MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

第4集「教学編」土曜朝7時配信 R3.3.13 一学62

#### 然修録「{曲者|くせもの}はプロ野球に在り。{神髄|しんずい}は『葉隠』」 少年スピア 少循令{猫刄|みょうじん} ####

 輪番の解説、提唱……恒令の次! *曲者を、ご存知か*。現代は、プロ野球に在り。*その神髄*を、『葉隠』が解き明かす!

 一つ、学ぶ。

 輪番の解説……恒令が、やっと終わったね。
 次は、何がいいと思う? 座学で、あまり触れてないっていうか、{殆|ほとん}どみんな{解|わか}っていない{循令|じゅんれい}……これにしない? だって、然修録で年齢を表すことくらいしか、知らないから。
 ぼくの年齢は、少循令猫刄。循令は、七年間。少循令は、七回ある循令の二番目。だから、生まれてから八年目が、始まってるってこと。猫刄は、循令七年間の、三年目。……ってことは、八年目から始まった少循令の三年目ってことだから、ぼくの年齢は、10歳ってことになる。
 当然、この年齢は、後裔記の年齢と、一致してる。後裔記では、〈{齢|よわい}10〉と、書く。
 ここまでは、もうみんな、解ってる。でも、なんでミョージン〈猫刄〉なんだか。少循令の最後の年までに、知命しなきゃいけない。それくらいのことは、{判|わか}ってる。だけど、その少循令が、七つある循令のなかで、どんな意味があるんだか。
 これは、さすがに、荷が重い。学人か門人の先輩に、託したい。それでもダメなら、{先達|せんだつ}{武童|タケラ}のご登場ーォ! ってことに、なったりしてね。
 {閑話休題|さてっと}。
 ではでは、ここでやっとこさ、今日の本題(アセアセ)。

   《 {曲者|くせもの}は頼もしき者 》

 こんな話を、本で読んだ。プロ野球の試合。同点。九回裏の攻撃。{既|すで}に{二死|ツーアウト}で、{走者|ランナー}は一塁。バッターは二番か三番か書いてなかったけど、普段はそんなに目立たない地味なタイプの中距離バッター。
 ファンは、{固唾|かたず}を{呑|の}んで、見守っている。一様に、({四球|フォアボール}でもボテボテの内野安打でもいいから、何とか四番の大砲にまで、{好機|チャンス}を{繋|つな}いでくれッ!)と、腹の中で願いながら、見守っている。まァ、当然だね。
 バッター、一塁二塁間への流し打ちの構え。手堅い。さすが、賢明だね。ピッチャー、当然、そうはさせじと、内角ギリギリに、刺し込んでくる。ところがこのバッター、「ありがとーォ♪」とでも言わんばかりに、余裕の{体|てい}で、{会心|かいしん}の一振り!
 その打球は、特大の{弧|こ}を描いて、レフトスタンドに、{叩|たた}き込まれた。{呆気|あっけ}なく、ゲームは{幕切れ|サヨナラ}♪
 普段から明朗快活で知られている勝利監督が、一言。
 「いやーァ。クセ者だねーぇ、彼はーァ♪」
 この監督は、曲者の意味を、知っている。
 『{葉隠|はがくれ}』に、{斯|こ}うある。
 「曲者は頼もしき者、頼もしき者は曲者」と。
 ではでは、その曲者って、どんな人?
 『葉隠』のなかで曲者とは、武士道の実践者であり、主君と{御家|おんいえ}のために、真に役に立つ武士……{云々|うんぬん}と、ある。
 これを、前述の曲者選手に{譬|たと}えると、スポーツマンシップの実践者であり、監督と{球団|チーム}のために、真に役立つ選手……云々と、なるよねッ? なるほどこの監督、解ってる♪
 曲者とは、普段は地味で目立たない存在であり、優等生やキャリア組の官僚や花形選手のように、いつも陽の当たるところばかりを歩んでいる人たちとは、一線を画する。
 そればかりか、{寧|むし}ろ、周りからチヤホヤされるような境遇を{嫌|きら}って、目立つ前に{敢|あ}えて、一歩{退|の}く。そして、人目につかぬところで武士道の{吟味|ぎんみ}に励み、主君や御家、社長や会社、監督や{球団|チーム}のために何を{為|な}すべきかを、独り静かに{勘案|かんあん}を重ねる。
 曲者とは、そんな人物なのだ。
 そして、実は、その肝要は、まだ{更|さら}に、その先にある。
 「ここぞッ!」というときには、意外と、誰も出ようとしないものだ。御家や会社が{危殆|きたい}に{瀕|ひん}しているようなとき、大概の人は、おろおろとして、上司や同僚の陰に隠れて、前に出ようとはしない。まァ……これも、当然。
 ここで、{勇躍|ゆうやく}登場するのが、曲者だ。
 {況|いわん}や、それだけでは、終わらない。思いもよらず、{驚愕|きょうがく}の目覚ましい活躍をして、主君や御家を、危難から救う。まるで、テレビドラマのヒーローものや、水戸の黄門さまみたいだけど……それこそが、曲者なのだ。
 ……と、『葉隠』は、物語っている。
 話が脱線しそうなので、『葉隠』を、主題に{据|す}える。
 「御家を一人して{荷|に}ない申す志」
 ここでは、武士は、自立した個人でなければならぬと、言っている。その自立とは、ここにある〈志〉というものを胸に秘め、能動的であり、強烈な意志が、燃えるような信念となることだ。
 ここまでを見てくると、『葉隠』が最も嫌う武士像というものも、見えてくる。それは、社長命令が下ったのをいいことに、事なかれ主義で、{唯々諾々|いいだくだく}(イエスマン)で、社長や上司には{恭順|きょうじゅん}な態度で接しながら、陰では、不平不満や愚痴悪口を、ダラダラと垂れ流しているような社員、家臣、選手、等などだ。
 「事によりては主君の仰せ付けをも、諸人の愛相をも{尽|つ}くしても……云々」とあるように、主君を怒らそうが、周りから愛想を尽かされようが、己が信ずるところあらば、それを貫かねばならぬときもあると、言っている。
 更には驚くことに、また、欧米の契約社会的なことまで、言っている。
 自分の名誉を侵害する者がいたら、たとえその相手が主君であっても、その不当を断固、申し立てるべきだと。また、自分の働きに対する評価や{褒賞|ほうしょう}が理不尽に過小であることが明らかである場合は、「{一入|ひとしお}{勇|いさ}み進み{候|そうろう}」とあるように、それに異議を申し立ててこそが至誠だ、とも言っている。
 安月給や万年平社員や窓際族で、「まァまァ、{面目|めんぼく}ない♪」なんて言って、ヘラヘラと笑っているようでは、「あの先輩、ほんまに真面目に働いとんかぃ!)と、陰口を叩かれても、致し方ないってことだ。
 意外と、問題多き組織に長年{強|したた}かに居座っている目立たない社員や従業員の中に、この曲者とやらが、隠れ{潜|ひそ}んでいるものなのかもしれない。
 {因|ちな}みにそれは、買い被りであることも少なくないそうです……(アセアセ)。

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