MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

ミワラ<美童>の座学日誌 No.116

#### マザメの座学日誌「人間には{宿業|しゅくごう}がある。眼目は脳ミソを使え!」{然修録|116} ####


 『人間は、働き続ける……宿業。{歪|ひず}む人間関係……{如何|いか}に働き続けるかッ!』
 《激動・激変時代の根源と課題》
 《カラダで覚えろーォ?! 身体に、脳ミソは無い!》
   学徒学年 マザメ 少循令{悪狼|あくろう}

 {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。

      **{主題と題材と動機|モチーフ}**

   《 {主題|テーマ} 》

 人間は、働き続ける……宿業。
 歪む人間関係……如何に働き続けるかッ!

   《 その{題材|サブジェクト} 》

 激動・激変時代の根源と課題。
 カラダで覚えろーォ?! {身体|からだ}に、脳ミソは無い!

   《 この主題と題材を選んだ{動機|モーティブ} 》

 オオカミの野郎の後裔記、**格物**より。

 {莫|まく}妄想不要の極意!

 それは、「貢献できることに、集中する」ということ。 
 
      **題材の{講釈|レクチャー}**

   《 激動・激変時代の根源と課題 》

 なんか、堅苦しいタイトルになっちゃった!
 言い換えると、多極化、多様化、スピード化ーァ??
 でも、結局は、多極化も多様化も、根本は……スピードアップ!

 今みたいに経済の低成長っていうか、景気の悪い時代に、組織……企業が生き残るためには、{兎|と}に{角|かく}スピードアップだ。
 「丁寧に、綺麗にね。でも、速く!」……みたいな。
 文明{民族|エスノ}は、言わずもがな、そのスピードアップを、人工知能や電脳チップに頼った。
 でも人間は、いくら人工知能のチップを頭に埋め込んだからといっても、コンピューターになれる{訳|わけ}じゃない。人間には、宿業がある。昨日まで働き続け、今日も働き、また明日からも、働き続ける。
 そこに、スピードアップの{軋轢|あつれき}が……すると、いろんなものが、{歪|ひず}んでくる。特に、人間関係。不登校も、転職も、詰まるところ……その根本は、人間関係の歪なんだと思う。

 学校は、個人的に熱意がある先生を除いて、大概は、何もしてくれないし、そもそも、先生自体が、歪んだ教育や社会の中で育っているから、問題意識すらないか、あったとしても、逃げたり知らん顔をするしか、{術|すべ}を知らない場合が多い。

 でも、組織、企業……会社は、そうはいかない。
 それっくらいのことは、あたいにだって判る。
 じゃあ、実際問題、どうしているのか。敗戦後、いろんなものが、保護国アメリカから入ってきた。会社が目指すところの眼目も、例外ではない。
 無論、仕{来|きた}りの旅の経験すらないあたいには、体得としての知識はない。
 読書によると、近年の会社の課題は、スピードアップのためのコンピューターの活用や、作業の合理化は勿論のこと、それと肩を並べる大問題として、人間関係の{歪|ひずみ}を、{如何|いか}に正すかにあるようだ。
 その眼目は、主に、次の三つ。

 一に、如何に{志気|モラール}を起こさせ高めさせるか。
 二に、人間関係の歪を、如何に{是正|ぜせい}するか。
 三に、自己の啓発と管理を、如何にせん!

 ……みたいな(アセアセ)。

 《 カラダで覚えろーォ?! 身体に、脳ミソは無い! 》

 世の中には、訳の判らないことが、多過ぎる。
 判らないというより、{寧|むし}ろそれらは、理不尽であることが多い。

 武道や修行では、「一切、理屈は言わない。ただひたすらに師匠の教えをそのまま受け入れます」と、暗にも明にも誓約しなければならない。その教えとは、武術とはまったく無縁であることが多い。

 格闘技にしても、相撲は、不可解だ。
 力士は、{何故|なにゆえ}に、何度も何度も仕切りをするのか。あの行司の{勿体|もったい}ぶった軍配さばきは、時間の無駄にしか思えない。オリンピックみたいに、トーナメント方式で勝ち抜き戦にすれば、あんなに何日も何日もかけなくても済むのに……。
 やはり格闘技というものは、「サクッと出てきて、レフェリーの合図で、直ちに殴り合う」っていう{遣|や}り方が、最も合理的だし、観ている人たちにも、ストレスを与えないで済む。

 でも、武道とか修行というものは、無駄で理不尽に感じられることのほうが、多い。
 例えば、弓道の師匠に前出の誓約をして、修行をしている弟子の一人が書いた日記には、こんなことが書いてあったそうだ。

 「弓が重く感じられるのは、呼吸が悪いからだ」と言われて、腹式呼吸の練習をさせられたが、練習では出来ても、いざ弓を引き絞るときになると、やっぱりどうしても呼吸が乱れてしまう。
 「肩の力を抜け」と、{喧|やかま}しく言われるが、力を抜いてしまうと、弓を持ち{堪|こた}えることができない。
 結局、射手の腕前は、一向に上達しない。そこで彼は、考えた。要は、矢が弦を放れる瞬間に、集中しさえすればいいのだ。そうすれば、矢は真っ直ぐに飛び、的中率も、上がる♪
 ……と、そのことを師匠に言うと、なんと! 怒鳴られた。
 「{放|はな}れのことを考えるのは、やめなさい!」
 彼は、誓約を犯して、怒鳴り返した。
 「それじゃあ、しくじるに決まってます。弦を引いているのが、ただ苦しくなるだけです!」
 すると師匠は、{斯|こ}う言ったそうだ。

 「それは、あなたが自分自身から離脱していないからです。このことを*感じ*とりなさい。それは、{至極|しごく}簡単なことです。
 要領は、例えば笹の雪から学べます。雪の重みで、笹は、だんだん低く押し下げられます。突然、積もった雪が、滑り落ちる。……が、笹は、動かないのです。
 この笹のように、一杯に引き絞って、満を持していなさい。**射**が落ちてくるまで。引き絞りが充実されると、**射**は、落ちなくてはなりません。
 射手が射放そうと考えぬうちに、自ら落ちてこなくてはならないものなのです」

 彼は、今までの修行が、すべて無駄だったように思えてきた。射が自ら落ちてくるまで、気を{遣|つか}わずに待っていられようはずがない。
 ({何故|なぜ}自分は、こんな{陸|ろく}でもない修行を、やっているのかッ!)とも、思ったそうだ。
 そして彼は、考えた。自分の欠点は、師匠がいつも{危惧|きぐ}して言っている「無心、無我になりきれない」というところにあるのではなく、三本の指が、{拇|おやゆび}を強く押し付け過ぎている点にあるのだ……と、いう結論に到達する。
 *放れ*を長く待たせておけばおくほど、{益々|ますます}三本の指が、拇を押し付けるようになってしまう。
 ここで彼は、要領を{会得|えとく}し、それを、実践した。弓を引き絞ったのち、拇の上にかけた指を、ゆっくりと徐々に、用心しながら伸ばしてゆくと、ひとりでに、その位置から引き離される瞬間を感じることができた。
 射が、電光が{如|ごと}く放たれた瞬間だった。正に、*笹に積もった雪のように*、落ちてきたのだ。これによって、{射的|いてき}率は、飛躍的に向上したそうだ。

 正に、要領を会得し、それを、体得した瞬間だった。
 教えは、{身体|からだ}で覚えることはできる。
 でも要領は、やはり頭で考えなくては、掴み取ることはできないのだ。
 厳密に言えば、前出の誓約に反したことになる。修行としては、また師匠に怒鳴られる不始末をしでかしたことになる。でも彼は、実際問題、誓約どおりに、長きに{亘|わた}って修行したお陰で、その副産物として、要領を体得することができたのだ。

 そう考えても、{善|よ}いと思う。

      **{自反|じはん}**

 師匠……社長、上司、先輩の教えを受け{容|い}れ、誓約する。そして、実践。その実践の中から、副産物を得られることもある。それが、会得体得された、要領というものだ。
 例えばそれは、善い意味での〈手抜き〉であったりする。但しそれは、{飽|あ}くまで副産物でしかない。誓約を忘れて、誓約に反したことを言ったり行ったりしてしまえば、副産物もろとも、すべてが無駄になってしまう。

 これが、宿業というものなのかもしれない。

 『 誓約する → 集中する → 考える 』

 一に、「一切、理屈は言わない。ただひたすらに師匠の教えをそのまま受け入れます」と、心の中で誓約する。

 二に、貢献できることに、集中する。

 三に、成果を上げる方法を、考える。

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