MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

第4集「自伝編」水曜夜7時配信 R3.3.24 一息70

#### 後裔記「本当の親なら、手は荒れ困窮心身疲弊のはず」 学徒マザメ 齢12 ####

 卒業の日、先生に感謝。それは、{解|わか}る。先生が聖職と呼ばれていた時代、*先生たちは、無給だった*。でも今は、{生業|なりわい}。それでも聖職は、*現存する*。でも、絶滅危惧種。それが、*父さんと、母さん*♪

 一つ、息をつく。

 男どもってさ。なんでみんな、あーァも悩みが無いんでしょうかねぇ。
 {呆|あき}れる……元い。感心します。
 森の奥深いところにポツンと{何故|なぜ}かそこに建つ山小屋に独り{居|い}ると、いろんな事を考える。特に最近は、あたいら{美童|ミワラ}の家族のこと。あたいもそうだけど、浦町住みの頃のみんなの家族って、なんか、変なのよね。仕事で親をやってるっていうか……。
 この島でスピアを待っていた養祖父シンジイと養母カアネエのほうが、よっぽど親らしく感じてしまう。なんか、血が{繋|つな}がってるっていうか、同じ血っていうか……{上手|うま}く言えないけどさァ。
 寺学舎に通っていたころ、何人か、自分の家族のこと、書いてたよねぇ? でもさ。みんな、幼いころの思い出ばっかじゃん。あのころの〈今〉、{殆|ほとん}ど全員が、その思い出の中の親や祖父母と一緒に住んでた家に、一人で住んでいたよね?
 それなのに、みんな、捨てられて{怨|うら}んでるとか、一人置いて行かれて{寂|さび}しいとか、そんなことを感じてるかっていうと、そんなふうでもない。高学年の人たちは、自分の親との思い出のことすら、何も書いちゃないけどさァ。

 今、改めて考えると、学園に通ってる子どもたちって、その{殆|ほとん}どが、和の{民族|エスノ}なんじゃないかなって思う。話したこともないから、実際のこは、判んないんだけどさァ。でも、根気強く通ってるところは、感心する。
 それに、先生たちも、同じ和の{民族|エスノ}なんじゃないかなって思う。文明の街にある学園の先生は、割とよく問題を起こすし、いい印象は無い。
 でも、浦街にある学園は、規模は小さいし、先生たちの人数も生徒の数も少ないけど、そのどちらも、テレビに出たり新聞に載ったりするような問題を起こした……なんて話は、一度も聞いたことが無い。
 大人たちは、いろんな仕事をしているけれど、{殊|こと}に浦街の学園の先生たちは、毎日が忙しそうだった。それは、校内だけの話じゃない。生徒たちの宿題の答案や日誌なんかが入った大きなカバンを、毎日重そうにしながら、家に持って帰ってた。
 なんか、「あれこそが、大努力よねぇ♪」って、言ってあげたくなるくらい、毎日毎日、頑張ってた。

 そこでさァ。みんなの思い出の中の父さんや母さんなんだけどさァ。スピアの島の爺ちゃん母ちゃんと、浦街タイプの学園の先生たちと比べるとさァ、なんか、先生たちのほうに近い気がするんだよね。{上手|うま}く説明できないんだけど、なんか仕事として子どもを育ててるっていうかーァ……。
 あたいら自然{民族|エスノ}って、なんか{仕来|しきた}りとか{習|なら}わしみたいなことが、多いじゃん? だから、まだまだあたいらが知らないだけの仕来りとか習わしが、あたいらの身の回りで、当たり前のように起こったり、実践されたりしてるんじゃないのかなって、思ったりもするうわけさ。

 森は、厳しい真冬へと向かっている。深夜、夜行性の鳥や{獣|けもの}たちが、まだ{諦|あきら}めずに越冬用の{餌|エサ}を探し回っているはず。でも、その割には、山小屋の外からは、{息吹|いぶき}の気配らしきものが、何一つ伝わってこない。
 浦街の学園に通っている{同|おな}い年くらいの女の子は、誰と一緒に暮らして、今ごろ何をして、何を考えているんだろう。文明の街の女の子のことなんて、想像の遥か外で、どんな生きものかなんて、{皆目|かいもく}見当もつかないけどさ。
 そこへいくと、正直、男の子たちが、{羨|うらや}ましい。特に、最近のサギッチ! 最近と言えば、あの、巡回授業所の開講日。講釈の当番……その名も、サギッチ。あれって、本当に講釈のつもりなんかい!
 それに……というか、特に、あの{挨拶|あいさつ}さ。有り得んっしょ! しかも、{九十九折|つづらおり}になった蛇の腸を何本も何本も{繋|つな}げたような、あの話の長さ。{耐|た}えれんっしょ!
 たしか……こんなんだったよねぇ?

 「今朝の朗読室は、早くから、お盛んのようですね。みなさんの顔も、これから始まる講釈への期待で、血が{躍動|やくどう}しているのか、朝から真昼の太陽のように、輝いて見えます。
 さて……」

 何が「さて……」なんだかッ! えッ? 「そんなに{扱|こ}き下ろすほど{酷|ひど}くないじゃん。バカ{丁寧|ていねい}で、バカみたいに自画自賛してるだけっしょ!」……って、思うよね? 但しそれは、聴講している人たちが、シンジイとかカアネエみたいな年代だったらの話よねッ?
 その聴衆は、全員、ツボネエと同年代か、まだその下の、幼い子どもたち……しかも、{何|なん}と数人……さらに、聴講のご{褒美|ほうび}のラスクに夢中……{挙句|あげく}は、壇上の講釈人に背中を向けちゃうってもんだッ!
 だのに、驚いたことに、その講釈人は、普通に緊張して、下書きの原稿をチラチラ見ながら、それをまだ朗読ならまだしも音読……元い。音読にもならないような、無感情の棒読み! てかさ。せっかく草稿の下書き、取り上げて燃やしてあげたっていうのにさ、なんでまた下書きなんかが存在してんだかッ!
 さすがのあたいも、恐れ入りました……って話。そんな訳で、男どもって、ある意味……悩まず考えず行動できるっていう点に限って、凄いと思う。特にサギッチは、天才的に、もの凄い! もう、感服もんの、プクプクの、{分福茶釜|ぶんぶくちゃがま}でゴジャリますーぅ……正に、平服級♪
 でもさ。サギッチが参考にしたと思われる算数の{蘊蓄|うんちく}の本は、悪くはないと思う。算数嫌いのあたいでさえ、ちゃんと要約してくれれば、「興味が持てるかもーぉ♪」って、思ったくらいだから。
 てか、要約と言えば、{美童|ミワラ}の男どもの中の特定の一人に告ぐ! ヒノーモロー島で、〈要約〉なんてもんは、{流行|はや}ってなんかいません。悪しからず! 本当に流行ってるのは、{寧|むし}ろ、振ることかなァ。
 ……んーッ?!
 そうだよ。スピアみたいな、要約が得意な、スピアとは言わないけど、限りなくスピアに近い特定のスピアに違いないその架空のアンタが、要約して、後裔記に載せて、アタイらに飛ばしてくれればいいんだよ。
 スピアに言っとくけど、べつに、アンタのこと〈名指し〉してるわけじゃないからね。誤解なきよう、{然|しか}しながら、〈望まれて応えずでは、男の{股間|こかん}に関わる!〉の精神で、ヨロシコシコーォ♪

 蛇足。
 一つ。
 カアネエに{逢|あ}って、お願いしたいことがある。
 お別れなんでしょ? もうじき、カアネエと、スピア。
 きっとスピアなら、あたいと{同|おんな}じこと、考えると思う。
 もう、スピアが、お願いしているかもしれない。
 蛇足とは言いながら、今日、本当に書きたかったのは、ココだけ。
 暗にスピアに宛てた蛇足だから、これだけ書けば、もう充分。
 これがサギッチだと、そうはいかない。
 「なんでよーォ?!」ってぇ? まァ、怒らない、怒らない♪
 その{訳|わけ}が判るのは、んっとーォ!
 早くて、四年後か、五年後かな。
 だよねッ? ……スピアは、どう思うーぅ?? 

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 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「自伝編」 _/_/_/
 平成22(2010)年4月創刊
 旧メルマガ名: 「オールドパパスの配信小説」

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     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

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