#### 然修録「夢とは何ぞや。『中庸』を{説|と}き夢を{解|と}く」 学徒オオカミ 少循令{石将|せきしょう} ####
夢に関する本を集める。その中で、『中庸』を解説する頁に手が止まる。*中庸の精神は、恒令に通ずる*。
一つ、学ぶ。
思いに{耽|ふけ}ったり、夢を見たり……かァ。
べつに、後裔記の続きを書こうという{訳|わけ}ではない。
その夢に関する本を探して読み比べているうちに、ちょっと変わり{種|だね}の本に出逢った。我ら{美童|ミワラ}にとっては珍しくも何ともない儒学の本だが、その中に、『{中庸|ちゅうよう}』の解説をしている章があった。
『中庸』は、元々『礼記』の一部分で、それが後年宋初の時代、{程|てい}兄弟が、これを独立した書として尊重したことから始まる。それを、南宋から出た大儒、あの有名な朱子が、それを校訂。朝廷での官学に採用して以後、{官吏|かんり}の{登庸|とうよう}試験に必須の文献となり、そんな{経緯|いきさつ}もあって、我が国で最も重要な経典の一つとして、肩を並べるに到ったという{訳|わけ}だ。
さてもこの〈庸〉という字。{馴染|なじ}みが薄い。というか、無い。{強|し}いて{凡庸|ぼんよう}という言葉が出てくる程度だ。この字、庚+用で出来ている。庚は、〈こう〉と読むが、{暦|こよみ}に見られるこの字は、〈かのえ〉とも読み、この読みは、{金|か}の{兄|え}とも書く。
さらにこの庚の字には、改めるとか更新するという意味があり、そこから庸の字にも同様の意味があって、それが発展して、〈絶えず刷新してゆく……それが、永遠に続く〉という意味を持つに到っている。
ここで、もう一つ。この字を使った熟語を、思い出した。
{雇庸|こよう}。
道理で、雇庸するということは、単に採用するということではなく、日々の日課を{選|え}り好みせず、いろんな仕事を絶えず刷新ながら、これを地道に{遣|や}り続けてもらうという意味となる{訳|わけ}だ。この場合、特に、庸の字が、手柄、功績、業績などの意味を表す。
これに従うと……そう、〈{常|つね}〉の意味も持つ。人を用いて会社の業績や社会への貢献度を上げてゆくには、首尾一貫した理念なり{是|ぜ}なりが、必要になってくる。それが、当たり前のように実践継続されている状態を、平常という。庸の字の〈常〉の意味は、こういう常のことを指す。
こうなると、この〈庸〉という字。快進撃を、はじめる。次は、恒徳という意味を持ち、その次は、{和|なご}やかとか、{和|やわ}らぎといった意味をも持つ。 実は、この〈庸〉という字も、ツボネエが然修録に書いていたとおり、トカゲの{尻尾|しっぽ}なのだ。切られてまた{生|は}えて、ジャジャジャジャ-ン♪ と、いう訳でもないが、当然、当たり前、つまらない、平凡といった悪い意味にも、変身する。
で、結局、中庸とは、どういう意味なのか。時代だの身分だの地位だの学歴だの何だかんだといったすべてのものに関係なく、一切の物に通ずる。一切の生き物に、通ずる。一切の人に、通ずる。{恒|つね}に変わることのない進歩、向上、前へ、上へ……と、いう訳だ。
この恒の習慣づけ……それが、われらが息恒循に在るところの〈恒令〉なのである。
{故|ゆえ}に、恒令の日々は、常に和やかに調和を保ち、変わるべきところは直ちに刷新し、首尾一貫すべきところは、ぶれることなく変わらず。{弛|たゆ}むことなく、進歩向上を続けなければならない。 それを、指南……その原理を説いてくれるのが、『中庸』なのだ。
で、結局、中庸とはァ?
{況|いわん}や、〈真ん中〉という意味ではない。
その本当の意味は、「すべての人に、通ずる」……だ。
で、やっと本日の{本題|テーマ}、夢についてだが、……ん?
疲れたので、寝る……元い。
眠る……{即|すなわ}ち、夢を見る。
悪しからずーぅ♪
《 蛇足 》
{如何|いか}なる夢を見るか。
言わずもがな。
輪番で息恒循の解説を書いている夢である(アセアセ)。
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