EF ^^/ 然修緑 第2集 第10回 一、想夏 (9) 門人学年 エセラ (美童 齢十三) 「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将 歴史を読まないから未来が亡びる 調査によると、亜種に係わらず、父兄や教師や子等にも係わらず、日本人は、本を読まなくなった。 特に、肝心…
EF ^^/ 後裔記 第2集 第14回 一、想夏 …… 立命期、最後の一年 (4) 良く晴れた昼下がり、この自然{民族|エスノ}の集落の{子等|こら}は、太陽神への恐れを知らない。 浦の砂浜に集い、思い思いに転がって過ごす。 仰向けになって目を細めて太陽神を見遣ってい…
EF ^^/ 然修緑 第2集 第9回 一、想夏 (8) 門人学年 エセラ (美童 齢十三) 「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将 闘いから、戦いへ 一、心を鍛える イコール 闘い 二、敵を亡ぼす イコール 戦い 亜種記にあったムロー学級の先輩たちは、闘った。 それで、よ…
EF ^^/ 後裔記 第2集 第13回 一、想夏 立命期、最後の一年 (3) 夏も盛り、ある夜のことだった。 エセラは、{仕来|しきた}りの旅への焦りで、寝つけない夜を過ごしていた。 そこへ、ほのみたちを寝かしつけたばかりの母が、エセラの枕元に座った。 そして、…
EF ^^/ 然修緑 第2集 第8回 一、想夏 (7) 門人学年 エセラ (美童 齢十三) 「息恒循」齢 立命期・少循令・鐡将 海賊って、なに? ぼくらのご先祖さまは、{能登守教経|のとのかみのりつね}の軍勢の{傭兵|ようへい}だった野島水軍の海賊……だったと、堅苦し…
EF ^^/ 後裔記 第2集 第12回 一、想夏 立命期、最後の一年 (2) 武家屋敷になぞらえるならば、そこに、おはぎが登場しても、不自然ではない。 でも、ここで武家屋敷に譬えたのは、精神面でのことだ。 生活面でなぞらえるなら、オンボロ長屋で暮らしている貧…
EF ^^/ 後裔記 第2集 第11回 一、想夏 立命期、最後の一年 (1) 毎年、そして毎日も、律儀に何かが消えてゆく。 海水浴場の看板、鳥や魚や貝たち、漁船に桟橋に港の市場、カントダキ屋、イルモン屋……。 カントダキ屋で「関東炊き」と呼ばれていたおでんは、…
EF ^^/ 然修緑 第2集 第7回 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 警醒から学ばねば、自覚は邪知に堕ちる 知命に残された猶予は、あと一年。 十四の年から運命期に入り、晴れて{武童|タケラ}となる。 この一年で{仕来|しきた}りの旅を終えて知命し…
EF ^^/ 後裔記 第2集 第10回 嗚呼、迫る エセラ、十二歳。 窓の外を見ると、今でもそこに、父さんが居るような気がした。 実際は、雑木林が繁っているだけだった。 その雑木林の斜面を少し登ると、半島の南端に辿り着く。 崖の下には、ダキの浜がある。 {磯…
人生の戦略 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 寺学舎で、こんなひとコマがあった。 「あんたさァ、なんで笑わないの?」と、女先輩。 「ナイーブだと思われるから」と、ぼく。 「あんた、ナイーブの意味、知っとるん?」と、女先輩。 「犯罪誘発…
家族 エセラ、十一歳。 書くと、頭の中を整理できる。 だから、書いているだけ。 これが後裔記だとは、誤解しないでほしい。 ぼくの頭の中には、息恒循の教学書で学んだ数々の断片が{放|ほ}ったくられている。 依然、大きな努力はせず、{己|おの}の命はこの…
傍観者 エセラ、九歳。 二年ぶりに、後裔記を書く。 あれから、二年……。 二年経ったぼくは、やっぱり真相のことを考えていた。 ほらまたァ! ぼくの頭の中に、真相と題した映像が、映し出されている。 人は、無力だ。 その無力さは、考えれば考えるほど、怖…
細胞は天才なのに K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 人間は、胃を半分切除されても、生きてゆける。 その人間が、たとえボンクラのロクデナシだとしても、その人間を構成している細胞の一つひとつは、天才の分子で在り続ける。 誰でもみな、天才…
知らなかった愛読書の意味 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 良き師友をもち、{座右|ざゆう}には愛読書。 人は、好きな物を好み、集めたがり、見たがり、触れたがり、食べたがる。 座右の書も、読みたがるようでなければならない。 しかも、その…
エセラ、別れの空 エセラ、七歳。 一年ぶりに、後裔記を書く。 ここの海は、{男神|おがみ}のような荒くれたところもないし、女神のような神秘の{煌|きら}めきもない。 港でも町でも、気遣いを覚えるような人通りを見たことがない。 だからぼくは、この港町か…
本気の亜種記 エセラは、燃え尽きるように、後裔記を書いた。 それを、亜種記と呼びたかった。 だが、呼ぶ前に、燃え尽きた。 これを最後に、また暫く、後裔記のフォルダを閉じる。 天、{曰|いわ}く。 和の{民族|エスノ}は、先人たちの努力労苦をよく敬し、…
百八十八年前の十六歳 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 道の精なると精ならざると、 業の成ると成らざるとは、 志の立つと立たざるとに{在|あ}るのみ 百八十八年前、ぼくより三つだけ年上の少年が書いた詩だ。 来年の想夏、ぼくは十四歳となり…
お試し亜種記 一年が経ち、エセラは六歳になった。 矢庭に後裔記を書きはじめ、物語は、唐突にはじまった。 とうさんに、言われた。 「おまえたちには、生まれ持った美質がある。 それを、護り抜け。 そのためには、武の心が必要だ。 それを、養え。 そのた…
命の正体 K2694年 想夏 エセラ 立命期 少循令 鐡将 この世の時空のどこかに もし ぼくらの子孫が存在するなら 伝えたいことがある 命の正体は 感性だ 理性も 知性も あとからいくらでも作ることができる でもね 感性は どうやっても 作れない だって 感…
まえがき アイアム、テレブ。 七十六歳。 {美童名|みわらな}は、サーレ。 自己紹介は、後裔記を諸書として編集している方の「まえがき」に書いたので、省略する。 この編では、後裔記と同様、亜種記編纂のため、然修録を諸書として編集する。 イエロダが編ん…
_/_/_/ 後裔記 第2集 _/_/_/第4回 2024.1.2 配信 五歳が見た夢 宇宙人や幽霊との遭遇より、もっともっとびっくり驚く未知の世界がある。 それが、子どもたちの夢の中だ。 エセラ、ある日の後裔記。 また、夢を見た。 目が覚めたとき、ぼくは、その物語を正…
エセラ、五歳 『ボクは5才』 そんな映画を観た。 夢の中で。 いつもの巻き巻きモニター。 目が覚めて、{現世|うつしよ}の巻き巻きモニターで、調べてみた。 あった。 二六三〇年の「こんにちは」の年、実際に上映されていた。 ぼくの脳ミソは、どこからその…
エセラの日記 エセラの十三歳から十四歳のころの物語である。 彼は今、十五歳だ。 彼が今どうしているかは、なぜか知りたくない気分もある。 最後に読んだ少年エセラの後裔記は、まるで、本当の日記のようだった。 どこかの爺さんが、少年時代のことを懐かし…
まえがき わたしは、テレブ。 七十六才。 {美童名|みわらな}は、サーレ。 五十八年前、ズッケロさんとペーペとわたしの三人で、{仕来|しきた}りの旅に出た。 そのズッケロさんが、亜種記を編んだ。 十四年前のことだ。 ズッケロさんの{武童名|たけらな}は、…
#### 提督外港を眺め{遣|や}る ヨッコ {然修録|165} #### {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。 門人学年 **ヨッコ** 青循令{猫刄|みょうじん} 「世界最強の{美徳|バーチュー}!」……かァ。 ワタテツの顔からは、想像もつかないけど。 あたい的…
#### 青い家と{血潮|ちしお}色の{若鷲|わかわし} マザメ {後裔記|168} #### (青い虫歯の青歯王、ブルートゥース……かーァ!!) 背後に立たれたことに気づいたのは、そう思ったときだった。 手遅れ! 森に住まう美少女のあたいとしては、一生の不覚ってやつー…
#### 薩摩学舎と寺学舎 サギッチ {然修録|164} #### {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。 少年学年 **サギッチ** 少循令{嗔猪|しんちょ} 九州の{薩摩|さつま}地方では、戦争が終わる直前まで、どの町でも郷中教育と呼ばれる独特な教育が行われ…
#### 薪ストーブが映し出すもの オオカミ {後裔記|167} #### 体得、その言行に恥ずるなかりしか。 学徒学年 **オオカミ** 齢14 柄じゃあないけぇ。 ……美しすぎて、{性|しょう}に合わん! ここ、スウェーデンのことである。 スピアとテッシャンは、話しはじめ…
#### どう変わる? スピア {然修録|163} #### {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。 少年学年 **スピア** 少循令{悪狼|あくろう} 今思っていることは、二つ。 一つ、ムロー学人が書いた然修録のこと。 二つ、ヒト種を漢字で書くと、「{一|ヒト}…
#### カゼルタ庭園のクソ{婆|ばばあ}ちゃん ヨッコ {後裔記|166} #### 体得、その言行に恥ずるなかりしか。 少年学年 **ヨッコ** 齢16 モクヒャさんたち{武童|タケラ}タケゾウ組の五人はみんな、{日|ひ}の{本|もと}へ帰る。 現役の{美童|ミワラ}や、その後輩…