MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

「教学編」木曜朝7時配信 R3.3.25 一学67

#### 然修録「この世に{平時|へいじ}は存在せず。『闘戦経』に学ぶ」 門人ワタテツ 青循令{猛牛|もうぎゅう} ####

 この世に*平時なし*。唯識的に言えば、平時という宗教を信仰する人たちが、*己のためだけに*、それを自らこの世に*投影しているだけ*。{飽|あく}くまで、個人的な幻想に過ぎない。*真実のこの世*の{現|うつつ}が、〈{如何|いか}なる時〉かは、『闘戦経』に学べ!

 一つ、学ぶ。

 ムローが傾倒する{唯識|ゆいしき}的に言うと……。
 {平時|へいじ}と戦時の区別など、この世には存在しない。俺たちにとってのこの世……{即|すなわ}ち自然界は、常に、戦時である。
 自然の一部である生きものたちは、無意識にそれを知り、{在|あ}りのままの自然を、自らの心で、この世に投影する。{然|しか}し、自然から離れてしまった文明人たちは、宗教への逃避や{微温湯|ぬるまゆ}で心を揺さぶる洗脳という悪意の力に、屈してしまう。
 結果、平時という架空の夢の世界を、自ら、この世に投影してしまうのだ。

 いま懸念すべきは、この〈平時の投影〉という異常な精神行動を、文明{民族|エスノ}のみならず、和や自然の民族のなかにも、見て取れることだ。
 この、平時という幻想を投影させられている人たちは、天空に爆弾の煙幕が覆い被さり、その爆弾が頭上数センチのところまで迫って来ても、未だ{猶|なお}、煙幕に平和という絵空事を、投影し続けている。
 そんな〈お目出たい〉生きものたちの命を護るのは、自然という心理を生まれ持って知り、その真実をこの世に投影し続け、自然の一部で在り続けている少数派の亜種……それが、我らが自然{民族|エスノ}なのだ。
 その、自然の一部で在り続け、当たり前の世界をこの世に投影し続けている我らは、ヒト種分裂時代に突入して以来この方、一体全体、どんな**生き方**をしてきたのだろうか。

 平安時代の末期……そう、それはおよそ、九百年の昔のこと。
 その時代に、在りのままの自然、普遍にして未来{永劫|えいごう}、不変の戦時……{況|いわん}や、その当節。それ{正|まさ}に、この世の{現|うつつ}!
 そこで生き続けるために……。
 その極意を説いた書……即ち、〈生き方〉を指南する書、『{闘戦経|とうせんきょう}』。それ、{所謂|いわゆる}兵書というものが、その平安という世の末期に、我が国に{於|お}いて初めて{著|あらわ}されたのだ。
 簡単に洗脳されてしまったり、また安易に、原始仏教から離れた仏教ビジネスのお得意様になったりしてしまう、現代人……文明{民族|エスノ}。
 {如何|いかん}とも耐え{難|がた}く、つい{憂|うれ}えてしまう。
 そんな、姿形が我々と近似している亜種の人間たちを見るにつけ、その{忌忌|ゆゆ}しき彼らの絶望的な現実の原因は、正しく、彼らの祖先に有りと見て取れてしまうのだった。
 そんな彼らの祖先たちは、我らが祖先が古来受け継いできた指南書の学を、断ち切ろうとした。その理由は、明白。{煙|けむ}たいのだ。ここに、その断ち切られ、{葬|ほうむ}り去られ、{廃|すた}れてしまった俺ら自然人の〈生き方〉の極意……その、ごくごく一部を、列する。

 【い】 兵の道にあるものは{能|よ}く戦うのみ。
 【ろ】 先づ仁を学ばんか。先づ智を学ばんか。先づ勇を学ばんか。壮年にして道を問ふ者は南北を失ふ。先づ水を{呑|の}まんか。先づ食を求めんか。先づ枕を取らんか。百里にして疲れる者は、{彼|か}れ{是|こ}れをいかんせんとする。
 【は】 眼は明を{崇|とうと}ぶと{雖|いえど}も、{豈|あ}に三眼を願はんや。指は用を{為|な}すと雖も、豈に六指をもちいんや。善の{亦|ま}た善なるものは{却|かえ}って{兵勝|へいしょう}の{術|すべ}に{非|あら}ず。
 【に】 死を{説|と}き生を説いて、死と生とを{弁|べん}ぜず。{而|しか}して死と生とを忘れて、死と生との地を説け。

 〈唯識〉にあるような註釈も訳出も、不要だろう。況やこれは、外国語ではない。我が国固有の言語、日本語だ。学ぶ姿勢が無い者に、何をしてやっても無駄というものだ。
 それでも必要とあらば、この指南書から〈学ぶ〉という{習|なら}わしが復活した暁にでも、我らが自然の一部の後裔の誰かが、そんな余計な仕事を{已|や}む無く快く引き受ければよい。
 でもまァ、{然|しか}しながら、今まさにその已む無き時!
 要は、{斯|こ}ういう意味である。

 【い】 この世の{現|うつつ}という戦いの世界にいるのであれば、しっかりと構えて、敵の真っ正面から、堂々とした態度で戦うのみである。
 【ろ】 仁は、優しさを持った真心。智は、知性を持った判断力。勇は、気力を備えた勇ましさ。先ずは、そのどれから学ぶべきか。道……{即|すなわ}ち、どう生きればよいかなどと、いい歳をしてそんなことで悩んでいるようでは、本当に歩むべき人生を見失い、その方向性を見誤ってしまう。百里の道を歩んで努力の疲れを知った者は、(はてさて、先ずは水を飲もうか、何か腹に入れようか、それとも枕を抱くか!)などといった{児戯|じぎ}に類するような悩みを抱くことはない。
 【は】 目があれば、それは確かに、ハッキリと物を見ることができる。だからと言って、その目が三つも必要だろうか。五本ある指は、それぞれが見事に役割を心得て、器用にいろんなことをしてくれる。だからと言って、それを六本に増やしたら、果たしてそれを使いこなせるだろうか。善は確かに良いものだが、その善をただひたすらに重ねたからといって、戦いの{術|すべ}にはならない。
 【に】 死とは何か、生きるとはどういうことかなどということを理解しようとしても、そんなものは、{解|わか}るはずもない。そんなことより、死だの生だのといったことは一切忘れて、己が死ぬべき地、己が生きるべき地のことを考えよ。

 「**善**処します」は、一度限りしか効果がない。
 ……と、いうことのようだ。
 耳が痛ければ、そんなもん、切り落とせば{善|よ}し♪

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