MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

後裔記 第1集 No.128

=--=--=--=--=--=--=--=--=--=--=--=--
未来の子どもたちのために、
成功するための神話を残したい。
そのために、働く! 読む! 書く!
人生は、今とここのみ。
{生業|なりわい}は、{莫|まく}妄想、意識、要領。
嗚呼、嗚呼、嗚呼……阿呆寅、
まだ、五つ♪(×12年駆動)
南内 彬男
なんだい! あきお
=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=
_/ 1 /_/ 『亜種記』 *電子書籍
息恒循を学ぶ子どもたちの闘戦の旅
_/ 2 /_/ 「後裔記」 *メールマガジン
亜種記を構成する諸書(実学紀行)
_/ 3 /_/ 「然修録」 *メールマガジン
亜種記を構成する諸書(座学日誌)
=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=
_/ 2 /_/ 後裔記 第1集の子どもたち
寺学舎 美童(ミワラ) ムロー学級8名
=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=::=

※電子書籍編集のための記号を含みます。
  お見苦しい点、ご容赦ください。

#### ヨッコの実学紀行「会心のすごろく洞察ゲームでズングリ丸に戻れ!
」{後裔記|128} ####

 ● 美人旅芸人の洞察と、{長|おさ}ムローの想い
 ● 予想から{外|はず}れないムロー学級の単細胞行動!
 門人学年 **ヨッコ** 齢15

 体得、その言行に恥ずるなかりしか。

 ◆◇◆
 美人旅芸人の洞察と、長ムローの想い

 責任重大!
 何が? {何故|なにゆえ}に?
 この世の中で、本当に頼れる人は、たったの一人しかいない。
 その一人とは、誰でもない。自分なのだ。
 ……と、そんな話を、ムロー先輩から耳打ちされた。
 ……で、{俄|にわ}かに外舎を後にした。
 {因|よ}って、ムロー学級の生き残り七名の夕飯の{支度|したく}の優先順位は、地に落ちた。
 *生き残り*だなんて言葉を使うと、まるでワタテツの野郎が、もう{既|すで}にこの世に居ないかのような物言いになっちゃうんだけど……でもさ。
 実際問題、{棲息|せいそく}的な衣食住を{強|し}いられているにせよ、まだ生存していることを確信はしているんだけど……でもさ。
 暫くは、死んでいてもらったほうが、何かと、都合がいいのよ。

 今、最優先されるべき目的は、{未|ま}だ見ぬ{家船|えぶね}……ズングリ丸とやらに、あいつら六名が、無事に帰り着くことだ。そのためには、ズングリ丸の居場所を知っているに違いない港湾管理棟の留置室に居た二人の若者に、再度、お目通りを願わねばならない。
 ここで、本来ならばいろいろと調べた上で、その方法を並べてみるところだけれど、今それをやると、ただの時間の浪費……{即|すなわ}ち、無駄に命を削ることになる。なので、ここは直観を頼みにして、最初に思いついた方法を、最適なものと決めてしまう。
 次は、言わずもがなの手順書だけれども、実は、手順書を書くほどの行程はない。オオカミ船長以下ズングリ丸の乗組員たちは、港湾管理棟から目隠しをされて、車に乗せられて遠路を走り、やっと降ろされたと思ったら、今度は、あたいに連れられて、遠路を歩かされた。
 実は、これ……港湾管理棟から遠く離れた原っぱまで車で連れて行かれ、そこから歩いて港湾管理棟がある方角に歩いて戻ってきただけのことなのだ。そう……港湾管理棟と外舎とは、昔で言う小学生たちの通学路ほどの距離しか離れていないのだ。
 その短い距離を、あいつら六人を引き連れて、港湾管理棟まで歩く。ここで、それがうまくいかなかったときの〈逃げ道〉を考えておかないといけないわけなんだけど、ここは、「命の削り節が、どうちゃら♪こうちゃら♪」なんかじゃなくって、ただ単に、{面倒|めんど}っこいだけぇ! だから、{端折|はしょ}るねぇ♪

 ……で、手順書。
 {嗚呼|ああ}、あかんわーァ!!
 ただ歩きゃいいってーぇもんなんだけど、あたいが港湾管理棟のおにいさんに連れられて歩いて来た道は、監視の目が厳しい。あたい一人なら、なんの問題も無い。だってあたいは、信用されてるんだもん。しかも、注目の{的|まと}! 和のエスノの天真爛漫な美人の{乙女子|おとめご}ちゃん……みたいな♪
 でも、そんなあたいも、オンボロ船で漂着した正体不明の小汚い身なりの少年少女を六人も引き連れていたら、さすがに痛いところが無傷とはいかない。馬鹿みたいに……ん? あーァ、こりゃ馬さん! 失礼しました。元い。
 鹿みたく、せっかく上手に隠れているのに、{何故|なぜ}か突如、危険な道に飛び出してくるみたいな真似は、したくない。何故なら……二足歩行動物の{股間|こかん}に係わる問題だからだッ! ……まァまァ、そう言わずに……(ポリポリ)。

 {兎|と}にも{角|かく}にも、そんな訳で、実行に移せない。
 調査に、戻る。
 すごろくゲームかい!
 誰かさんが没頭したオッサン追ん出しゲームには{敵|かな}わないけど……まァ、人生ってさァ。ゲームみたいなもんさ。急がば回れってね。遠回りしたって、実行したからには、必ず成功させなきゃならないんだから。そして、祝杯を{挙|あ}げる♪ そこまでいかないと、肝心の{反省と方法の見直し|フィードバック}が出来ない。
 百年ごとに必ず起こる人類の{掟|おきて}……大動乱! ここで、我ら自然{民族|エスノ}は、人類存続のために、なんとしても生き残らなければならない。その大動乱まで……そろそろ、秒読みの段階に入るのだ。どれだけ行動して、どれだけフィードバックできるかが、生き残れるか廃残するかの運命の分かれ道となる。

 まァ、そんなこんなを調べたり考えたりしながら一人で{彷徨|さまよ}い歩き、そして夕刻……あいつらが待つ外舎へと戻ったあたいなのでした……(ポリポリ)。

 ◆◇◆
 予想から外れないムロー学級の単細胞行動!

 その夕刻……外舎が、見えてくる。
 何やら、騒がしい。
 和の人たちは、総じて大人しい。
 騒いでいるのは、ムロー学級の問題児ども!
 あたいの顔を見るなり、マザメちゃんが、言った。
 「腹へったわァ! あたい、森で寝るわァ。よろしくーぅ!!」
 ぼんやりとした顔で突っ立って、級友たちの騒音を上の空で聞き流していたスピアが、唐突に言った。
 「ぼくら、昼ご飯、食べてないかもーォ?!」
 ショロジイが、耳を失ったかのように、仏壇の前で和蝋燭に囲まれて、手を合わせて{静座|せいざ}している。
 すると矢庭に、ムロー先輩が、言った。
 「直ぐに、この島を出るぞッ!」
 オオカミの野郎は、何やら、ボソボソと{呟|つぶや}いている。

 「和蝋燭、安くないだろうに。港湾で汗水垂らして稼いだ金だろうに。それが、人生の結末……かァ。人生は、人の数だけある……かァ。おれは、愛艇を、見捨てるべきではない。なんで命じられるがまま、こんなところに来てしまったんだろう。でも、もし抵抗していたら、三択。監禁、抑留、処刑。
 この世って、オッサン追ん出しゲームの盤面と{同|おんな}じだな。誰もが誰かを、必死で追い出そうとしてる。
 戻らなきゃ!
 港湾管理棟だか留置場だかなんだか知らないけど、おれたちの愛艇が……今、どうなってるのか。それを知るためには、あそこに戻るしかない。
 保安ってさァ、笑っちゃうよな。だってさァ、この世に存在しないんだから。おれたちに必要なのは、保安でも平和でもない。自警だッ!
 おれも、ここを出る」

 なんかさァ……。
 ワタテツとオオカミとサギッチ、三人とも……なんか、似てるよねぇ♪ そのサギッチが、言った。
 小声……{梢|こずえ}に{囁|ささや}く風の音が{如|ごと}く……それは、{微|かす}かな空気の振動だった。

 「{昼飯|ひるめし}は、遠い過去。今は、夕飯の{時|さだ}{過|す}ぐを案ずるべきとき。しかも、刻々と……。時令に{順|したご}うて{以|もっ}て胃気が……吠えるカナ。
 おれは、亜種自然エスノ……極右勢力の筆頭、{鷺|さぎ}助屋一族の後裔だ。ここ、軟禁施設の外舎も、監禁施設の内舎も、抑留施設の上舎も、おれが進むべき道には、無用だ。
 おれも、ここを出る」
 
 そして、ツボネエちゃん。
 「墓場だよねーぇ♪」と、その{一言|いちごん}のみ。
 「精気のない和の変種に、そのうえ幽霊まで出てこられたら、たまんねーぇやッ!」と、オオカミ君。
 (この辺で手を打たないと、次の瞬間には、ムロー学級は離散だねッ!)と、思ったあたいの目をチラッと見たムロー先輩が、自分の懸念が正しいことを確信したかのように、口を挟んだ。
 「なァ。少し、散歩でもしようじゃないかァ」

 ムロー学級総員八名、現在員七名……一人の例外もなく、外舎の出口へと、無言で歩き出すのだった。
 ({既|すで}に、そのサダ過ぐ。ここに戻るサダは、今の今まで今だった過去に、{葬|ほうむ}られたのだ)……と、{何気|なにげ}に妄想に{耽|ふけ}るあたいだった。

 **{格物|かくぶつ}**

 ムロー先輩が、然修録に、こんな題材を選んでいた。
 「{大石内蔵助|おおいしくらのすけ}と、ナポレオン。
 どちらが本当というか、本物というか……。
 真のリーダーに{相応|ふさわ}しいのは、どっちだァ!」……みたいな。
 ムロー先輩は、大石内蔵助タイプだね。
 悪くない♪
 アドラー先生の目的心理学に、〈共同体感覚〉ってのがあった。平たく言えば、仲間意識。でも、あたいらは、そんな{生易|なまやさ}しいもんじゃない。あたいら{民族|エスノ}の存亡が、{懸|か}かっている。もし、あたいらが{亡|ほろ}びれば、人類も、亡びる。和の人たち……亜種、和の{民族|エスノ}は、既に、廃残に{瀕|ひん}している。
 我らムロー学級八名は、仲間なんかじゃない。同志だ。たとえ一人とて、脱落は、許されない……否、許さない!

 だから、ワタテツに告ぐ!
 「抑留されようが処刑されようが、そんなことは、どうでもいい。
 ただ一つ……脱落は、許さない。
 だから、よろしくーぅ♪」
 
_/_/_/ ご案内 【東亜学纂学級文庫】
Ver,2,Rev.10

https://shichimei.hatenablog.com/about

【レーベル】〈メルマガ配信〉 東亜学纂学級文庫
熊本県阿蘇市一の宮町
《阿蘇神社総本社/肥後一の宮「阿蘇神社」最寄》

【パブリッシング】〈電子書籍発行〉 東亜学纂
広島県福山市鞆町
《日本遺産/国立公園第一号「鞆の浦」平港最寄》