんな歩き方をするかのほうが大事だと思う』
● 人相は、俗眼でも見える。でも行相は、道眼じゃなきゃ見えない。
少年学年 **スピア** 少循令{猫刄|みょうじん}
{会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。
**{主題と題材と動機|モチーフ}**
■□■ {主題|テーマ}
どんな道を選ぶかより、どんな歩き方をするかのほうが大事だと思う。
□■□ その{題材|サブジェクト}
人相は、俗眼でも見える。でも行相は、道眼じゃなきゃ見えない。
□■□ この主題と題材を選んだ{動機|モーティブ}
ヨッコ先輩が、後裔記に書いていた。サギッチの、こんな{呟|つぶや}きを聴き取って……。
みんな同じ居間にいたのに、ぼくは気づかなかったから、よほど小さい声だったんだなーァ……って、そんなことよりも、ヨッコ先輩は、そんな小声を、正確に聴き取った。なんで、そんな面倒なことをしたんだろう。
その相手が、ムロー先輩やワタテツ先輩なら未だしも……なんと、サギッチ! 独り{言|ご}ちている内容が、{戯言|たわごと}である確率……それは、優に百パーセントを超えている。
その{戯|たわ}けた少年の不審な呟きが、これだッ!
「{昼飯|ひるめし}は、遠い過去。今は、夕飯の{時|さだ}{過|す}ぐを案ずるべきとき。しかも、刻々と……。時令に{順|したご}うて{以|もっ}て胃気が……吠えるカナ。
おれは、亜種自然エスノ……極右勢力の筆頭、{鷺|さぎ}助屋一族の後裔だ。ここ、軟禁施設の外舎も、監禁施設の内舎も、抑留施設の上舎も、おれが進むべき道には、無用だ。
おれも、ここを出る」
言わずもがな……ぼくは、座森屋の後裔。鷺助屋の対極にあり。〈{戈|ほこ}を{止|とど}めさせる〉と書く「武」の心を重んじる一族だ。いつもなら、ぼくが、鷺助屋の過激で直線的な考え方に反応すると、決まってサギッチが、座森屋の穏健で曲線的な考え方を不服として、矢のように応酬してくる。
でも、このサギッチの呟きを読んだとき、ぼくの脳ミソが反応」したのは、そこじゃなかった。
ここだッ!
「ここ、軟禁施設の外舎も、監禁施設の内舎も、抑留施設の上舎も、おれが進むべき道には、無用だ」
本当に大事なのは、自分が進むべき道が、どうであらねばならないかということよりも、*どういう歩き方をするか*なんだと思う。
そもそも、自分が進むべき道なんてものは、とうの昔に過ぎ去った幼循令……幼きころに考えることであって、実際問題、その時期に決定されてしまうのだ。
なので、今ごろになって、自分が進むべき道が「どうのこうの」と言っているってことは、それ以前に確立しておかなくてはならない肝心な行相……〈歩き方〉が、まだ身についていないってことになるだ。
これは、大問題だッ!
**題材の{講釈|レクチャー}**
◆◇◆
人相は、俗眼でも見える。でも行相は、道眼じゃなきゃ見えない。
サギッチに、「わけわかんねーぇ!!」って言われる前に、解説を入れておく。ぼくの読書傾向からも、少し外れちゃってるしねぇ♪
人相も手相も、見てもらうときには、動かさないよねぇ?
でも、動いていないと見えない相もある。
歩く、{坐|すわ}る、食べる、話す、笑う……これらの動きすべてに、相がある。それを説いているのが、『{袁柳荘相書|えんりゅうそうそうしょ}』。
中国の明の時代に、{袁珙|えんこう}という人が居ました。相を見る大家だ。この袁珙さん、なんでも! 太陽を仰いで目が{眩|くら}んだところで暗室に入り、そこで人を相すると、なんとそれこそ! 百発百中だったそうだ。
で、そのスッゲーぇ袁珙さんが没後、息子さんが、父さんの功績を遺著として{纏|まと}めたのが、『袁柳荘相書』。これが、メッチャ面白い♪
男には、五十四の貴い相と、逆に七十二の{賤|いや}しい相がある。孤独、阻害、刑罰といった相も、なんと六十もある。
これが女になると、もっとややこしい!
賢い女の七つの要素、賢い女に備わる五つの徳、十一の{好処|こうしょ}{即|すなわ}ち美点や長所……そして、男と同様に、七十二の賤しい相、六十の孤独や阻害や刑罰の相もある。
さて……。
行相とは、歩き方のこと。
道眼とは、仏道を見通すような眼力のこと。
俗眼とは、世間一般の人たちの見る目や、その目のつけどころのこと。
{況|いわん}や!
*貴い*動く相……歩き方、坐り方、食べ方、話し方、笑い方を体得した人物は、俗世間の人たちとは、目のつけどころが違うってことだ。
で、その行相……歩き方。七つある。
一に……。
「行は正直{昂然|こうぜん}たらんことを欲す」
正しく真っ直ぐで、昂然と……即ち、上向きに歩く。〈昂然〉とは、自信に満ちて{誇|ほこ}らしげで、意気が盛んで{精気や元気|エネルギー}が発揚している{様さま}のこと。
{悄然|}しょうぜん……元気がなかったり、しょげていたり、{憂|うれ}いに沈んでいるような歩き方は、{好|よ}くないってことだ。
二に……。
「{偏歪曲屈|へいわいきょくく}すべからず」
{偏|かたよ}ったり歪んだり、曲がったり*かがまったり*してはいけない。
三に……。
「歩は{濶|ひろ}からんことを欲す」
{闊歩|かっぽ}する。ちょこちょこと歩かない。
四に……。
「頭は{直|ちょく}ならんことを欲す」
頭は、垂直になっていなければならない。
五に……。
「腰は{硬|こう}ならんことを欲す」
「{硬|かた}くなる」と聞いて{心の中に思い浮かべる|イメージする}言葉は、「{強張|こわば}る」とかだけど、そういう意味じゃない。
ここでの〈硬〉の意味は、「{据|す}わる」とか「決まる」といった言葉に当たる。即ち、ピタリ!と決まって、フラフラしないということだ。
六に……。
「脳は{昂|こう}ならんことを欲す」
脳は、特に発揚するものがなければならない。頭は、形。脳は、その内容。仕事も学問も、頭を上げて、屈せずに、{朗|ほが}らかにしていなければ、脳は、生きてこない。
七に……。
「{凡|およ}そ偏体、揺頭、蛇行、{雀鼠|じゃくそ}、{腰折|ようせつ}、{項歪|こうわい}は{好|よ}からず」
身体を傾けたり、鳩やカモメみたく始終首を振ったり、左右に振れながら歩いたりするのは、好くない。
見知らぬ先の見えない道を歩むとき、不安で、足取りはジグザグになりがちだ。だから、畳の縁を歩いて修行する茶道よろしく、**道**を歩むためには、真っ直ぐに歩けるように、修行が必要なのだ。
真っ直ぐに歩けさえすればいいかというと、そんな{訳|わけ}はない。{雀|スズメ}みたいに、ぴょんぴょん{跳|は}ねるように歩くのは、好くない。鼠みたいに、ちょこちょこと歩くのも、好くない。
いくら若くて美人だとしても、腰を折って、うなじを曲げて歩いていたら、とてもとても魅力的とは思えない。
**{自反|じはん}**
ぼくは、歩学と称しながら、島々の爺さんと峠道を共にしてきた。だから、なんだとたち」「いういのだッ!
確かに、いろんな知識は得たし、ションベン一つにも道徳や哲学があることも知り得ることができた。
……で、ぼくは、一体全体、何を目的に、実際問題、何を会得したかったのか……。
ぼくらが亜種……自然エスノが、我らが種……ヒト種が、そして、ぼくら亜種を一部に抱える大自然と、そこに悠久と生き続けるモノたちが、生き残りを賭けて闘戦する大動乱の勃発まで、今まさに、秒読み段階に入ったというのに……。
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Ver.2,Rev.11
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