MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

EF ^^/ 後裔記 第2集 第11回

EF ^^/ 後裔記 第2集 第11回 一、想夏 立命期、最後の一年 (1) 毎年、そして毎日も、律儀に何かが消えてゆく。 海水浴場の看板、鳥や魚や貝たち、漁船に桟橋に港の市場、カントダキ屋、イルモン屋……。 カントダキ屋で「関東炊き」と呼ばれていたおでんは、…

EF ^^/ 然修緑 第2集 第7回

EF ^^/ 然修緑 第2集 第7回 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 警醒から学ばねば、自覚は邪知に堕ちる 知命に残された猶予は、あと一年。 十四の年から運命期に入り、晴れて{武童|タケラ}となる。 この一年で{仕来|しきた}りの旅を終えて知命し…

EF ^^/ 後裔記 第2集 第10回

EF ^^/ 後裔記 第2集 第10回 嗚呼、迫る エセラ、十二歳。 窓の外を見ると、今でもそこに、父さんが居るような気がした。 実際は、雑木林が繁っているだけだった。 その雑木林の斜面を少し登ると、半島の南端に辿り着く。 崖の下には、ダキの浜がある。 {磯…

_/_/_/ 然修録 第2集 _/_/_/ 第6回

人生の戦略 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 寺学舎で、こんなひとコマがあった。 「あんたさァ、なんで笑わないの?」と、女先輩。 「ナイーブだと思われるから」と、ぼく。 「あんた、ナイーブの意味、知っとるん?」と、女先輩。 「犯罪誘発…

_/_/_/ 後裔記 第2集 _/_/_/ 第9回

家族 エセラ、十一歳。 書くと、頭の中を整理できる。 だから、書いているだけ。 これが後裔記だとは、誤解しないでほしい。 ぼくの頭の中には、息恒循の教学書で学んだ数々の断片が{放|ほ}ったくられている。 依然、大きな努力はせず、{己|おの}の命はこの…

_/_/_/ 後裔記 第2集 _/_/_/ 第8回

傍観者 エセラ、九歳。 二年ぶりに、後裔記を書く。 あれから、二年……。 二年経ったぼくは、やっぱり真相のことを考えていた。 ほらまたァ! ぼくの頭の中に、真相と題した映像が、映し出されている。 人は、無力だ。 その無力さは、考えれば考えるほど、怖…

_/_/_/ 然修録 第2集 _/_/_/ 第5回

細胞は天才なのに K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 人間は、胃を半分切除されても、生きてゆける。 その人間が、たとえボンクラのロクデナシだとしても、その人間を構成している細胞の一つひとつは、天才の分子で在り続ける。 誰でもみな、天才…