MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

一学 31【 子等(こら)の本音】『オンライン郷(さと)座学-子孫武童(たけわら)に繋ぐ-』第1回

『オンライン郷(さと)座学』を配信しています。
住み慣れた半島の港町から離島に疎開した寺学舎の塾生、武童(たけわら)たち。
「行動と目的の学」を実践する子等(こら)の指針となる七息(ななそく)と七命(しちめい)を、座学用に編集してお届けいたします ♪

エスノキッズ 心の学問 「教学編」
令和2年8月30日(日)号


一つ、学ぶだけで、8ヶ月もかかってしまった!

今週、寺学舎で起こった二大事件。
ことの委細は、奥付(署名欄)のバックナンバーより、『オンライン亜種記-夢の子孫たけわら〈武童〉-』第1回 を、ご笑覧ください。

要は、
(1) 寺学舎の子等(こら)がみな、まったく同じ夢を見た。
(2) 寺学舎の子等がみな、離島に疎開することになった。
です。

で、これを書いているのは、いつもの寺学舎の少年少女たちではなく、いつもは子等の然修録(学習帳)をコピーして貼り付けて配信しているだけの小欄、東亜学纂の主筆です。

今後どうするかを、寺学舎になっている講堂の裏手にある広い墓地にみなが分散着座して、話し合いました。


≪ 夢に出てきた119年後の子孫、武童(たけわら)が、『息恒循』と『然修録』を発案し、その時代の合同座学で、初めて採用された 》


まず、みんながまったく同じ夢を1週間連続で観たという事実は、インテュイション能力(直観力)で科学的に説明できる真実であるという仮説を、みなの共通の認識として、統一を図りました。

そこで、問題が浮上しました。

子孫が発案したものを、祖先であるここ寺学舎の塾生たちが、すでに実践している。
このままでは、歴史が変わってしまう。

仮に、未来の歴史が、現存する『息恒循』と『然修録』という名称を消去したとしても、過去に同じ名前、同じ内容のものが存在したことが明るみに出れば、どうなるだろうか。

それを知った者が、その未来の発案者の武童ではなく、他のごく一部の人間だったとしても、それを知った者は、「発案者だ」と宣言した少年の至誠に、幾ばくかの疑念を抱くのではないだろうか。

また、それを知ったのが、本人ただ一人だったとしても、それを知っていて黙っている人間から疑念を抱かれているのではないかという疑心暗鬼に加えて、自己嫌悪にも陥ってしまうのではないだろうか。


次に、『息恒循』特有の問題がある。

夢の中の119年後に発案された『息恒循』とは、七息(ななそく)と七命(しちめい)を合わせただけのものだ。
七息は立命期(誕生から知命まで)の謂わば、子共(こども)期の行動の学で、直観力を養う。
七命は七命期(知命から天命まで)の謂わば、運命を歩む上での目的の学で、人間力を養う。

こんな意見もあった。

「元々、別々のものを一つにしようなんて、普通は考えないし、もしやったとしても、それはたいへんな苦労で、たぶん、結果は骨折れ損だろう。

 元々一つだったものを、また一つに戻そうとしたって考えるほうが賢いと思うし、その結果一つになったものを〈発案〉と言っても、嘘にはならないと思う」

こんな意見まであった!

「119年後なんでしょ?
みんなもう、死んでるじゃん!
どっちだっていいじゃん♪」

まァ、一理あると、コメントしておこう。


【結論】

『息恒循』と『然修録』は、119年後の2139年(子等が観た夢によると、この年は、文然の乱終結の6年前)まで封印とする。


《 この8か月間、寺学舎での座学とテレスタディを併用してきた。今後は、テレスタディ一本となる。今後の運用をどうするか 》


「みんな、島に行くんだから、名称は〈島座学〉に変更だな」
と、安易な考えを投げかけた。

すると、やにわにこんな意見が跳ね返ってきた。

「たしかに。
今はいいけど。
でも、ここに戻ってきたら、また名前を変えるのォ?」

まさに、仰(おっしゃ)るとおりである。

ともかく、これまでどおり、学人、門人、学徒が輪番で、試行錯誤しながらやってみよう......という展開を、予想していた小欄だったが、この予測は、見事、大きく的を外してしまった。

ちなみに、学人、門人、学徒、少年/少女、というのは、立命期の学年の呼称である。

また、ムローやオオカミ、マザメやツボネエといった名前も、立命期にのみ呼び交わされる童名(わらわな)である。

ここで、こんな意見が出た。

「今のままじゃ、七息と七命を足しても、息恒循にはならないよ。
だって、ぐちゃぐちゃになってるじゃん!」

「じゃあ、メルマガテキストの冒頭に〈七息〉または〈七命〉の条文を書いて、その解説を続けて書けばいいんじゃない?」

「誰が書くんじゃい!」

「学人と門人やん♪」

「いや待て!
今は、座学を聞き取りして、聴講録を書いてるだけだ。
自分で解説してるわけじゃない」

「じゃあ、解説になるような本、ピックアップしてもらって、それみんな持って行って、読めばいいじゃん♪」

「ムリムリ!
読まん読まん!
読むわけないじゃん。
そんな難しい本!」

「なんで、難しいって言いきれんのさァ!」

「知らない言葉、難しい漢字。
読めんし、意味わからんしぃ!」

「難しい漢字には、ちゃんと振り仮名ふってあるよ。
だいたいのばやい。
たぶん♪」

「それってさァ。
振り仮名じゃなくって、読み仮名って言うんだよッ!
一つ一つの漢字は読めるけど、熟語になると読み間違えてしまいそうな、そんな誰かさんみたいに偏屈な読み方の名言とか格言ってのがあるじゃん。
そんな偏屈な熟語の肩に書いてある読み方は、〈振り仮名〉じゃなくて、〈読み仮名〉っていうのさ」

「そんなの、どっちだっていいよッ!
だってあたいら、どっちもわかんないもん。
読める漢字、少ないし、読める熟語があったって、意味なんかわかんないし!
べつに、自慢してるわけじゃないけどね♪」

「だったらさ。
どんな本を読むかは任せるからさ。
〈七息〉か〈七命〉に関係あるところを抜き出してさ。
こいつらにもわかる表現に変えてさァ。
送ってよォ♪」


(おいおい!
誰に行ってるぅ?)

「それを、今までどおり、ムロー君がやればいいんじゃないのかなァ?
ワタテツ君も、手伝ってさァ♪」


 ここで、少女〈ツボネエ〉が、立ち上がった(らしいが、実際は立ち上がっても、墓石の陰からはみ出すことはなかった)。

「ムリムリ!
一学の1から読んでみたけど、七命が何なんだか、ぜーんぜん、わかんない。
七息?
今、はじめて聞いたわァ!

学人とか門人とか言ったって、まだ知命前の〈おねえちゃん〉と〈おにいちゃん〉じゃん。
七命って、知命したあとのことなんでしょ?
だったら、まだ誰もやったことないんじゃん!
だから、頑張って書いても、すぐにくじけて、ほかのこと書きはじめちゃうんだよ。

みんな立命期なんだから、七息のことだけ書いたっていいのに、肝心の七息のことは、何にも書かないだからッ!
このままじゃ、七息を知らずに知命して、七命を知らずに運命をはじめることになるっちゃあ!

それを、夢ん中で子孫に教えられるようじゃ、ダメじゃん!って思う。
そんな祖先の子孫が、夢ん中に出てきたみたいな立派な〈おにいさん〉や〈おねえさん〉になると思う?
未来の歴史、変わっちゃうじゃん。

あたいらが、シャン!としないとォ。
ねッ♪」


(〈あたいら〉って、おれもかい!)

【結論】

次回に持ち越し(たい気持ちで、いっぱいであります)。


令和2年8月30日(日)号
一学 31【 子等(こら)の本音】『オンライン郷(さと)座学-子孫武童(たけわら)に繋ぐ-』第1回

【行動と目的の学】

美質を生まれ持った子どもたちが、戈(ほこ)を止(とど)めると書く武の心を修めるために、東亜の行動哲学、西洋の目的心理学、そして民族史や神話から過去を学び、自分たちの運命が横たわっている〈未来〉を脚本する人間力を、学んでゆきます。

Japanize Destinies Distribution
JDD 東亜学纂〈テレスタディ〉
『オンライン郷(さと)座学』
『オンライン亜種記』
【バックナンバー】 http://www.akinan.net