MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

第3集「教学編」日曜朝7時配信 R3.2.28 一学57

#### 然修録「いろは歌はスゴイ! 調べるとは何かを調べる」 学人ムロー 青循令{猫刄|みょうじん} ####

 いろは歌で言葉に親しむ、これ美質の一つ。ゲーム盤の要領会得法に思う。〈*調べる*〉を*調べてみた*。

 一つ、学ぶ。

 色は匂へど 散りぬるを
 我が世誰ぞ 常ならむ
 有為の奥山 今日越えて
 浅き夢見じ 酔ひもせず

 「おーぃ!! みんなーァ。ムローが{壊|こわ}れたぢょーォ♪」という、某!ツボネエの声が聞こえてくる。壊れた{故|ゆえ}の幻覚か、{将又|はたまた}難聴か(アセアセ)……んなわけねーぇだろッ!……てなわけで、壊れてなど{居|お}らぬ。
 これは、いろは歌。47音の仮名を一度も重複させずに、五七調に並べて歌にしたものだ。「着たるは羽織の{合印|あいじるし}、いろはにほへとと立ちならぶ」と、これは『仮名手本忠臣蔵』の{討入|うちい}りの{場面|シーン}。こちらも同じ47……{赤穂|あこう}四十七士だ。今は馴染みが無いが、昔は誰もが知る〈47音表〉だったという{訳|わけ}だ。
 ではその、47音の並びを見てみよう。 

 いろはにほへと ちりぬるを
 わかよたれそ つねならむ
 うゐのおくやま けふこえて
 あさきゆめみし ゑひもせす

 物のついでということで、意味も書いておく。

 色美しく咲く花も、いつかは散ってしまう。
 我らも、いつまでも生きられるものではない。
 {儚|はかな}く迷い多き人生、今日を乗り超えて。
 もはや儚い夢をみることも、酔いしれることもない。

 言葉に親しむ民族性……(嗚呼、ニッポンジンに生れて良かったなーァ♪)と、{何気|なにげ}に思う。いやはや実は、オオカミ君が書いていた「手作りゲーム盤の要領{会得|えとく}訓練法……{云々|うんぬん}」のことを何気に考えていたところ、ふと、「いろは歌って、スゴイよなーァ」と、思った次第である。
 と、そこまでは良かったのだが、では……ということで、いろは歌の意味を問われると、これがなんとも頼りなく情けない。これでは、スキヤキの歌やアマテラスの生い立ちを問われてシドロモドロだったヨッコ君を笑えない。という訳で、笑いたいからそうしたではないが、ちょっと調べてみた……という{経緯|いきさつ}だ。
 ここで、本日の{主題|テーマ}。
 その「調べる」……調査というものについてだ。

 調査とは? それは、真実のデータを集めること。これくらい、誰でも知っている。では、その真実とは? それは、どこにある? 本の中? 赤の他人の評論? 分厚い資料の中? これら何れも、{否|いな}である。真実とは、己の五感(視覚、聴覚、{嗅覚|きゅうかく}、味覚、触覚)によって、実際に自分が体験した己の行動の中にある。
 つまり、言葉や文字による情報の大半は、信用できないということだ。
 「その{娘|こ}なら、さっき駅裏の公園で見たよ」と言われても、それが真実かどうかは、実際にその公園に行ってみないと判らない。しかも、話を聞いてからその公園に行っても、果たしてまだそこに居てくれるとは限らない。
 この〈体験重視〉を仕事に置き換えると、〈現場主義〉。すぐに松下幸之助氏や本田宗一郎氏といった〈経営〉の偉大な{熟達者|ベテラン}の名前が、頭に浮かんでくる。本で読んだり人から聞いた話は知識として保管はしておくが、判断の材料にはしないということだ。
 ここで、その真実の落とし穴を一つ。真実の代表選手、写真だ。「真実が写るんですーぅ♪」と、{鵜|う}呑みにしてはいけない。何故なら、〈一枚の写真〉だけがデータとして独り歩きする{場面・場合|ケース}は少ない。そこには、赤の他人の個人的な解説という文字や言葉が付いて廻る。
 例えば、写真に、駅伝で走っている二人の走者、A選手とB選手が写っている。この同じ写真を載せている雑誌二つ、ウエスト誌とイースト誌があったとする。

 「ウエスト誌」……
 今まさに、A選手がB選手を追い越しました!
 「イースト誌」……
 今まさに、B選手がA選手を追い越そうとしています!

 並走していたA選手とB選手のうち、B選手が遅れはじめたのかもしれません。写真そのものは確かに真実に違いはないかもしれないが、真実を伝えてくれるとは限らないということだ。この特性を悪用して、言葉巧みに{偏|かたよ}った思想を宣伝広告……洗脳する行為のことを、プロパガンダという。 
 次に問題になるのは、特に昨今、そのデータの数の多さだ。〈大数の法則〉という言葉を覚えるとすぐに、猫も杓子もいっぱい闇雲にデータを集めてこようとする。だがこの大数の法則……これは物理現象に関する法則{即|すなわ}ち〈物〉に関する情報に限っての話であって、社会現象……〈人〉に関する情報については適用されることはなく、成立し{難|がた}いものなのだ。
 「アンケート調査の結果、大多数の人が、こちらのタイプの商品を買うと答えています」とまァ、こんなデータが怪しく危ういということだ。
 本田宗一郎氏の有名な言葉がある。アメリカ式のデータ重視の経営が主流となって一世を{風靡|ふうび}していたころの話だ。氏は世相や流行に反して、「市場調査無用論」というのを経済誌に載せて発表した。言わずもがな、{物議|ぶつぎ}を{醸|かも}す。その論の中で、氏{曰|いわ}く……。
 「オレは、自分が欲しいと思うようなクルマなら売れると思っているし、実際そうなのだ。何も高い金を払って市場調査なんか頼む必要はない」
 ここで、「じゃあ、調査なんて{要|い}らないんだなッ♪」と、思ったあなた……だとしたら、社長にだけは、絶対にならないほうがいい。すぐに倒産するだろう。「大数の法則は適用されない」という話をしたばかりなのだ。「自分が欲しいと思う……云々」と、明確に調査を実施しているではないかッ!
 ここで、要領の話に戻る。
 調査の要領……それは、何のために調査をするのか……即ち目標や目的というものを明確に{把握|はあく}して、それに充分{且|か}つ最小限の分量のデータしか集めない……つまりは、信頼できる情報のみを集めるということだ。

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