エセラ、五歳
『ボクは5才』
そんな映画を観た。
夢の中で。
いつもの巻き巻きモニター。
目が覚めて、{現世|うつしよ}の巻き巻きモニターで、調べてみた。
あった。
二六三〇年の「こんにちは」の年、実際に上映されていた。
ぼくの脳ミソは、どこからその映画を持ってきたんだろう。
ぼくが、マイナス五十一歳のころの映画なのに……。
まァ、いいけど。
{美童|ミワラ}の{七息|しちそく}?
寺学舎のお兄さんたちが、そんな話をしていた。
変人の少年が、生まれ持った美質。
そんな話だったと思う。
外国人が使っている世界地図を見た。
ぼくが住まっている浦町から、そんなに遠くないところに、いっぱい島が印刷されている。
実際に行ってみると、遠いに違いないけど。
ぼくの周りに魅力的な{物|ブツ}は、一つもない。
ブツというのは、ヒト種のことだ。
世界地図に印刷されている島に行けば、面白いブツが、きっとある。
それを、書いてみたいな。
もし、どうしても、後裔記を書かなきゃならないんなら。
もし、ではない。
書かなきゃならない。
大人たち……{武童|タケラ}が、亜種記を編むため?
どうして、そんなものを編むの?
ぼくらの手袋とか首巻きとかを編んでくれたほうが、よっぽど世のため子どもたちのためになると思う。
どうやら、世のためでも、ぼくら{美童|ミワラ}のためでもないみたいだ。
じゃあ、誰のため?
まァ、いいけど。
今日も、ブツの大人たちが、騒いでいた。
「この星が、消えてなくなる。嗚呼、たいへん!」
それが本当なら、騒いだって、どうしようもない。
ブツどもは、ただ、恐怖を{煽|あお}りたいだけ。
原始的な、洗脳手法。
そんなことくらい、子どもなら、みんな知ってる。
他人は、洗脳してでも変えたがるのに、自分は、頑として変えたがらない。
だから、ブツはみんな、変人。
「自分は、常に正しい」
「本当の自分は、誰よりも{優|すぐ}れている」
大人のブツどもは、みんな、そう思っている。
笑える。
確かに、子どもたちに笑われる能力だけは、優れている。
でも、これは、そいつらには言えない。
否定すると、怒りだすからだ。
理由は、ぼくらが子どもだから。
子どもより、自分たち大人のほうが優れてるって、思ってるからだ。
本当のことを知るって、勇気が{要|い}るんだ。
勇気がないから、本当のことを知りたがらない。
まァ、いいけどね。
ぼくらは、自然エスノ。
そうらしい。
ヒト種の下位の、亜種だ。
他に、ぼくらと同位の亜種は、文明エスノと和のエスノがある。
和のエスノの子どもたちには、会ったことがある。
ぼくら自然エスノと和のエスノは、保護亜種と被保護亜種の関係にある。
ぼくら自然エスノが、和の人たちを護っているらしい。
問題は、文明エスノの{奴|やつ}らだ。
奴らは、生まれ持った美質を{棄|す}て、{戈|ほこ}を{止|とど}める心を死滅させてしまった。
大罪人、世界中の原始ヒト種の敵だ。
「戈を止める」を一文字で書くと、「武」。
だから、自然エスノの大人たちは、{武童|タケラ}と呼ばれている。
そしてぼくら、自然エスノの子どもたちは、生まれ持った美質を守ってるから、{美童|ミワラ}と呼ばれている。
話が、飛んだ!
まァ、いいけどね?
文明エスノの奴ら、心の中の大事なものを棄てまくったんなら、そのまま、空っぽのままにしときゃいいものを、何を考えたんだか……まァ、空っぽだから何も考えられなかったんだろうけど、その空っぽの心に、{A|Airtificial}{I|Intelligence}の貴金属を埋め込んじゃったんだ。
まァ、いい?……わけないじゃん!
常に、他人と自分を比較し、他人を{羨|うらや}み、他人を{妬|ねた}み、うじうじして心の中が分裂して、{挙句|あげく}分断、そして激突……結果、他人に八つ当たりして、自滅する。
そんなバカどもに八つ当たりなんかされてこの世から放り出されたら、たまったもんじゃない。
まァ……も、クソもない。
いいわけないじゃん!
頭に貴金属を埋め込んだ奴らも、文明エスノって呼んでいいの?
文明エスノとは区別して、ヒト種の下位から除外すべきだと思う。
今日、閑話休題って言葉を覚えた。
意味は、「そうそう、ほんでねぇ♪」だ。
閑話休題。
AIって、他にもある。
島だ。
{A|Abdominal}{I|Island}。
霊薬が{繁|しげ}る島。
神霊が{棲|す}まう島。
アブドミナル・ブレイン……腹脳……ご先祖さまたちの心を持った原始ヒト種が、住まう島。
そんな島に、行ってみたい。
まァ、絶対に行くけどねッ♪
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発行 東亜学纂
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A.E.F. Biographical novel Publishing