#### 一学ムロー「頭ノ悪サハ、大ヲ成ス! 先人偉人カラ、頭ノ妙ヲ学ブ」然修録 ####
『頭が悪いと言われていた子どもが偉人になる{場合|ケース}が多いのは、{何故|なぜ}か!』《頭の悪さ、よし。統計学の成果》《その{論的証拠|エビデンス}、世界に見る四人の偉人》《頭の悪さが高資質となる妙》
学人学年 ムロー 青循令{猫刄|みょうじん}
一つ、学ぶ。
**{主題と題材と動機|モチーフ}**
《 {主題|テーマ} 》
頭が悪いと言われていた子どもが偉人になる場合が多いのは、何故か!
《 その{題材|サブジェクト} 》
頭の悪さ、よし。統計学の成果。
その論的証拠、世界に見る四人の偉人。
頭の悪さが高資質となる妙。
《 この主題と題材を選んだ{動機|モーティブ} 》
ツボネエの然修録……その問い掛け。
「アタイらの日記……後裔記も、学習帳のこの然修録も、数百年の時を超えて、アタイらの子々孫々に読んでもらえる可能性が、**大!**ってことじゃん?」
俺の心が、正直に答えた。
(俺は今、*無知*運命期。
七年間の循令の、三つ目……青循令。
その三年目の猫刄にして、齢は17。
未だ、知命出来ず。
{故|ゆえ}に、{武童名|たけらな}を名乗れず。
{即|すなわ}ち、未だ{武童|タケラ}に{非|あら}ず!
こんな*おバカ*の日記や、{況|ま}してや学習帳が、数百年の時を超えて、後裔たちに*先人語録として*読み継がれる?
無いなーい!!)
と、そう思った途端に、{斯|こ}う思わずには{居|い}られなくなった。
(果たして、先人偉人の中に、少年少女期に*おバカ*った人は、一人も居なかったのだろうか。
例外が、一人くらい、居るんじゃないのか。
もし一人でも居たなら、その一つの例外が、俺の*おバカ*の頭に、一筋の光を、射しこんでくれるんじゃないだろうか)……と。
**題材の{講釈|レクチャー}**
《 頭の悪さ、よし。統計学の成果 》
俺は、鈍物である。
俺は、無能である。
俺は、恐らくは無意識で、今現在の自分に納得がゆかないすべての理由が、その生まれながらの*鈍物*や*無能*であって欲しいと、願っている。
そう願いながら歴史を{紐|ひも}{解|と}いてゆくと、先人たちが、斯う語り掛けてくる。
「鈍才、{凡庸|ぼんよう}、大いに結構♪」
{況|いわん}やッ!
「秀才や英才でなければ、学問や修行や職分で成功できなかった」……などという*バカな*史実は、過去には存在しないということだ。
{寧|むし}ろ、*おバカ*即ち〈あんまり頭が良くない〉どころか、*大バカ*即ち〈{甚|はなは}だ出来が悪い〉ほうが、非常なほどに**大**を成した人物が、少なくない……どころか、{枚挙|まいきょ}に{暇|いとま}がない!
この史実、現代の学問風に言うならば、正に、*統計学*の成果である。
《 その論的証拠、世界に見る四人の偉人 》
【一人目】
ナポレオン Napoleon. Bonaparte
1769年~1821年
世界で一番、いっぱい伝記本が発刊されている人物。
フランス革命に参加して戦功をあげ、クーデターにより統領政府をつくり、皇帝となり、〈ナポレオン法典〉をつくった、驚くべき人物。
その少年期……。
兄弟13人。うち5人が{早逝|そうせい}。残る8人の中で、一番できが悪かった。しかもその悪さは中途半端ではなく、相当に深刻なものだった。
{終|つい}に{乳母|めのと}は{匙|さじ}を投げ、学校の受け持ちの教師に到っては、ナポレオンの頭の悪さに困り果て、「この子の頭の中には、何か{腫物|はれもの}が出来とるんじゃないかッ!」と、真面目にそこまで言っていた。
【二人目】
ベスタロッチ Johann Heinrich Pestalozzi
1746年~1827年
スイスで家庭教育と学校教育の大切さを説いて、その改革を{為|な}し{遂|と}げ、民衆教育の師表とまで呼ばれた、驚くべき人物。
その少年期……。
教師を徹底的に悩ませた鈍才で、{殊|こと}に……なんと! 字が書けなかった。
【三人目】
ニュートン Sir Isaac Newton
1642年~1727年
言わずと知れた、イギリスの物理学者。万有引力の法則を発見。その名声は、数学や天文学にも及ぶ。正に、驚くべき人物。
その少年期……。
彼もまた、学校の成績は、やっとこさでビリから2番目なら万々歳という鈍才ぶり。友だちから馬鹿にされる日々。
ある日、{堪|たま}りかねて{喧嘩|けんか}に及ぶ。その喧嘩が契機となり、発奮したらしい。
【四人目】
ダーウィン Charles Robert Darwin
1809年~82年
こちらもイギリスの、言わずと知れた生物学者。ビーグル号で南半球を探検調査し、あの有名な〈進化〉を論じた。
その少年期……。
これまた負けじと鈍才で、妹にも敵わず。
受け持ちの教師は、彼を「愚か者めッ!」と、{面罵|めんば}する始末。
《 頭の悪さが高資質となる妙 》
西郷南洲(隆盛の雅号)や東郷元帥にしても、今どきで言えば、私立の進学校などには到底及ばない鈍才凡才ぶりだったという。
ただ、発奮と努力だけが、桁外れに人並外れて{秀|ひい}でていただけ……と、いう{訳|わけ}だ。
鈍才は、自分をごまかさない。ゆっくりと、*自然*に任せて、{漸|ようや}く一つを習う……即ち、{漸習|ぜんしゅう}。
{綺麗|キレイ}で上品を強調した{上手|じょうず}な字。
これ、無論よし……だが、それだけのことだ。
「字が{上手|うま}いね」、「器用だね」……で、ある。
逆に、不器用ながらも、一所懸命に、{丁寧|ていねい}に書かれたヘタっぴな字は、何とも、**味**がある。重みと厚みがあるということだ。
馬鹿の一つ覚えと笑われていることでも、その一つを、一所懸命に何度も何度も練り上げれば、それは、どんなに器用であっても、見た目や{世間体|せけんてい}重視の軽巧などが、敵う相手ではない。
そういう世間体や{面子|めんつ}ばかりを気にしている*秀才もどき*の人間のことを、昔から……。
「外に{趨|はし}り、表に浮かみ、内を修めず、沈潜し{難|がた}い」
と、言うそうだ。
まァ、味も無く、大も成さずという訳だ。
結局、高資質の**妙**の正体は……。
貧乏であり、病弱でもある。
「頭が悪い!」であり、「才が無い!」でもある。
《 {蛇足|スーパーフルーイティ} 》
後裔記のこと……。
もし、マザメくん、オオカミ、スピア、サギッチの4名が、*この世で*この然修録を読んでいたならば、以下のことを、伝えたい。
本当に*おバカ*な動物は、この世でなんら一つの感動も残さず、長くも短くも、時間をただ無駄に費やすのみ。
もし君らが海難で死んでいるならば、それは、君らが一人残らず、時間を命と{悟|さと}り、命を削ることに耐えがたく、自ら決めて、己の命の削れるところを〈無〉とした一級の{論的証拠|エビデンス}だと言えるだろう。
もし万が一、まだ君らがこの世に残って{居|お}るならば、それは、ほんの*ちょびっと*、ほんの少しだけ、まだ望みがあるという可能性が、まったく無いということでもないと思う……たぶん。
その有るか無いかも判らない*ほんのちょびっと*の望みを、どう育てるかによって、ナポレオンを{凌|しの}ぐ**大**を成すこともできれば、やっぱり*おバカ*として生きて、{程無|ほどな}くそのまま死んでゆくことにも相成ろう。
まァ、俺{然|しか}り、すべては自分で決めることだ。
余計なお節介をするほど、俺は、*おバカ*じゃない。
……と、信じたい(アセアセ)。
てか、そう願う(ポリポリ)。
_/_/_/ 要領よく、このメルマガを読んでいただくために……。
Ver.,1 Rev.,7
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