MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

東亜学纂学級文庫

『息恒循』を学ぶ

然修録 第1集 No.147

#### ワタテツの{然修録|147}【座学】徳利と陰陽の話【息恒循】〈六の循〉格循令 ####

 {会得|えとく}、その努力に{憾|うら}みなかりしか。
 門人学年 **ワタテツ** 青循令{猛牛|もうぎゅう}

座学
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徳利と陰陽の話

 ヨッコが**珍しく珍しく**、*ゆかしい*日本人のことを書いていた。なので、それに関連した話を、少々。
 日本人は、勝負に負けたとき、「参った」と言う。{則|すなわ}ち、自分が負けながらにして、同時に、勝った相手を敬しているということだ。武士というもの、「こん畜生!」とか、「この野郎!」とか、そんな{下司|げす}な{科白|せりふ}は、決して吐きはしなかった。これは、{日|ひ}の{本|もと}の民族の気高き精神を、よく表している。
 人間の心理という観点で考えると、人は、敬する相手に少しでも近しくなりたい、直接お仕えしたい……{延|ひ}いては、命までをも捧げたくなるものらしい。これを、「まつる」とか、「たてまつる」などと言う。このような忠純な精神が、奈良朝から平安朝にかけて発達し、鎌倉以降、武士道として定着する。それが、戦国時代を経て徳川時代に円熟し、「参る」とか「{仕|つかまつ}る」といった言葉となり、後世に{於|お}いて普及していったのである。
 敬する心は、精神を成長させる。人間は、敬することを知ると、自ら恥ずるということも、知ることとなる。世のため人のための健全な宗教も、その精神の中から{創|つく}り出される。「{慎|つつし}む」、「{戒|いまし}める」「{畏|おそ}れる」「修める」といった心理も、発達する。これが、道徳の本義であり、宗教に対する正しい姿勢でもある。{故|ゆえ}に、宗教と道徳を切り離して論争することは、誠に{浅薄|せんぱく}であり、極めて危険なのである。

 日本人は、酒を入れる{瓶|びん}のことを、「徳利」と呼ぶ。ある江戸時代の俳人が、この呼び名を礼讃して、次の様に言ったそうだ。
 「どんな*けちんぼう*でも酒だけは自分ひとりで飲んでもうまくない。やっぱり人と一緒に飲んでこそ楽しい。これは酔うという結果よりも、人と喜びを分かつものであり、共に楽しむ**利**である。利は利でも**徳**を表す利である。酒の入れ物を徳利というのは本当にうまくつけたものだ」
 正に、ズバリ! その通りだと思う。
 会社の運営などといった事業のあれこれも、力まかせに勝ちに{拘|こだわ}っていると、そこに理不尽な競争と争いが生じ、健全な事業の営みが困難になってくる。逆に、人間性が{滲|にじ}み出て徳が{顕|あらわ}れるような事業のことを、「徳業」と言う。大事なのは、事業に{非|あら}ず……則ち、徳業という{訳|わけ}だ。
 徳業の人は、古人に学び、歴史に通じ、{所謂|いわゆる}「道」に{則|のっと}って生きる。これを、「道業」と言う。だが現実は、利益のための利業や、機会化や自動化による人間が交わらない機業が、近年の主流である。

 人間は、創造し変化する生き物である。それは、陰と陽が相まって初めて、現実のものとなる。陽とは、生の{活動力|エネルギー}が体外に発現し、四方に分派し発展してゆく「力」のことを言う。ところが、その力は、次第に分化と抹消化を繰り返し、生命は薄れ、混乱に{陥|おちい}り、{挙句|あげく}は、破滅してしまう。そこで、その分化してゆくものを統一し、それを根源として、再びあらゆるものを含蓄しようとする働きが生じる。それが、陰である。
 この陰と陽の法則で、すべてを説明しようとする学問のことを、易学という。則ち〈易〉とは、変化や発達とその連続を説く、永生の理論なのだ。古来、我ら日本人は、この易の思想を、根本に{滲透|しんとう}させてきた。その陰と陽の比率は、陰が51%、陽が49%である。人間の{身体|からだ}も同様の比率で、アルカリが51%、酸が49%。則ち、弱アルカリ性を保っているという訳だ。
 男女の仲を保つのも同率、女が51%、男が49%? 無論これは、理想論である! まァ、健康であれば、良しとしよう♪ 身体が酸性化すれば、病気になり{易|やす}い。胃酸が増えれば、胃が痛む。だから昔の人は、〈酸〉の字を「いたむ」と読ませたのである。勝負の負けも、心が痛む。だから、「酸敗」と書く。

 人生百般を陰陽に分けて解決する?
 では〈徳〉は、{如何|いか}に!
 徳は、人間の根源……本質であるから、陰。対して、才能や技能は、体外に発現し、四方に分派し発展してゆくもの……則ち属性的性質であるから、陽。東亜の哲学は、この陰と陽、徳と才によって組み立てられている。{因|ちなみ}に、発達して偉大になった人のことを、「聖人」と呼び、逆に、才徳共に{空|むな}しき人を、「愚人」と呼ぶ。
 ただ、だいたいは、才も徳もそれなり、共にぼちぼちというのが、一般的な人間というものだ。これを、東洋の学問では、「君子・小人の弁」と言う。徳のほうが勝っていれば君子、才のほうが勝っていれば、小人である。故に、君子と小人のどちらが偉いというものではなく、ケチな君子がいたかと思うと、偉大な小人もいるという訳だ。

 幕末志士を例をとると、西郷隆盛が真の君子、大久保利通勝海舟が、偉大なる小人と言えるだろう。歴史が、そう物語っている。
 
息恒循
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〈六の循〉格循令

(第二版 改訂一号)

 生涯……{則|すなわ}ち、{天命|てんめい}。
 最初の重要期である{立命期|りつめいき}が終わると、あとは生涯、{運命期|うんめいき}となり、その運命期の四番目の循を、{格循令|かくじゅんれい}という。

 格循令は、三十五歳から四十一歳までの七年間であり、この期は、生涯を通じて**六番目**の循である。

 「格循令」とは、{如何|いか}なる期か……。

 我々人間の生……特にその性というものは、{造化|ぞうか}自体の必然によって与えられたもの……{則|すなわ}ちそれが、天命である。その性に{率|したが}うことを、道という。人間が、離れられないのが道であり、離れられるようなものは、道ではない。{況|いわん}や、君子と呼ばれるような人物は、誰からも見られていないところでも{戒|いまし}め{慎|つつし}み、誰も聞いていないところでも、怖れ{畏|かしこ}む。
 人間の不善というものは、人間の手で隠すことが出来ない。どんなに隠しても、必ずまた、現れてくる。どんなに些細な不善であっても、いつか必ず、明らかとなるんのだ。{故|ゆえ}に君子は、〈独〉を慎み、性に率った道から外れまいと、努めるのである。

 〈独〉とは、他者に対する一人のことでも、{数多|あまた}に対する孤独のことでもない。本来の意味は、「絶対」である。他人のなかの自分であるとか、そのなかでどのような存在であるかといった、相対的に表される自己ではなく、絶対的な自己のことを、〈独〉と言うのだ。
 「独立」という文字がある。何ものにも依存せず、自己自身で立つ。そのような権威ある者に与えられる、勲章のような言葉だ。{況|いわん}や、国家や民族が独立するということは、他国に依存せず、左右されず、その国家民族のみに{於|お}いて、存立するということなのだ。
 これと似た言葉に、「中立」がある。これも、{何|いず}れにも加担しないで、中間に立つということではない。信じるところは、絶対! 一時的な政策の方便で、相対するものの{孰|いず}れにも*くみせぬ*ことである。
 同様に「独立」のほうも、相対的な矛盾や{相剋|そうこく}から離れて独りで立つといった意味ではない。つじつまが合わないことにも、対立する者同士が競い争う事態にも影響されることなく、そのようなものを超越して、もう一段上に抜きん出て、創造的に進歩することなのだ。
 これが……「孤独」の意味である。

 {故|ゆえ}に、地位だの名誉だの、物質的なものや利害に対する打算的な欲求に{由|よ}らず、自己の絶対的なものを持たなければならない。これを、「抱独」といい、それを認識することを、「見独」という。自己が絶対であって初めて、真の他者を見、知ることができる。それが、*関係が成り立つ*ということなのだ。我々の根本に独が無ければ、我々の存在も、他者との関係も、極めて曖昧……不安定なままとなってしまう{訳|わけ}である。
 *この*事を理解すればこそ自ずと知れることの一つが、君子の行動である。*その*事をよく認識していることは勿論、更に徹見し、大切にするのである。

 「慎独」……中庸における、大事な要素である。これがあって初めて、本当の進歩向上を実現することができる。あらゆるものの調和の具現……則ちそれが、中庸の{中|ひ}である。 

_/_/_/_/ 『然修録』 第1集 _/_/_/_/
寺学舎 美童(ミワラ) ムロー学級8名

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