令和2年4月11日(土)号
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エスノキッズ 心の学問「自伝編」
読み切りショート。
毎週土曜日、夜7時配信。
ALL OF ETHNO KIDS
エスノキッズの日記......『後裔記』
エスノキッズと呼ばれた少年少女たち。
心の学問のすべて。
童心を忘れず、自然から離れず。
不滅の心をあなたに捧ぐ。
なんだいあきお/南内彬男、知命の編纂。
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一息 14【頭が良い。成ろうとするとしんどい。成った真似は疲れる。息切れ。オッサンやァ。なんでやねん!】門人、ヨッコ
一つ、息(いきを)つく。
オオカミ君!
然修録カキコ、べりーグッドじゃん d(⌒ー⌒)!
《 然修録 》一学 10
てか、あんたさァ。
疲れない?
しんどいっしよ!
それって、長続きしないから。
あんた、間もなく、死ぬから ♪
マザメだったけぇ。
「オオカミが、早く旅立ちたくて焦ってる」って書いてたの......。
申し訳ないけどさ。
オオカミ君のカキコ、面白くもない架空の創作モチーフの投入だと思った。
だってさ。
オオカミのやつが努力してるだなんて、誰が信じる?
それがさ。
あいつの然修録カキコを読んで、あいつに対する認識が、自爆した。
オオカミは、焦ってる。
オオカミのカキコ、知らない言葉が、いっぱい!
確かに、学問なんだか勉強なんだか、一所懸命な姿が、目に浮かぶ。
でもさ。
なんだか知らないけど、脳ミソをバシバシ叩かれてる感じ。
それって、読者の感想として、いいことなのかしらん?
事実、オオカミの昨今の読書量は、あたいのそれを遥かに超えてるでしょう。
でもさ。
あんたが書いてるとおり、『息恒循』が、東亜の行動の学と、西洋の目的論派の心理学を下敷きにしてるんなら、あたいは、行動の学の方で勝負するわァ!
つったっからってさ。
目的論は、否定しない。
それどころか、あんた以上に、肯定もしてるし、実践もしてる。
不服かい?
だろうね。
あのさァ。
これ、後裔記だから、あんまり小難しいことは、書きたくないのよね。
だから、サクッと終わらせちゃいまーす ♪
目次流、写真読みの術!
一、あたいも頑張った。でもある日突然、気分が落ち込んだ。どうしたと思う?
二、落ち込むと、明日に希望が持てなくなった。どうしたと思う?
三、まるで牢獄、窓には鉄格子。どうしたと思う?
四、やる気がなくなった。どうしたと思う?
五、無縁だと思っていた劣等感が、襲ってきた。どうしたと思う?
六、早く自分を変えたい。焦った。どうしたと思う?
《 一、あたいも頑張った。でもある日突然、気分が落ち込んだ。どうしたと思う? 》
まだティーンエイジャーだっつうのに、気分の乱高下を、何百回経験したことかッ!
大人ってさァ、仕事で気分が凹(へこ)むこと、多いよね。
あたいは、アルバイトしかしたことないけどさ。
それでも、バリ凹むこと、数十回!
特に酷かったのが、オーストラリアの中国人街のうどん屋さんで、フロアーの仕事をしてたとき。
中国人街で、うどん屋ァ?
まァ、そう思うよね。
でも、白人社会では、黄色人種はみんな、中国人なのさ。
だから、うどんも、蕎麦も、寿司も、ぜーぇんぶ、中国人街!
最初は、英語がまったくわからなかったから、何を言われても、ヘラヘラ笑ってたんだけどさァ。
そのうち、笑顔を返してると、なんかいつも、「ナイーブ」って言われてるのに、気がついたんだよね。
ある日、店で仲良くなった中国人の女の子に、「ナイーブって、どういう意味?」って、訊(き)いてみたんだ。
すったらさァ!
「お人好しの、知恵遅れの馬鹿って意味よォ!」
だって。
次の日......。
ナイーブを投げ込んできた先発ピッッチャーの若いスコットランド人の数人のグループに、母国語で打ち返してやった。
「わりゃ、なめとんかごらーァ!」
そのとき、あたいの目が、仁義なき戦いになってたみたいなのね。
客は店外に逃げ出し、あたいはクビになって店外に摘まみ出された。
それから数週間、中国製の一個60円のカップラーメンだけで飢えを凌ぐ生活に追い込まれたんだけど、心だけは爽快だった。
あたい思うに。
気分を常にハイに保つのは、絶対に無理だと思う。
情熱も、熱意も、誠意も、思い遣りだって、同じ。
必ず、意味切れする。
時には、休養も必要だってことさ。
そんなある日......のこと。
「ん?
熱意バッテリーの充電が、17%?
えーぇ?
マジかよーォ。
大ピンチじゃーん!
The 緊急事態!
深刻になる前に、手遅れだって自分の心から嘲笑(あざけわら)われる前に、自分の心に休養命令を出さなっくっちゃ!
しばらくは、じっとしていよう。
この星、晴れの日ばかりじゃない。
朝も昼も夜も雨が降りしきる日が、二日や三日やそこらあったっていいじゃないの。
ねッ ♪
ん?
ねーぇ、ってばあァ!
そんなある日。
空港の周りが、広大な自然公園になっててさ。
檜みたいな白っぽい木で組んだちっぽけなペデストリアン(人道)の太鼓橋の上で、あたい、女だてらに、てか迂闊(うかつ)に、仰向けで寝ちゃってたのね。
目が覚めると、白人の少し年嵩(としかさ)の青年が、あたいの頭上でゲラゲラと笑ってた。
あたいが目覚めたのを見てとると、やにわに立ち去る挙動!
その去り際、彼が言った言葉を、今でも忘れない。
「ぼく、海軍。
緊急事態。
一番大事なこと。
何もしない。
考えるだけ。
舵輪、回さない。
操縦桿(そうじゅうかん)、引きも押しもしない。
銃も取らない。
動いたら、死ぬ。
ひたすら、考える。
一つのことに、気づく。
それを、やる。
だからぼく、生きてる。
ぼくの手、ぼくの足、めちゃくちゃに動かしてたら、ぼく、生きてない。
仲間も、家族も、みんな、死。
君は、ぼくが知る中で、一番。
一番の、軍人。
じっくり、考えてる。
ぼく、知ってる。
君、中国人じゃない。
ぼく、アマテラス、知ってる。
ぼく、スキヤキ、歌える。
ふ・え・を・む・ふ・い・て、
は・あ・る・こ・ほ・ほ・よ ♪
ル・ル・ル・ル、
ルルルール・ル・ル・ル・ル・ル ♪
ルルルールルーウ ♪ ...... 」
涙がこぼれないように上を向いて歩くようなやつは、あたいたち民族くらいのもんさッ!
《 二、落ち込むと、明日に希望が持てなくなった。どうしたと思う? 》
今日よりも、明日は、もっと賢くなろう。
一つでいい。
でも、必ず一つ、何かを学ぼう。
褒められたって、何も学べない。
罵声を浴びれば、必ず、一つは学べる。
《 三、まるで牢獄、窓には鉄格子。どうしたと思う? 》
旅の途中、格安ホテルの狭いワンルームに引きこもったことがある。
窓を見ると、鉄格子が目に映った。
ルームサービスの、幼い黒人の少女が言った。
「何を怨(うら)めしそうに見てるん?
まるで、牢獄の窓の鉄格子を見てるみたい。
その先に、
空いっぱいに、
青々と、
青空ってのが輝いてるっていうのに......」
《 四、やる気がなくなった。どうしたと思う? 》
生き物は、やる気があるから生存できるんです。
それは、鳥が翼を持ってるのと同じこと。
やる気も翼も、勝手になくなったりなんかしません。
「こんなもん、要らない!」と言って、自ら切り捨ててしまわない限り、翼がなくなることも、やる気がなくなることも、ありません。
やる気がない人は、
「やる気なんて要らないから、捨てちゃえーぇ!」
って、自分で決めて捨てたんだ。
だからそれは、他人が、とやかく言うことじゃないと思う。
あたいは、やる気が要るし、宝物だから、何があっても、絶対に、捨てない。
自分でそう、決めた。
それだけさ。
《 五、無縁だと思っていた劣等感が、襲ってきた。どうしたと思う? 》
あたいは美人だから、他の女子から妬(ねた)まれるという劣等感。
有りのままの自分を、受け容れます。
これでもう、孤独感に苛(さいな)まれることもない。
「あたいは、人間嫌いだから」っていう言い訳の決まり文句も、もう、必要ない。
劣等感は、もはや無縁。
劣等感と仲良しになるって決めたのは、このわたし。
だから今度も、劣等感と絶好するって、自分で決めた。
その代わりに、
「あたいは美人だから、他の女子から妬まれるのよッ!」っていう苦し紛れの自分への偽りが、新たな縁(えにし)となった (^_^;)
《 六、早く自分を変えたい。焦った。どうしたと思う? 》
自分が嫌いだから、嫌いな自分を早く消したいって思うから、焦って変わろうとするのさ。
自分を嫌いになるって自分で決めたんだから、同じように、自分を好きになるって自分で決めればいいだけのこと。
というわけで、あたいは、意地悪な自分が、大好きになった。
自分で決めたことだから、素直に受け容れるしかないのよッ!
悪しからず......ね ♪
◎後裔記(こうえいき)、今回の登場人物
門人、ヨッコ
◎息恒循(そっこうじゅん)、こぼればなし
尽己自鍛(じんこじたん)
自反自修(じはんじしゅう)
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ALL OF THE ETHNO KIDS
伝説...『亜種記』
指南書...『息恒循』
学習帳...『然修録』
日記...『後裔記』
◎然修録のメールマガジン
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◎後裔記のメールマガジン
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