MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

然修録 第1集 No.134

#### サギッチの{然修録|134}【1】座学「感激性と{躾|しつけ}」【2】息恒循〈前期〉{立命期|りつめいき} ####

 {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。
 少年学年 **サギッチ** 少循令{猛牛|もうぎゅう}
     
【1】座学
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感激性と躾

 **「真剣に{悪|にく}む」は、道徳の実戦**

 「最高峰の要領……道で言えば『極意』、俗に言えば『悟り』、禅では『{見性|けんじょう}』」……かァ。言わずもがな、スピアの然修録。
 「人間というものは、自分で罪と認めながらも、その罪に少なからぬ愛着を持ったり、未練を引き{摺|ず}ったりしているという。正に、清く透き通った氷柱のような、鋭利な論評だ」……かァ。こちらは、マザメ先輩の後裔記。
 どんなに大努力して{某|なにがし}かの分野の最高峰の要領を極めたところで、人間の本性……罪への愛着は、不変。それが人類の、普遍の真理……かァ。
 悟りを開いても、人間は、罪への愛着を{棄|す}てられない。罪……憎悪……そう、{憎|にく}むこと。

 孔子よりも三十一歳も若い{子貢|しこう}という弟子が、師である孔子に、{斯|こ}う訊ねた。
 「君子も、人を悪むことはあるか?」
 すると孔子は、こう答えたという。
 「悪むことがある。
 人の悪を称する者を悪む。
 下に{居|い}て上を{謗|そし}る者を悪む。
 勇にして礼無き者を悪む。
 そんな人は破壊と無礼に{堕|だ}し{易|やす}いからだ。
 {果敢|かかん}にして{塞|ふさ}がる者を悪む。
 人の言葉に耳を傾ける雅量のない者のことである」
 意外や! 随分といろんな人を、憎んでいる。
 極意も悟りも見性も、「決して、喜怒哀楽を抑えることではない」と、言えそうだ。……と、いうことはだ。喜怒哀楽の感情を抑えて物静かに座っていれば、一見、徳があるように見えるが、実は、そうとも限らないという{訳|わけ}だ。

 陽明先生……王陽明も、こんな語録を残している。
 「人生万変と{雖|いえど}も、{吾|わ}が{之|これ}に{應|おう}ずる{所以|ゆえん}は喜怒哀楽の四者を{出|い}でず」
 道徳の心構え……心得として大事なことは、{如何|いか}に喜び、如何に怒り、如何に悲しみ、如何に楽しむかであって、「決して、無味乾燥の乾物のような、*無感動の心*ではない」という意味のことを、言っている。

 要は、感激性を持って、味のある命を運ぶ……それが、運命。
 命を運ぶ道……それが、「道徳の**道**」というものであろうか。

 **教育から躾を排除した日本人……その大罪の結末**

 喜怒哀楽の「怒」と言えば、例えばその一つに、反対運動がある。その怒りには、時として、不条理というか、不可思議に思えてならないものもある。

 例えば、原子力発電所の建設計画。先ず、原子力エネルギーが必要不可欠であることは、丁寧に説明すれば、{殆|ほとん}どの人が、解ってくれる。これは、欧米であろうが、日本であろうが、世界共通だ。ところが、いざ自分が住んでいる地域に原子力発電所が建設されるとなると、欧米人との日本人とでは、大きな違いが出てくる。
 欧米人は、「それは仕方がないことなので、みんなが従うべきだと思うが、その代わり、納得できる保証を提示してくれ!」といった反応を示し、計画は順次具現してゆく。
 対して日本人の場合は、「原発は賛成だが、俺が住んでる地域に建設するのは、反対、反対、ハンターィ!!」てな具合で、地域ぐるみで、必死の反対運動が巻き起こる。
 もし稼働後に、発電所の周辺から放射能が検出されたとしたら、それが{譬|たと}え人体に全く影響のない範囲のごく微量であったとしても、そのニュースが流れるや否や、魚介類も農産物も、バッタリと売れなくなってしまう。
 放射能は、確かに検出されたけれども、汚染された海藻を、毎日欠かさず十年食べ続けてやっと、その累積の放射能の量が有害の域に達するかどうか……という程度の、ごくごく微量の放射能だと説明しても、「反対、反対、ハンターィ!!」である。
 この違いは、民族性などというものではなさそうだ。
 教育の違い……。

 欧米の人たちは、我が国が、{聖驕頽砕|せいきょうたいさい}で大敗する直前まで教育現場で使っていた道徳の書……『教育勅語』を、絶賛している。ところが、当の日本人は、それを{扱|こ}き下ろしにして、読みもしない。これも、教育の違いだ。言い換えれば、敗戦被保護国の国民である日本人に対する徹底した洗脳教育……正に、占領政策の成果だ。

 原発嫌いも、教育勅語嫌いも、本音のところでは、その重要性を認識しているにも関わらず、少しでも自分と直接関係しそうになると、「嫌い、嫌い、キラーィ!!」になってしまう。どちらの「嫌い」も、潜在意識の叫びに他ならない。{言葉|コトバ}記憶である「原発」も、「教育勅語」も、{心象|イメージ}記憶である「嫌い」と、結びついているのだ。
 原子力船「むつ」の出力テストのときの放射能漏れも、まったく同様だ。そのとき漏れた量は、レントゲン検査で受ける量よりも少ない、ごくごく微量だったそうだ。それなのに、以来{継子|ままこ}扱いされ続け、そのまま廃船! しかも、ただ継子扱いにするためだけに費やされた国民の血税は……なんとなんと、五百億円超え!
 欧米人なら、そんな微量の放射能を検出できる技術の方を、絶賛してくれていたかもしれない。「むつ」とほぼ同時に完成した西ドイツの原子力船「オットハーン」は、順当に進水から運行までその勤めを{全|まっと}うし、惜しまれながら現役を引退したそうだ。

 欧米社会では、言葉によって、自分の考えや頭に描いているイメージを、相手に伝える。また、言葉によって、相手の意見やイメージを、理解する。そうやって、お互いにとって最善の方法を、言葉によって決める。そこで一旦決めた以上は、その決めごとを、守り続ける。{所謂|いわゆる}これが、躾だ。
 躾が出来ているから、本音と建て前の食い違いも、生じにくい。だから、前述の原発計画の話のように、「理屈がそうで理解できるなら、自分もそうでなければならない。仕方がない。でも、保証は、ちゃんとしてねぇ♪」と、いうことになる。
 ところが、日本人は、そうはならない。幼いころから、「理屈を言うなッ!」と言われ続けて大人になってしまうからだ。その代わりに、「黙って何も言わず、察しろッ!」と、言われてしまう。躾も{糞|クソ}も無い!
 新商品のアンケートで、殆どの人が、「是非、買いたい♪」と回答したのに、いざ発売してみると、まったく売れない。「{何故|なぜ}?」「察しろよッ!」と、いう{訳|わけ}である。{況|いわん}や! 欧米人には、とんと理解できないことだろう。

 対人関係に{於|お}いて、行動を起こす前に心掛けるべきこと……則ち、結果を洞察するための要領について、{纏|まと}めておく。
 一に、正しい情報を、得る。
 二に、その情報を判断したり処理したりするための知識を、得る。
 三に、関連するすべての人たちの個々の好き嫌いを、探り知る。
 以上。

【2】息恒循
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〈前期〉立命

 《生涯》{天命|てんめい}……その〈前期〉を、立命期という。

 天命の前期十四年間。
 この時期の学童を、{美童|ミワラ}と呼ぶ。
 実父母が命名した{美童名|みわらな}を名乗る。

 自分の素質能力を、知ること……。
 知って、全力を尽くして、生き抜くこと……。

 天から与えられた世のため人のための使命を知り、燃え尽きるまで生き抜く。この〈燃え尽きるまで生き抜く〉こと……{則|すなわ}ち、天命を知り、そのために与えられた素質能力を完全に発揮し、己のすべてを尽くす。これが、〈立命〉である。

 人として生まれたならば、必ず天命を背負っており、{悖|もと}ることなく自分を{究尽|きゅうじん}し、{怠|おこた}ることなく修練に努めれば、独自固有の人相となり、世界中で自分だけしか発揮できない性質と能力を、体得することが出来る。

 その体得が、命を運ぶこと……則ち〈運命の学〉であり、その究尽修練のこと……これが{所謂|いわゆる}、〈立命の学〉である。この二つは、紛れもない人間科学であり、東亜哲学が最も大事とする、生粋の学問である。

(Ver.2,Rev.0)

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_/ 3 /_/ 然修録 第1集の子どもたち
寺学舎 美童(ミワラ) ムロー学級8名
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成功するための神話を残したい……
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