MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

第4集「教学編」日曜朝7時配信 R3.3.14 一学63

#### 然修録「座学の徹底復習、循令の解説に挑む!」 少年サギッチ 少循令{猛牛|もうぎゅう} ####

 大嫌いな復習と、大の苦手の要約! 神業を具現させる*大局観とは*何ぞや。儒学の教えを割り振り、七期の*循令を説く*。

 一つ、学ぶ。

 スピアの言う通り、おれら少年学年ごときに、循令の講釈は、確かにムリ!
 でもさ。だからって、高学年に丸投げって、どうなん?
 一応、やるだけやって、足らないところとか、間違ってるところを、高学年の{美童|ミワラ}に{補|おぎな}ってもらう。これが、{筋|すじ}ってもんだろッ! てかおれ、なんか珍しく、いいこと言ってるよね? まァ、それはそれ。
 循令ってさァ。要は、どの年代に何をして、こうしてこうあるべきだ……って、そんなことやろッ? どの年代に、何をして……ってさァ。気づかない? 儒学じゃん。
 どの年代に、どうあるべきか……なんて、{皆目|かいもく}見当もつかないけどさ。でも、儒学の{範疇|はんちゅう}なら、寺学舎の座学の{課目|かもく}で、ある程度は見当をつけられるんじゃないのかなァ!?
 てなわけで、「サギッチ、大努力で座学の復習の巻ーぃ♪」
 該当する課目を、要約してみようと思う。社史の要約を親友に振っておいて、そのおれが何もしないってのは、これ正に不義理。但し、公表する前に、断っておく。スピアにとっては得意分野でも、おれにとっては大の苦手分野で、{故|ゆえ}に、{纏|まと}まりが悪い! なので、悪しからずーぅ♪

   《 洞察と先見……七つの循令 》

 門人学年の先輩の旅の話を総括すると、働くってのは、少なくとも五年先を見通した上で、先ずは計画することから始めることが肝要で、以後、軌道の修正と試行錯誤の連続という新規開拓の日々……らしい。肝要というのは、決して{大袈裟|おおげさ}ではない。{何故|なぜ}なら、それらがなかなか、至難の{技|わざ}だからだ。
 じゃあ、至難の対抗策は、何か。高学年の先輩たちに{訊|き}くと、それは、大局観だという。なーんじゃそりゃ! で、また問うと、要は、観察だと言う。(最初から、そう言えよッ!)と、思うおれ。
 ……と、思ったわりには、(わけわかんねーぇ!!)と、思うおれ。実際、この世の中、自ら実践してみなければ{会得|えとく}できない、{解|わか}るはずもないようなことが、実に多い。特に多いのが名言や格言、そして大人たちが{垂|た}れる教示のあれこれだ。
 座学の中で、誰かが、質問をした。「実際、その大局観……洞察と先見を会得して、社会に貢献した企業家には、どんな人が居るんですかァ?」と。さすがに、返答無し。でも、(アセアセ)のままでは、(塾師の{沽券|こけん}に{係|かか}わる!)とでも思って、またまた(アセアセ)して調べてくれたんだろう。後日の座学で、教えてくれた。

   【い】 最も先見に優れた財界人。
 阪急電鉄の創業者、小林{一三|いちぞう}翁。
   【ろ】 高度成長の{礎|いしずえ}を築く。
 政治家、池田{勇人|はやと}氏。
   【は】 最も洞察と先見に富んだ人物。
 武将、徳川家康。

 この三人の偉人、学園に通ってれば{何|いず}れ習うんだろうけど、その点、寺学舎の座学は、その内容に{偏|かたよ}りがある。哲学、心理学、原始仏教、発明発想法、読書法……等など。
 これに塾師の旅の思い出ばなしを加えると、それだけで、座学の学課の九割を超える。ここに算数が無いのが、おれにとっては{頗|すこぶ}る{有難|ありがた}やなんだけんども……(アセアセ)。
 それもあって、算数は自己責任に認定してコソコソと読書なんかをしている{訳|わけ}なんだけど、まァ、それはそれ。今の問題は、肝要と呼ばれる計画という難儀な言葉!
 その計画に必要な洞察力と先見力が、近代から特に現代に見られる高速、激動、激変の時代にあって、世界の動きと民族の営みと政界財界の将来……十年先までの変移を予見し、その動きの一つひとつまでをも予測する。
 その能力……それが、後天的な百戦錬磨の習得的行動で体得したものであれ、先天的な生得的行動で会得したものであれ、何れにしてもそれは、正に{神業|かみわざ}!
 これは、古来悠久、神々の血を受け継ぎ、自然の一部であり続ける特定の偉人たちにのみが為せる、特別な技なのかッ! 考えてみれば、社会というのは、始まりも無ければ、終わりもない。だから、それを洞察先見するというのは、並大抵ではない。
 そこへいくと、我々生きものには、始まりと終わりが、ハッキリしている。何時何分何秒まで、実に、ハッキリとしている。その期間は、七十年前後か、まァ精々、九十年前後。そかも、自分に関する限り、しかも、その、たったの一つだけ。これなら、誰にだって、{大凡|おおよそ}の見通しや見当くらい、つけられる。……と、思う。これ、希望的観測(アセアセ)。
 で、ここで、儒学の思想、どの年代に、どうあらねばならぬか{云々|うんぬん}の学問が、活きてくる。てなわけで、これを、七つの循令に、当て{嵌|は}めてみる。

      《 立命期 》

   【{幼循令|ようじゅんれい} {齢|よわい}0から7】
 {美童|ミワラ}の基礎形成期。偉人の伝記を読み、古人や先人から、人生の引き{際|ぎわ}というものを学ぶ。{如何|いか}にして、この世から撤収するか。その方法を学ぶということ。己の全体を洞察し、己の最期を先見する。

   【{少循令|しょうじゅんれい} 齢8から14】
 これ、{只管|ひたすら}に修行。目的の学と、行動の学。そして、知命。

      《 運命期 》

   【{青循令|せいじゅんれい} 齢15から21】
 {武童|タケラ}の基礎形成期。古来優れた人物を見るにつけ、これみな、この青循令の時代に、一生の基礎を築いているように思う。「政治家とか実業家とかが、どんなもんなんか」は、{判|わか}らんけんどもが、少なくとも学問とか思想とかは、遅くともこの時期に確立している。
 またこの時期は、七つの循令の真ん中、{頂|いただ}きである。万が一、立命期の少循令で出遅れていたとしても、遅くともここで知命し、自立開眼すれば、{武童|タケラ}としての未来は{拓|ひら}ける。
 更には、幼循令で先見した己の最期が、具現として見えてくるのも、この時期だ。それは、日常の求道的な生活態度の中に、{顕|あらわ}れる。正に、「日々教学、己以外の人すべてが、我が師なり」で、ある。ここで、幼循令の時期に読んだ偉人の自伝を、読み直す。先人偉人たちにも、師となってもらうが{為|ため}である。

   【{若循令|じゃくじゅんれい} 齢22から28】
 文明界であれ自然界であれ、学業を終え、その社会で、{何某|なにがし}かの責任を負う。これ、使命の{顕|あらわ}れ。天命の、自覚である。家庭においては父と成り、母と成る。成るとは、徳の修得である。責任重大、それすべてが重責……{故|ゆえ}に、自己充実を要する。

   【{自反循令|じはんじゅんれい} 齢29から35】
 {既|すで}に確立し、充実しているこの年代、その時機に及んで、飛躍など望めず、{最早|もはや}冒険など、許されない。{愈々|いよいよ}{以|もっ}て天命を{畏|かしこ}み畏み、知命した己の天命を果たすべく、その運命の{一道|いちどう}を歩むのみ。
 また同時に、、己に関する心の問題の{些細|ささい}を{退|しりぞ}け、後進への指南と他者や社会への奉仕貢献を、これ、己の些細に先んじて実践行動するものなり。事実、これを実践した先人偉人は、枚挙に{暇|いとま}がない。江戸時代初期の陽明学者で、中江{藤樹|とうじゅ}。そして法然、親鸞、道元……{況|いわん}や!

   【{格物循令|かくぶつじゅんれい} 齢36から42】
 踏み{止|とど}まる。振り返る、原点に戻る。己を正す、天命を{格|ただ}す。改めて、運命の一道を、歩きはじめる。特に、若き{或|ある}いは幼き後進から学ぶ姿勢が、肝要。この年代に限っては、行動の学に先んじ、{聴聞|ちょうもん}による学を第一とする。
 これを代表する実践者……偉人の一人として、寺学舎が儒学の中核に置く陽明学の開祖、王陽明先生がいる。

   【{致知循令|ちちじゅんれい} 齢43から49】
 幼循令の時期に読んだ偉人の自伝を、読み直す。二度目の読み直しだ。遂に完成した、我が{境涯|きょうがい}。これ正に、自由{闊達|かったつ}。誕生より{今日|こんにち}に到るまで、日々刻々、ただコツコツ、地道な脚下の徹見透察が、〈今〉をつくる。

 以上。
 蛇足を記す余力なし。

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