#### 然修録「{鴉|カラス}の男は、職分を知る。人間のオスは、鴉に学べ!」 門人ヨッコ 青循令{飛龍|ひりゅう} ####
よく聞く。これは男の仕事、それは女の仕事……。でも、誰も言わない、親の仕事。女連中のピーチクパーチクは、男どもが職分を放棄したからだ。男どもの自堕落に、{喝|カツ}!
一つ、学ぶ。
父さん母さんビト……かァ。
失礼、マザメちゃんの後裔記の読後の{余韻|よいん}……。
{閑話休題|さて}……と言うより、そんな{訳|わけ}で、{今宵|こよい}の{主題|テーマ}は……。
「男が言う、男の仕事。
女が言う、女の仕事。
誰も言わない、親の仕事」
〈男女平等〉という、奇妙な造語!
もっと珍妙なのが、ジェンダー・フリーという、英語圏の人たちには理解できない不思議な国の不思議な造語。
日本語に訳しても、これまた珍妙!
言わずもがな、〈野放しの男らしさと、野放しの女らしさ〉。
まさに、「なーんじゃ、そりゃ!」だ。
{ジェンダー|gender}ってのは、英語圏の国々では、{歴|れっき}とした言葉だ。〈男らしさと女らしさ〉っていう意味。短くして、〈性別〉って訳されることもある。性別の野放しーぃ?? ……ってことは、女が、野っぱらで立ちションベンってことーォ!?
(やめてよねーぇ!!)と、あたいは思うのでした。
《 性別 = 職分 》
性別とは、男らしさと女らしさ。
男らしさと女らしさとは、職分。
{故|ゆえ}に性別とは、職分なりや。
現代、{斯|こ}ういう事になっていると思う。
前の大戦……国は大敗、{民|たみ}は{頽廃|たいはい}。
我が国の占領政策の一環として、男女同権を打ち出した{宣伝による心理誘導|プロパガンダ}が、横行する。
法律上の〈男女同一資格〉……{即|すなわ}ち、男女の人格的平等を明らかにするというご{尤|もっと}もな大義名分は表向きで、占領軍の本当の目的は、男女間の相違を無視{或|ある}いは、軽視するという風潮を創り出し、それが延々と尾を引くように永続させることだ。
そんな{憂|うれ}うべき社会が、今まさに、具現化されてしまっている。
それによって、我らが国民たちは、男と女の分担を崩壊させるという目的の下に、男と女のそれぞれが受け持つべき仕事まで同一であるかのように、洗脳されてしまったのだ。
すると、その錯覚が不満を生み、その不満が、{俄|にわ}かに{氾濫|はんらん}していった。そして、{終|つい}には、国家や社会や会社を、ただただ闇雲に批判するだけという、〈反対スピーカー・ロボット〉にさせられてしまったのだ。
{嗚呼|ああ}、{嘆|なげ}かわしやッ!
そしてここに、被保護国ニッポンの〈廃頽化戦略〉は、完結する。
ところで、男女の役割とは、一体全体、{何|なん}なのかッ!
ここで、十中八九間違いなく、、洗脳されたて{頽廃|たいはい}した{民たちは、直ぐに口を挟む。
矢庭に、ピーチクパーチクと批判をはじめて、聴くことや学ぶことを拒絶し、異論の芽生えを、{悉|ことごと}く妨害しようとする。
幸い、この然修録を読む君らは、その洗脳を{免|まぬが}れた自然{民族|エスノ}の{武童|タケラ}……即ち、知命後の大人達や、{美童|ミワラ}……即ち、知命前の{子供|こども}達だ。
{由|よ}って、論を進める。
元々……元来、この「男女の役割」ってのは、太祖以来{悠久|ゆうきゅう}受け{継|つ}がれてきた、〈原始の自然原型〉と、いうべきものだ。
男は、森や海や世間に出て、他の男どもと{角逐|かくちく}……即ち、{対峙|たいじ}した男同士が、互いに競争しつつ、各々が妻子を養うた為の資を獲得して、家路につく。
……と、いうのが、恐らくは、男どもの主たる任務なのでは。
女は、子を産み、{育|はぐく}み教えるという所謂{躾|しつけ}の{類|たぐい}が、主たる任務。
なので、男たちは、その〈男に課せられた職分〉に対する自覚と、その職分に真剣に取り組み大努力することを一番の大事と{捉|とら}え、また女たちは、胎内で鼓動する我が子に美徳を持たせ、この世に出し、躾と立派な教育をすることを一番の大事と捉えた。
職分とか職業とかの話を、あたいら女連中にすると……。
「それって、男どもの領分いねッ? もっと楽しい話をしましょうよォ♪」とでも言いたげな顔をされちゃうんだけど、本当に「男女同権」を願い主張しようって言うのなら、楽しかろうが楽しくなかろうが、男女の隔てなくこの職分という{主題|テーマ}に耳を傾け思い考えるべきじゃないのかしらん?
てな訳で、職業って、一体全体、何ーぃ??
【一】 衣食の{資|もと}(生活の材料)を得る手段・方法
【二】 世のため人のために貢献するための手段
【三】 自分なりの天分や個性を発揮する場・機会
独身時代は【三】だけで突っ走り、結婚すると【一】に{縛|しば}られ、到頭【ニ】に到らず! ……と、いうのが現実じゃないかしらん?
それでも悠久、男どもにとっては、【一】が何よりも大事な第一の根本的な義務として今日に到っていると言いたいけど、現実は無念、残念、{怨念|おんねん}……ってな感じ!
【一】が出来ないんなら、最初から結婚んなんかすんなッ!つーのって思うんだけど、どーよッ!
話は変わるけど、【ニ】のためだけに生きる職業……聖職というものがあります。そういう人たちは、無論の事、【一】は出来ません。なので古来、聖職の人たちは、独身制を厳しく守ってきました。
例えば、カトリック教の神父さん。
神父さんが結婚して家族を持つと、その家族を食わしてゆくために、宗教者としての奉仕活動に純一たり得なくなってしまいます。
仏教の{僧侶|そうりょ}もそうであるべきなんだったんでしょうけれど、大胆に肉食妻帯した親鸞から、僧侶は聖職ではなくなってしまいました。
でも、原始仏教を{頑|かたく}なに受け継ぐ禅宗は、例外です。今日まで、独身制が守られてきました。でも……言わずもがな、その禅宗でさえ、真に独身制を堅持している僧侶は、ごく{僅|わず}か……絶滅危惧種です。
そんな事情を、みんなが知ってしまっているから、お経を上げにくる住職さんを{憐|あわ}れんで、渋々数千円のお布施を、{恵|めぐ}んであげて差し上げているのです。
やっぱ、脱線しっちゃったねッ! ……(アセアセ)。
兎にも角にも男子たるもの、{一旦|いったん}にせよ{拠|よ}ん{所|どころ}ない圧力に流されたにせよ、{一度|ひとたび}結婚したからには、妻子を養う義務を潔く{背負|しょ}って、結局は何らかの職業に従事することによって、家族を{扶養|ふよう}しなければならない。
世のため人のためというのは、そういうことがちゃんと出来て、その職業を通じて、社会の営みに参加する。
それによって、家族や会社のために尽くしているうちに、それが知らず知らず、世のため人のためになっている……ってことに、なってるんじゃないのかなッ!
えッ? はいはい。カラスが……どうしたッ! ……だよね?
春になると、人目を避けて、{番|つがい}いで肌を寄せ合って、何とも微笑まく可愛らしいカップルのカラスちゃんたちーぃ♪
それが、結婚。
その結婚こそが、職分の自覚!
えッ? ……だよねッ! わかんないよね。
家族を得たカラスの男たちが、世間から{如何|いかに}に嫌われようとも、如何に小汚い残飯あさりをしようとも、我らはここぞ、清掃の……また、羽根が紅白のボロボロになるまで、ただひたすら、家族のために段ボールで{堅|かた}く守られた生ごみを{穿|ほじくり}り出すことに身命を{賭|と}すのかッ!
悲しいかな、情けないかな、人間のオスどもには、理解できますまい!
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「教学編」朝7時配信……次回へとつづく。
「自伝編」は、教学編の前夜7時に配信です。
_/_/_/ 『息恒循』を学ぶ _/_/_/
その編纂 東亜学纂
その蔵書 東亜学纂学級文庫
その自修 循観院