百八十八年前の十六歳
K2694年 想夏
エセラ
立命期 少循令 鐡将
道の精なると精ならざると、
業の成ると成らざるとは、
志の立つと立たざるとに{在|あ}るのみ
百八十八年前、ぼくより三つだけ年上の少年が書いた詩だ。
来年の想夏、ぼくは十四歳となり、{武童|タケラ}となる。
大人になるのだ。
その大人になった二年後の十六歳にして、このような詩を書けるだろうか。
というか、こんなことを思いついたり、考えたりできるだろうか。
百八十八年前の少年は、必死に学んで行動した。
だから、欧米列強からの侵略を受けても、国を護ることが出来た。
白人をも味方につけて、攻めて来た同じ白人との戦争にも、勝った。
でも、次第に、少年たちは、学ぶことを{怠|おこた}ってしまった。
志を立てる至誠に、{悖|もと}ってしまったのだ。
だから、アメリカに占領され、{日|ひ}の{本|もと}の国は、{亡|ほろ}んだ。
{挙句|あげく}、人間は亜種に分化し、今、その亜種同士で、闘っている。
志を立てることを、忘れてしまったのだ。
世のためでもなく、人のためでもなく、己のことだけで、一杯いっぱい。
だから国は亡び、民族も亡び、間もなく、人間も亡びる。
そんなの、あたりまえじゃん!
精とは、雑念を交えず、一筋に実行し、生きるさま。
業とは、己の目指した学問や仕事のこと。
そのどちらも、先ずは、しっかりとした志を立てるところから始まる。
{為|な}せば成るのは、高い志があればこそだ。
そんな高い志を立てようとして、懸命に努力している。
だから、こんな気迫のこもった詩が書けるのだ。
だったら、ぼくにも書けるかもしれない。
ぼくたち{美童|ミワラ}で言うところの、知命。
知命するために大努力すれば、松陰少年にも負けない詩を書ける。
分化退化劣化したこの頭でも、為せば成る。
成らなければ、ヒト種は亡びる。
いつの時代も、少年の責任は、重い。
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発行 東亜学纂
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A.E.F. Biographical novel Publishing