MIWARA BIOGRAPHY "VIRTUE KIDS" Virtue is what a Japanized ked quite simply has, painlessly, as a birthright.

後裔記と然修録

ミワラ〈美童〉たちの日記と学習帳

第4集「自伝編」水曜夜7時配信 R3.3.24 一息70

#### 後裔記「本当の親なら、手は荒れ困窮心身疲弊のはず」 学徒マザメ 齢12 ####

 卒業の日、先生に感謝。それは、{解|わか}る。先生が聖職と呼ばれていた時代、*先生たちは、無給だった*。でも今は、{生業|なりわい}。それでも聖職は、*現存する*。でも、絶滅危惧種。それが、*父さんと、母さん*♪

 一つ、息をつく。

 男どもってさ。なんでみんな、あーァも悩みが無いんでしょうかねぇ。
 {呆|あき}れる……元い。感心します。
 森の奥深いところにポツンと{何故|なぜ}かそこに建つ山小屋に独り{居|い}ると、いろんな事を考える。特に最近は、あたいら{美童|ミワラ}の家族のこと。あたいもそうだけど、浦町住みの頃のみんなの家族って、なんか、変なのよね。仕事で親をやってるっていうか……。
 この島でスピアを待っていた養祖父シンジイと養母カアネエのほうが、よっぽど親らしく感じてしまう。なんか、血が{繋|つな}がってるっていうか、同じ血っていうか……{上手|うま}く言えないけどさァ。
 寺学舎に通っていたころ、何人か、自分の家族のこと、書いてたよねぇ? でもさ。みんな、幼いころの思い出ばっかじゃん。あのころの〈今〉、{殆|ほとん}ど全員が、その思い出の中の親や祖父母と一緒に住んでた家に、一人で住んでいたよね?
 それなのに、みんな、捨てられて{怨|うら}んでるとか、一人置いて行かれて{寂|さび}しいとか、そんなことを感じてるかっていうと、そんなふうでもない。高学年の人たちは、自分の親との思い出のことすら、何も書いちゃないけどさァ。

 今、改めて考えると、学園に通ってる子どもたちって、その{殆|ほとん}どが、和の{民族|エスノ}なんじゃないかなって思う。話したこともないから、実際のこは、判んないんだけどさァ。でも、根気強く通ってるところは、感心する。
 それに、先生たちも、同じ和の{民族|エスノ}なんじゃないかなって思う。文明の街にある学園の先生は、割とよく問題を起こすし、いい印象は無い。
 でも、浦街にある学園は、規模は小さいし、先生たちの人数も生徒の数も少ないけど、そのどちらも、テレビに出たり新聞に載ったりするような問題を起こした……なんて話は、一度も聞いたことが無い。
 大人たちは、いろんな仕事をしているけれど、{殊|こと}に浦街の学園の先生たちは、毎日が忙しそうだった。それは、校内だけの話じゃない。生徒たちの宿題の答案や日誌なんかが入った大きなカバンを、毎日重そうにしながら、家に持って帰ってた。
 なんか、「あれこそが、大努力よねぇ♪」って、言ってあげたくなるくらい、毎日毎日、頑張ってた。

 そこでさァ。みんなの思い出の中の父さんや母さんなんだけどさァ。スピアの島の爺ちゃん母ちゃんと、浦街タイプの学園の先生たちと比べるとさァ、なんか、先生たちのほうに近い気がするんだよね。{上手|うま}く説明できないんだけど、なんか仕事として子どもを育ててるっていうかーァ……。
 あたいら自然{民族|エスノ}って、なんか{仕来|しきた}りとか{習|なら}わしみたいなことが、多いじゃん? だから、まだまだあたいらが知らないだけの仕来りとか習わしが、あたいらの身の回りで、当たり前のように起こったり、実践されたりしてるんじゃないのかなって、思ったりもするうわけさ。

 森は、厳しい真冬へと向かっている。深夜、夜行性の鳥や{獣|けもの}たちが、まだ{諦|あきら}めずに越冬用の{餌|エサ}を探し回っているはず。でも、その割には、山小屋の外からは、{息吹|いぶき}の気配らしきものが、何一つ伝わってこない。
 浦街の学園に通っている{同|おな}い年くらいの女の子は、誰と一緒に暮らして、今ごろ何をして、何を考えているんだろう。文明の街の女の子のことなんて、想像の遥か外で、どんな生きものかなんて、{皆目|かいもく}見当もつかないけどさ。
 そこへいくと、正直、男の子たちが、{羨|うらや}ましい。特に、最近のサギッチ! 最近と言えば、あの、巡回授業所の開講日。講釈の当番……その名も、サギッチ。あれって、本当に講釈のつもりなんかい!
 それに……というか、特に、あの{挨拶|あいさつ}さ。有り得んっしょ! しかも、{九十九折|つづらおり}になった蛇の腸を何本も何本も{繋|つな}げたような、あの話の長さ。{耐|た}えれんっしょ!
 たしか……こんなんだったよねぇ?

 「今朝の朗読室は、早くから、お盛んのようですね。みなさんの顔も、これから始まる講釈への期待で、血が{躍動|やくどう}しているのか、朝から真昼の太陽のように、輝いて見えます。
 さて……」

 何が「さて……」なんだかッ! えッ? 「そんなに{扱|こ}き下ろすほど{酷|ひど}くないじゃん。バカ{丁寧|ていねい}で、バカみたいに自画自賛してるだけっしょ!」……って、思うよね? 但しそれは、聴講している人たちが、シンジイとかカアネエみたいな年代だったらの話よねッ?
 その聴衆は、全員、ツボネエと同年代か、まだその下の、幼い子どもたち……しかも、{何|なん}と数人……さらに、聴講のご{褒美|ほうび}のラスクに夢中……{挙句|あげく}は、壇上の講釈人に背中を向けちゃうってもんだッ!
 だのに、驚いたことに、その講釈人は、普通に緊張して、下書きの原稿をチラチラ見ながら、それをまだ朗読ならまだしも音読……元い。音読にもならないような、無感情の棒読み! てかさ。せっかく草稿の下書き、取り上げて燃やしてあげたっていうのにさ、なんでまた下書きなんかが存在してんだかッ!
 さすがのあたいも、恐れ入りました……って話。そんな訳で、男どもって、ある意味……悩まず考えず行動できるっていう点に限って、凄いと思う。特にサギッチは、天才的に、もの凄い! もう、感服もんの、プクプクの、{分福茶釜|ぶんぶくちゃがま}でゴジャリますーぅ……正に、平服級♪
 でもさ。サギッチが参考にしたと思われる算数の{蘊蓄|うんちく}の本は、悪くはないと思う。算数嫌いのあたいでさえ、ちゃんと要約してくれれば、「興味が持てるかもーぉ♪」って、思ったくらいだから。
 てか、要約と言えば、{美童|ミワラ}の男どもの中の特定の一人に告ぐ! ヒノーモロー島で、〈要約〉なんてもんは、{流行|はや}ってなんかいません。悪しからず! 本当に流行ってるのは、{寧|むし}ろ、振ることかなァ。
 ……んーッ?!
 そうだよ。スピアみたいな、要約が得意な、スピアとは言わないけど、限りなくスピアに近い特定のスピアに違いないその架空のアンタが、要約して、後裔記に載せて、アタイらに飛ばしてくれればいいんだよ。
 スピアに言っとくけど、べつに、アンタのこと〈名指し〉してるわけじゃないからね。誤解なきよう、{然|しか}しながら、〈望まれて応えずでは、男の{股間|こかん}に関わる!〉の精神で、ヨロシコシコーォ♪

 蛇足。
 一つ。
 カアネエに{逢|あ}って、お願いしたいことがある。
 お別れなんでしょ? もうじき、カアネエと、スピア。
 きっとスピアなら、あたいと{同|おんな}じこと、考えると思う。
 もう、スピアが、お願いしているかもしれない。
 蛇足とは言いながら、今日、本当に書きたかったのは、ココだけ。
 暗にスピアに宛てた蛇足だから、これだけ書けば、もう充分。
 これがサギッチだと、そうはいかない。
 「なんでよーォ?!」ってぇ? まァ、怒らない、怒らない♪
 その{訳|わけ}が判るのは、んっとーォ!
 早くて、四年後か、五年後かな。
 だよねッ? ……スピアは、どう思うーぅ?? 

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「自伝編」 _/_/_/
 平成22(2010)年4月創刊
 旧メルマガ名: 「オールドパパスの配信小説」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、水木金土の夜7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「教学」編 》
 今週の配信は、木金土日の朝7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001675353.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「教学編」日曜朝7時配信 R3.3.21 一学66

#### 然修録「頭の左半球でニッポンジンを笑う欧米人たち!」 門人ヨッコ 青循令{飛龍|ひりゅう} ####

 何でもかんでも海外から持ってくりゃいいってもんじゃないのよッ! 頭の使い方が{偏|かたよ}ってて、*脳ミソが空き家*ばっかだって言われてんだよッ!

 一つ、学ぶ。

 ムローの然修録、蛇足だけで暴走しても良かったかもーォ♪
 JAZZかーァ。
 本場のアメリカ本土には行ったことないけど、西洋人って、JAZZが好きよね。今思うと、西洋を旅してたころ、あたいも、よく聴いたわね。日本に戻ってからも、何度かCD音源を鳴らしてはみたけれど……ご近所迷惑を気にしながら、格安家電の乾いた音を低音量で流す……みたいな聴き方してたら、すぐに飽きちゃった!
 やっぱりJAZZは、たっぷり水分を含んだ重層音を、大音量で流す……みたいな聴き方がいいかなァ♪ 日本人には、なかなか理解し{辛|づら}いジャンルみたいだけどさ。

 てか、「理解し辛い……{云々|うんぬん}」って言ったらさァ。それって、日本人の専売特許みたいなもんよねッ? 日本人ほど、理解に苦しむ民族は{居|い}ない(……んだそうです)!
 西洋や豪州でテレビを{視|み}たりショップでコスメを眺めたりしてると、やたらと{頭韻|とういん}を踏んでるのが{判|わか}る。リンリンルージュとか、トップトップテン……みたいな感じ。でも、ニッポンジンのあたいには、何か{締|し}まらないって言うか、**パ**ッとしないって言うか……。
 そこで、日本の商品名を見てみると……パッと{何|なん}とかの外壁、ピンク何とかのコスメ、何とかのプーさん、{何処|どこ}かのペコちゃんに、{何故|なぜ}かナイトクラブのオードブルで出てくるポッキー……ってさァ!
 気づかない? **パ**ッ、**ピ**ンク、**プ**ー、**ペ**コ、**ポ**ッキー♪ って、ぜんぶ、**P**じゃん! その最たる例が、ポカリ{汗|SWEAT}。日本人はみんな、夏になると、よく冷えた**汗**を、ポカリ♪ポカリ♪と{喉|のど}を鳴らしながら飲んでいる。
 「欧米人が、意外と韻を踏むのが好き」だなんて、現地に行ってみないと、なかなか判らないことだけど、その逆、「商品名やキャッチコピーにPの{弾|はじ}ける音さえ付けば、その意味が汗を飲むことでも、爆発的によく売れる」だなんてことも、日本に来てみないと、判らないことよねぇ♪

 近年、{兎|と}に{角|かく}このカタカナ・ジャパニーズってのが、{巷|ちまた}に{溢|あふ}れ返っている。誰かちゃん♪が書いてた「ヤバイは変身自在のトカゲの{尻尾|しっぽ}」の話じゃないけどさ、英語や米語を{片仮名|かたかな}読みしちゃあ、それをカッコいいと思い込んで乱発する。
 それが恥ずかしいことだってことも、やっぱり日本を飛び出して海外で恥をかいてみないと、なかなか判らないものなんだよ。
 よく聞く話がさァ、〈マンション〉っていう日本固有のヘンテコリン語のエピソード。日本人って、「どんなところに住んでるの?」って{訊|き}かれると、日本語のまま、「マンションでーすぅ♪」と、答える。すると欧米人は、超ビックリ!
 マンションってのは、運動公園みたいな庭があって、プールが二つも三つもあるような、大富豪が住む巨大な邸宅のこと。こんな外来語の意味の{変貌|へんぼう}も、欧米人には、到底理解できない。
 じゃあ、欧米には外来語は無いのかっていうと、その答えは、まったく逆! 特に、英語。フランス語、イタリア語、ギリシャ語などの外国語を、そのまんま使っている。
 但し、今書いたとおり、{綴り|スペル}も{発音|プロナウンス}も、飽くまで**そのまんま**。{況|ま}してや、その意味まで変えてしまうようなことは、絶対にしない。
 このニッポンジンの{暴挙|ぼうきょ}!「〈マンション〉{謎|なぞ}の変貌事件」の原因を、欧米人は、{斯|こ}う分析している。

 「日本語には、非常に多くの外国語を借りた**ヨコモジ**……片仮名言葉があるが、その{殆|ほとん}どが、元々の意味が、だいぶん変わってしまっている場合が多い。
 この最たる原因は、日本人の{曖昧|あいまい}な民族性にある。右半球的な、その場の気分で外国語を取り入れて、自慢気に{吹聴|ふいちょう}する。さらにそれを聞いた者が、{碌|ろく}に意味も調べずに、好き勝手な意味に解釈して、仲間{内|うち}で{流行|はや}り言葉にしてしまう。
 借りて来られた言葉の意味も、その言語が成り立った母国の人びとの{誇|ほこ}りも、それを物語る歴史も、それらすべてが{葬|ほうむ}り去られ、ニッポンジンたちの{知的|インテリジェンス}を装う道具として、まったく別のものに作り替えられてしまう。
 これが、日本に連れて来られた外来語の、運命だッ!」

 と、まァ……確かに、だよね。と言うか、正しい! 正しいけど、でもなんか、面白くない。嬉しくないってこと。だってあたい、その言いたい放題に言われてる張本人、ニッポンジンなんだもの。
 あたい、前にこんなこと、書いたことあるよねぇ?
 「米国に渡ったニッポンジン画家の絵は、訴えるものが何もないっていう、残酷な評価をされている」って。
 あたいだったよねぇ? この話を書いたの……(アセアセ)。
 {兎|と}も{角|かく}、同じ日本人たちが、こんな評価をされて……嬉しい? 悔しいって、思わない? 思いなさいよねッ!

 てなわけで、
 「頭の右半球と左半球、バコーン……元い。**パ**コーンっと、徹底比較ーぅ♪」
 ちゃんと、読んでよねぇ♪
 特にいま、腹も立てなかった、あんたたちぃ!

   《 左半球(西洋)人 》

 大局(全体の成り行き)に{任|まか}せず、情報をより大事に扱う。そのぶん視野は狭くなるが、順序だてた分析が{常套|じょうとう}化し、それが自己防衛の武器となる。但し、理屈っぽくもなる。
 {喋|しゃべ}る言葉には、正確さが要求される。言いたいことは筋道を立てて、話す順序も熟考して、{如何|いか}に相手に正しく伝えるかに、重きを置く。
 団体行動や仲良しグループの活動に参加することを、好まない。会議は、嫌い。整理整頓をキッチリやるので、頭の中もよく片づいている。
 仕事は、官僚主義的。仕事の範囲は、厳格に制限したがる。時間も厳守。手続きを重んじるので、{杓子|しゃくし}定規。昇進昇格の資格や規定が細かく決まっているので、目立ったり、上司に気に入られたり、優位な派閥に入ったりしても、昇進昇格とは無縁、意味がない。

   《 右半球(日本)人 》

 大局に任せたがり、自分がやった仕事を、総合的に評価したがる。冒険的な野心を好み、事実、直観的な行動力がある。但しそれは、雰囲気を視覚だけで判断したり、勘に頼ったりするところが多い。
 言葉の使い方が直感……感覚的で、筋道が蛇行と{紆余曲折|うよきょくせつ}を繰り返し、結局、結論の無い話が多い。{故|ゆえ}に、論理的な交渉ごとが、{苦手|にがて}。
 団体行動が、大好き。会議が長引いても、群れている輪の中にさえ{居|い}れば、時間など気にならない。他人の個人的な話を好んで聞いたり読んだりする。整理整頓が、苦手。
 決められた仕事でも、かなりの部分が、個人的な解釈が許される。仕事の範囲やその具体的な方法が、書面化もされていないし、上司も具体的には何も指導してくれない。目標はあるが、その方法は{曖昧|あいまい}。売上目標は{掲|かか}げるが、利益目標は{煩|うるさ}く言われない。
 段取りや手順を理解できていない社員やパート従業員たちが、社内をウロウロと歩き回っていることが多い。型に{嵌|は}まったシャキン!としたマニュアルも、稟!とした{社是|しゃぜ}も、規律と{躾|しつけ}を重んじた風土も無く、{如何|いかん}とも{だらしなく、ずぼら|ルーズ}である。

 {日|ひ}の{本|もと}の国民の皆様へ。
 {只今|ただいま}、「国家総動員**自反**法」の制定が、望まれる事態と相成っております。これこそが、本当の緊急事態宣言!
 どうぞ充分に、それなりのご注意と**{超弩級|ちょうどきゅう}**の自反に、お励みくださいませーぇ♪

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「教学編」 _/_/_/
 平成28(2016)年8月創刊
 旧メルマガ名: 「ジージスイッチ」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、金土日の朝7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「自伝」編 》
 今週の配信は、木金土の夜7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001131415.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「自伝編」土曜夜7時配信 R3.3.20 一息69

#### 後裔記「青空の一糸が肌を刺さす。昼下がりの対談」 少年スピア 齢10 ####

 *本音を探り合う*二人。親友、{将又|はたまた}宿敵かッ! *面倒っちさを競う*、先の見えない対話。

 一つ、息をつく。

 {漸|ようや}く、要約疲れも{癒|い}えたある日の昼下がり……執冬も、後半。空には、目にハッキリと澄み渡った青が映り、その青の一糸一糸が、肌に寒々と{擦過|さっか}してくるのだった。

 「おまえのこと、ザグッチって呼ぼうかなァ♪」と、サギッチ。
 「やめてくれよ。おまえ、クロスケって呼ばれることになるんだぞッ!」と、ぼく。
 「そこまでは考えてなかったな。脚下される前に、取り下げるよ」と、サギッチ。

 ……角楼。
 間もなく、午後の三時。さすがの〈昼〉も、観念して{手を振って|サヨナラして}いる。
 {美童|ミワラ}の少年二人の手には、ライ麦パンを二度焼きしたラスクが……。それが、時おり口に運ばれて、{角|かど}っちょから慎重に{齧|かじ}られてゆく。
 {間|ま}が、少々。そしてまた少々の間が、{尋|たず}ねて来ては、また直ぐに消え去ってゆく。どこへ行くのやら。やや寒いものの、太陽が、よく照っている。そのお陰でか、心地は、悪くはない。{幾|いく}たびか短い間が去ったあと、再び、サギッチが、口火を切る。

 「おまえは、来ないと思ったけどな。巡回授業所。シンジイに、引っ張って来られたんだろ、おまえ」
 「また、その話か。確かに、行きたいとは思わなかったし、行かなきゃよかったって思ってる。まさか要約{漬|づ}けのベッタラ疲れになるなんて、思ってもみなかったからな」と、ぼく。
 「否定もせずに{御託|ごたく}を並べるところをみると、やっぱり{嫌嫌|いやいや}連れて来られたんだなッ?」と、サギッチ。

 あの日……{伝霊|でんれい}は、{腹想|ふくそう}。{頭映|ずえい}の刻まで、まだ一時間以上もある。そんなことを覚えているということは、腹想の時間に暗躍する潜在意識が、爆睡していた顕在意識を揺り起こしたってことだ。{何故|なにゆえ}に……。 
 そのとき、{何気|なにげ}に思ったことを、何気に思い出す。

 (授業所かァ。{面倒|めんど}っこいなァ。行かないと、アイツ、怒るかなァ。んなわけ、ないかァ! まァ、どっちゃーでもいいや。どうせ他人に見せる感情とか情緒なんてもんは、作りものさ。実際の腹ん中は、他人が見ることはない。
 それにしたって、アイツが怒る理由なんて、何一つ無い。来いとは言われたけど、行くって約束した覚えはない。しかも、アイツに課題を与えたのは、ぼくじゃない。史料室の……モノさんだ。
 そもそも、あの怪しい研究棟に行くのが、ぼくの日課じゃない。ぼくの日課は、秘密基地……元い。{五省|ごせい}舎に通学することだ。てか、やっぱ秘密基地って、呼んでたんだったッけーぇ??)
 ……みたいな。
 そのまま、眠りには戻れず、朝がくる。朝食。シンジイが、言った。
 「行くのかァ?」
 「うん」と、ぼく。

 再び、間が少々。まだ、やや寒いものの、太陽も、相変わらず、よく照っている。また、再びサギッチが、口火を切る。

 「せっかく、奇跡的に、しかも今、おれらは、この世に生きてるんだ。おれは、この世に生きている間に、出来ることをやりきりたいと思う」
 「たとえばァ?」と、ぼく。
 「歩けるうちに、歩けるところを歩く。言えるうちに、言いたいことを言う。書けるうちに、書きたいこと**だけ**を書く。走って逃げれるうちに、蹴飛ばしたいやつをぶっ飛ばして、走って逃げる……だ」と、サギッチ。
 「どうだか」と、ぼく。
 「どうだかって言えば、おれの講釈、どうだったァ?」と、問うサギッチ。
 「{拘|こだわ}るなァ! そんな昔のこと、覚えてないよ。でも、少なくて良かったじゃないかァ……聴衆。もし多かったら、もっと緊張してただろッ?」と、応えて言うぼく
 「まァ、な。史料室の{黙読|もくどく}コーナーのほうが、混み合ってたって言うしな。でも、問題は、そっちじゃない。{問|と}うたのは、そんなことじゃない。内容……講釈の、中身だッ!」と、サギッチ。
 「面倒っちいなァ。鷺助屋はッ!」と、ぼく。
 「で、どうなんだ」と、しつこく問うてくるサギッチ。
 「それほど、悪くはなかったよ」と、ぼく。(面倒臭いなァ)と、思いながら。
 「それほどってことは、それほどのちょい手前まで悪かったってことじゃないかァ!」と、{面倒|メンド}ッチ……元い。ミスター、サギッチ・メンドッチ。
 「そういう{捉|とら}え方は、おまえら一族の面倒っちさだ。今ぼくが言ってるのは、そっちの意味じゃない。心配するほど悪くなかったって意味さ。たぶん」と、ぼく。
 「一を知って十を知るような、おまえ物言い! {戴|いただ}けないな」と、サギッチ。
 「差し上げてないし。{貰|もら}ってくれとも言ってないし……」と、ぼく。
 「ありがとよッ♪ スピアッジャ・メンドッチーノ君」と、サギッチ。
 「てか、おまえらさァ。サギッチ・メンドッチ君の一族が、このテクニカルセンターの創業者って訳だろッ? そのおまえ、サギッチ・サンドイッチ・メンドッチ君が、それを知らなかったはずはないよなーァ?!」と、ぼく。どうしても、サンドイッチを{挟|はさ}みたくなっただけなんで……まァ、失礼♪
 「まァ、な。でも、こんな事にまでなってるとは、知らなかったよ。だって、経営は、{美童|ミワラ}の仕事じゃない。おれらの仕事は、学問だからなッ!」と、サギッチ。まァ、それは、ご{尤|もっと}も。
 「さては、人工知能{云々|うんぬん}の話。既に、漏れ聞いていたんだなッ? だから、おまえが当番の講釈、〈数字で{捉|とら}えて戦おう♪〉みたいな{主題|テーマ}になったんだなァ? だって、人工知能って、二進法っていうか、十六進法っていうか、三十六進法だろッ?」と、ぼく。
 「かもな。そんなことをわざわざ訊いてくるってことは、おまえも、漏れ聞いてたんだなァ? 文明界への潜入が、おまえら一族の{仕来|しきた}り……てか、{掟|おきて}みたいなもんなんだってこと。聞かされてない{筈|はず}がない。だよなッ?」と、サギッチ。余計なところにだけ、頭が働く。
 「おまえさァ。長生きしたいって、思ったことあるかァ?」と、」ぼく。べつに、話を{逸|そ}らしたいって思って言った訳じゃない……訳は、別にあるけど。
 「長生きかァ。それは、{糞|クソ}食らえ!ってやつさ。おれは、胎児期から{此|こ}の{方|かた}、早く死にたい派だ」と、サギッチ。
 「二つだけだな」と、{何気|なにげ}に応えて言うぼく。
 「何がだッ!」と、サギッチ。まァ……そう思って、当然。
 「鷺助屋の血と、座森屋の血の、共通点のことさ」と、ぼく。
 「何だ、それはッ!」と、サギッチ。
 「何だって……。『なんで今、共通点なんだァ?』ってことォ? それとも、『二つの共通点って、何だッ!』ってことォ? 取り敢えず、後者のほうで答えるよ。一に、{厄介|やっかい}な面倒臭さ。二に、{頑|かたく}なな早く死にたい願望」と、疑念を{交|まじ}えて答えるぼく。
 「だとしてもさ。おまえは、いいよな。文明界に潜入したら、好きなだけ、子どものままで{居|い}られるじゃないかァ。百歳まで、子どものままで過ごすことだって、出来る。
 生まれてきたって、立命せず。知命もしない。天命を知らないから、己を正す必要もない。行動から学ぶこともない。ただ、安易に運命を歩む。知らず知らず、天命に{呑|の}み込まれてゆく。だから、大努力の必要もない。自反もしない。大望もなし。
 でも、たまには{旨|うま}いもんを{食|く}いたい。たまには、温泉に浸かって、まったりしたい。たまには着飾って、百貨店で衝動買いをしたい。そんな程度の願望を抱きながら、百年分の吸った{一息|いっそく}を、{溝|ドブ}に吐き捨てる。
 溝に吐き捨てられた{夥|おびただ}しい数の命の{欠片|かけら}は、過去へ過去へと、押し流されてゆく。それを見ても、それが自分の命の削り{滓|カス}だってことに、気づかない。それに気づくのは、早くても、焼き場で焼かれて、骨と霊だけになって、自分の命がやっと透けて見えたときだ」と、サギッチ。
 「他人の事と、霊になった自分の事は、よく見えるって、言うもんなァ♪」と、ぼく。
 「よく見えないから、来る日も来る日も、自反と格物。反省して正し、それをまた反省して、また正す。その繰り返しが、運命ってことじゃないかッ! そこまでやっても自分の事がよく見えなかったら、{終|つい}に観念して、霊になる。
 日々の努力も、行動の学問もせずに、『サッサと霊になって、答えを見ちゃえーぇ♪』なんて安易な考えで骨と霊だけになるから、{陸|ろく}なもんが見れない{陸|ろく}でなしの幽霊になるんだろッ!」と、サギッチ。
 「だから、効率よく大努力して、要領よく闘って、能率よく己の命を運んでゆけ! ……って{訳|わけ}かァ。そこだけは、言えたなッ♪ あッ、ゴメンゴメン。おまえの講釈の話ね、これ!」と、ぼく。ちょっと……てかかなり、余計なことを言ってしまったかもしれない。
 「じゃあ、〈そこだけ〉以外のところは、どうだったのさッ!」と、サギッチ。まァ、そう思うのも、当然。やっぱり余計……だったな(アセアセ)。
 「長すぎるんだよ。おまえの講釈。顔、{強張|こわば}ったままだしぃ……以上」と、ぼく。
 「どこが長いんだッ! 数字で示せ!」と、サギッチ。
 「自分がやったことなのに、数字で示されないと{判|わか}らんのかい! おまえの言う**通り**だな」と、ぼく。
 「どの**通り**だッ! どの通りか、ハッキリと{解|わか}るように、ちゃんと具体的に言え!」と、サギッチ。
 「三丁目の交差点から概ね北西。正確には、三二五度。{距離|キョリ}{二百|ふたひゃく}にある林道。正確には、林道一七五号線。これで、いい?」と、ぼく。
 「**それほど**、悪くはない」と、サギッチ。
 「数字に{囚|とら}われ過ぎて、自分が見えなくなることもある」と、ぼく。
 「なーんじゃ、そりゃ!」と、サギッチ。
 「覚えてないの? 自分が言ったことなのに……」と、ぼく。
 「知らん!
 おれのことは、もういい!
 そんなことより、おまえの養祖父と養母だ。
 シンジイとカアネエ、座森屋の親戚かなんかなんだろッ? でなきゃ、おまえみたいな面倒臭い子ども、預かるはずないもんなッ♪」と、サギッチ。
 「たぶんな。{何|なん}にも、言ってなかったけど。ぼくも、{何|なに}も{問|と}うてはないけんどさ」と、ぼく。
 「ホント、可愛くないよな。おまえの、その物言い!」と、サギッチ。
 「宿敵に可愛いって思われたら、それこそ、もう終わりだろッ?」と、ぼく。
 「まァ、……な。でもまァ……だな」と、サギッチ。
 見上げると、{鴉|カラス}が一羽、ぼくらを見下ろしていた。
 「そろそろ、鳴くっカラスーぅ♪ ぼくが鳴いたら、早く、帰れーぇ!!」と、言わん……元い。鳴かんばかりに。

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「自伝編」 _/_/_/
 平成22(2010)年4月創刊
 旧メルマガ名: 「オールドパパスの配信小説」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、木金土の夜7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「教学」編 》
 今週の配信は、金土日の朝7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001675353.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「教学編」土曜朝7時配信 R3.3.20 一学65

#### 然修録「インストの音程の{蘊蓄|うんちく}? {唯識|ゆいしき}の三国三様!」 学人ムロー 青循令{猫刄|みょうじん} ####

 アコギでJAZZを奏でながら*音程の蘊蓄を垂れる*{若い爺さん|ワカジイ}の話♪ ところで本題は、*唯識*の三国三様の*成り立ち*(アセアセ)!

 一つ、学ぶ。

 ツボネエ君の読書法、承知した。お見事♪
 その内容も{然|さ}る事ながら、それを実践しようとする姿勢がいい。{然|さ}りとて、その{会得|えとく}は、困難極まりそうだッ!
 俺とて、その習得に努める気、マンマンなのだが、二度三度と読み返しながら、情けないほど時間がかかってしまう。なので、だいたいにおいて、目次だけザックリと記憶しておいて、後輩たちに適当と思われる本を、案内させてもらっている次第だ。
 その、〈読むのに時間がかかる本〉として、これまで俺的にして最高峰で、読破に苦慮しているのが……そう、{成唯識論|じょうゆいしきろん}! そこまでして、{何|なん}で……何の目的があって……って、やっぱそこ、{訊|き}くよねぇ? なので、答える。
 集中、精神統一。その習得。これが足らず、俺は未だ知命に到らず、**無知**運命期の最初の循令、青循令に突入……して、何と、{最早|もはや}、というか{既|すで}に、三年目の猫刄! 〈{到頭|とうとう}〉という言葉さえ、脳裏を{掠|かす}める。
 次……。精神統一と言えば、{瞑想|めいそう}。この瞑想について書いてある本を何冊か読むうちに、ヨーガという言葉と出逢う。ヨーガとは、修行方法の一つ。その修行というのが、まさにドン、ピシャリン♪ 精神統一なのだ。
 次……。このヨーガが生まれたのが、インド。それが日本に渡って禅宗の〈禅〉と相成る……が、それは、置く。インドに、戻る。
 そのヨーガによって悟りを開いたのが、お釈迦さん。「ヨーガは、{凄|すご}い!」と感奮し、そのヨーガによる修行で、お{釈迦|しゃか}さんの悟りを学んだ者たちが打ち立てたのが、唯識思想なのだ。
 というわけで、今回は、その唯識の三国三様……**インド、中国、日本での成り立ち**について、〈{纏|まと}めてみよう〉と思う。ヒノーモロー島の三人の{美童|ミワラ}たちのマイブーム的に言うと、〈要約してみよう〉と、相成ろうか♪
 ところで、その前に、{何気|なにげ}に蛇足を一つ(アセアセ)。

   《 蛇足……。この、〈♪〉というヤツ 》

 {人気|ひとけ}のない海辺で、アコギ(アコースティックギター)を{奏|かな}でている若い爺さんを、見かけた。少し、会話をした。その{若爺|ワカジイ}、曰く。
 「歌を歌っていて、『音程が外れたーァ!!』というが、それは、音程という言葉の使い方を、間違っている」と。
 正しくは、{音高|ピッチ}。片や{音程|インターバル}のほうの正しい意味は、音と音との距離のことを言うそうだ。しかもそれは、{測|はか}って判る距離ではなく、不変……即ち固定値としての距離、という意味だ。
 たとえば、{C|ド}自身の音程。これは、{完全|パーフェクト}1度と呼んで、実際の距離は、{無し|ゼロ}。
 この{C|ド}を基準にすると、{E|ミ}までの音程は、{完全|パーフェクト}3度と呼んで、実際の距離は、全音が二つ。
 同じく{C|ド}から{F|ファ}までの音程は……そう、{完全|パーフェクト}4度で、正解♪ でもその距離は、全音が三つではなく、{何故|なぜ}か、全音が二つと半音が一つ。
 なので、ピアノの鍵盤を見ると、白鍵{C|ド}と白鍵{D|レ}の間は全音なので、その中間の半音の距離のところに、黒鍵がある。
 でも、白鍵{E|ミ}と白鍵{F|ファ}の間は半音なので、白鍵{E|ミ}と白鍵{F|ファ}の間には、黒鍵がない。
 次に、{若い爺さん|ワカジイ}が持っているアコギを見てみると、ピアノのような白鍵と黒鍵の区別らしきものが、見当たらない。ここでまた、{若爺|ワカジイ}、{曰|いわ}く。
 「指板の表面を区切る{金属の突起|フレット}は、すべて半音ごとに{嵌|は}まっている」と。
 そのワカジイが{弾|ひ}いていた音楽が、これがまた耳慣れない。{ジャズ|JAZZ}という、舶来音楽だそうだ。JAで始まるからJAPANの音楽かと思ったが、まったくの大外れだった。
 さらに、このワカジイが奏でるアコギ、{即|すなわ}ち{楽器だけの演奏|インストルメント}であるが、一般的にというか俺的には、クラシックとか、ジングルベル♪みたいな世界共通的な曲とか、{アニソン|アニメソング}とか{流行歌|ポピュラーソング}みたいな音楽を、思い浮かべる。
 だが、このワカジイが奏でている耳慣れないインストは、**{ジャズ|JAZZ}**と名の付いた{聴く人の主観による分類|ジャンル}なのだ。
 実際……これ、いいかもーォ♪

   《 インドにて、唯識の誕生 》

 {弥勒|みろく}、{無著|むじゃく}、{世親|せしん}……この三人によって、唯識は宣言され、提唱された。弥勒の出生は不明だが、無著と世親は、兄弟だ。
 先ずは兄の無著が、唯識思想を組織的に体系化し、それを書に{著|あらわ}す。次に、弟の世親が書を著し、「外界には事物は存在しない」という{唯識無境|ゆいしきむきょう}の理を論証した。
 しかし、この書には註釈がなく、後年、唯識を学び精通した者が、注釈書を作った。彼らのことを、{論師|ろんじ}と呼ぶ。後に、その唯識の教理を学んでいた{玄奘|げんじょう}が、「{護法|ごほう}の註釈が。正しい」と言い出し、『{成唯識論じょうゆいしきろん}』を訳出する。
 この書の成り立ちによって、唯識論は、完成する。

   《 中国へ、唯識の伝来 》

 さて、この玄奘。『{西遊記|さいゆうき}』の三蔵法師としてのほうが、有名である。インドでの{求法|ぐほう}は、十七年に及び、彼の帰国によって、唯識思想が、中国に{齎|もたら}された。
 それから入滅するまでの二十年間、サンスクリット語で書かれた数々の原始仏教の原典の翻訳に努めたが、中でも前述の訳出『成唯識論』は、中国仏教史上、最も画期的な偉業となった。
 {斯|か}くして、無著が体系化し、弟の世親が論証し、論師の護法が註釈し、後年それを学んで帰国した翻訳家の玄奘が、それを翻訳して『成唯識論』を著し、ここで、唯識論の中国への伝来が、完結する。
 後に、その玄奘の弟子が、師の翻訳の註釈に努めながら、この唯識思想を{基|もと}にして、法相宗を{興|おこ}す。

   《 日本へ、唯識の伝来 》

 その法相宗が日本に伝来したのは、奈良時代のこと。これが南部(奈良)仏教の一つとなり、次第に勢力を増してゆく。
 多くの留学僧が唐に渡ったが、とりわけ第一伝と第四伝を持ち帰った留学僧両名の布教が、よく栄えた。
 {因|ちな}みに、第一伝を教理にしたのが{元興寺|がんごうじ}で、これを南寺と呼び、第四伝のほうは{興福寺|こうふくじ}で、これを北寺と呼ぶ。両寺はそれぞれの教義を{以|もっ}て互いに競い、多くの名僧を輩出し、多くの論書を生み出した。

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「教学編」 _/_/_/
 平成28(2016)年8月創刊
 旧メルマガ名: 「ジージスイッチ」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、金土日の朝7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「自伝」編 》
 今週の配信は、木金土の夜7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001131415.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「自伝編」金曜夜7時配信 R3.3.19 一息68

#### 後裔記「夢の後編。遺伝子と後裔記の意外な因縁」 少年サギッチ 齢9 ####

 スピア丸、撃沈。*浮上せず*。後編へつづく……とは、相成らず。読めない形象文字に潜んでいた、おれたちの*血の*驚きの*真実*!

 一つ、息をつく。

 残念無念観念……嗚呼、ご勘弁(ショックショック)。
 という{訳|わけ}でありまして、自ら後編へと続ける。
 自問。「読めるんかい! {蚯蚓|ミミズ}{這|は}い~這い~文字~ぃ」
 自答。「どうなんだか! まァ、はい……ですです」

 「そこまで言い切るなら、説明してもらおう。おまえが理解して考えた{誤り|バグ}対策というものを、{篤|とく}と聴かせてもらおうじゃないか」と、ザグッチ{事|こと}、スピアの祖先らしき座黒くん。
 「誤動作を認めたら、直ぐに破壊する。電脳チップに、遠隔操作の起爆回路と起爆剤を埋め込んでおく。理想は、チップのみの破壊。だがそれは、万人に万全とはならないだろう。
 仮にチップのみを破壊できたとしても、宿った生体頭脳に、好ましからぬ{誤り|バグ}が生じてしまう。電脳チップの洗脳から、解き放たれるということ……{即|すなわ}ちそれは、おれたちの陰謀に気づいて、肉体が好ましからぬ行動に転じるという懸念だ。
 いっそ、その頭ごと爆破! {一思|ひとおも}いに、殺してしまったほうがいい」と、クロスケ事、おれの先祖らしき黒{鷺|さぎ}くん。
 「最初から、そのつもりなんだろう。おまえには、予見の{遣|や}り方も、その活用の仕方も、{何|なん}にも{解|わか}っちゃいない。だからおまえがやる事は、いつも危ういのだ」と、ザグッチの野郎。 
 「おまえが言うことは、いつも問答無用だな。だけどな、これだけは言っておく。おまえの言うことは、いつも、{訳|わけ}{解|わか}んねーぇ!!」と、クロスケくん。
 「じゃあ、教えてやろう。問いもしない馬鹿野郎に教えてやるは、座黒一族の情けだ。承知して、{聢|しか}と聴け!
 未来即ち、安易な考えで突っ走った無残な末期を予見したければ、今を未来に見立て、現在に{居|い}る己を過去に置き、その過去に置かれた自らの頭で、未来に見立てて現在に居る己を観察する。仮に過去に置いた己の周りに居る先人偉人たちの助言が、大いに役立つことだろう。
 その先人とは、我らが共通の先祖。それは、亜種ではなく、一つの種。ヒト種……それ即ち、人間! その人間の頭を、爆破するだとぉーッ!? 殺し合うだーァ?? 貴様ら一族の先祖が、そんな{陸|ろく}でなしの後裔の馬鹿げた暴挙を本当に望んでいるのかどうか、己の過去に行って、自分の目と耳でよく確かめてくるがいい。
 これでもまだ、WWNと言うかァ!」と、ザグッチ野郎。
 「なーんじゃその、WWNっツーのはッ!」と、クロスケ。(当然♪)と、思うおれ。
 「WAけWAかんNE-ぇ! の、略だ」と、ザグどん。
 「そっか。じゃあ、YESだッ! 言ってやる。WWNだーァ!!」と、クロスケ。(だよなッ!)と、思うおれ。
 「面倒臭い{奴|やつ}だ。でも、教えると言った以上、ここで引く{訳|わけ}にはいかん。
 例えば一世紀前……まァ、半世紀前でもいいや。仮にその過去に置かれたぼくらは、文明界と自然界が{齎|もたら}した結果の未来……即ち〈今現在〉を、どれほど予見できているだろうか。
 我ら自然人の思考が追いつけない猛烈な速さで、半世紀後の今現在の文明界は、ひとしきり荒廃し、{猶|なお}も最悪へと{変貌|へんぼう}を続けている{最中|さなか}なのだ。
 追いつけないものを、いくら追っ駆けても、予見は、不可能だ。だからさ。それを可能にするのが、後裔記という訳だ。ご先祖さまは、それを読んで、高速の未来を正確に予見したいがために、子々孫々の我らに、その{史|ふみ}を{怠|おこた}らず絶やさぬように{綴|つづ}り続けよと、{仰|おお}せられているのだ。
 そしてご先祖さまは、そうやって知った未来を総括して、遺伝子という古風な手段を使ってだけんども、その過去から現在に到る半世紀の{経緯|いきさつ}を、ぼくら後裔の腹脳、{或|ある}いは頭ん中の層脳、即ち潜在意識に伝え、それを投影して、ぼくらの{塊脳|かいのう}……{所謂|いわゆる}顕在意識に{観|み}せたいがために、上映してくれているのだ。
 これ、何とも根気の{要|い}る大親切なりやッ!」と、何とも根気の要る大迷惑な宿敵……少年座黒の野郎。
 「で、おまえの先祖は、何と伝えて来てるんだッ!」と、当然が{如|ごと}く問う少年、黒鷺くん。
 「文明{民族|エスノ} {=|イコール} 愚者 ……ではない。なかには、{義胆|ぎたん}を持った者も居る。彼らは、文明界で、変種にまで{貶|おとし}められた。{挙句|あげく}は切り捨てられて、あれよ今よと、{直|じき}に亜種とならんは必定。
 考えてもみよッ! この世も、あの世も、何にあってもなかろうとも、その基は、人だ。{朽|く}ち腐った文明界の人間ども{然|しか}り。
 その昔……即ち、人を得た時代。その当代当時、{日|ひ}の{本|もと}の国は、至誠の人が{溢|あふ}れ、国体は維新という快挙をも成し{遂|と}げ、大いに盛んだった。
 それが、百年も待てぬうちに、人心が{廃|すた}れてしまった。ただそれだけで、国体という生きものは、{亡|ほろ}びてしまう。今、文明人と闘わなければ、それは深夜の悪夢ではなく、夜明けの現に照らし出されてしまう。
 その文明人たちと闘う相手は、自然人ではない。人と人が戦うは、至誠に{悖|もと}る。それが{故|ゆえ}のこと、{愚|おろ}か者は、その戦いの片方のみに{非|あら}ず。両者共に、愚かだ。
 時勢は、{徐|おもむろ}に転回する。我ら自然{民族|エスノ}は、その時勢に{順|したご}うて、{六然|りくぜん}と七養を{以|もっ}て、自然の一部で在り続ける。それが、闘うということだ。{戈|ほこ}を振り上げる戦いは、自然から離れ腐った、愚か者がやることだッ!」と、宿敵事、それ{故|ゆえ}のおれのご先祖さまの親友、ザグッチが言った。
 「つまりおまえは、文明人の頭を爆破することも、文明{民族|エスノ}を皆殺しにすることも、{悉|ことごと}く、おれの計画に反対という訳だなァ? なァ。おまえも、ここで一つ、考えてもみろよ。
 おれたち自然界の生きものは、人間……文明人を信じ続けて、何百回、何千回、裏切られてきたんだ。おまえは、裏切られ、無視され、踏み{躙|にじ}られたお礼に、そいつらの命を救ってやれとでも言いたいのかッ!」と、おれら鷺助屋の開祖(と、思われる)クロスケくん……が、言った。
 「お前が欲しいのは、チップの自滅回路なんかじゃない。おまえが計画している人工知能のチップの中に組み込まれるのは、原始的な爆薬と、その起爆回路のみだ。おまえが本当に欲しいのは、洗脳のため、{延|ひ}いては頭を爆破するため、チップを頭に埋め込む……そのための、**口実**だ。
 悪に戦いを挑もうとするおまえに、至誠が無いとまでは言わない。それと同様に、無いとは言わないまでも、だが明らかに、その大半が欠落しているものがある。
 それは、真っ正面から異議を申し立て、{已|や}むに已まれず戈を振り上げるような、動物的だが忠純な義胆……おまえは、そこに{缺|か}くる」と、スピア{等|ら}座森屋の開祖(と、思われる)ザグッチ……が、言った。
 「もういい。{解|わか}ったから、それ以上、言うな。だが、一つ。おまえに、問う。
 それでおまえは、{或|ある}いはその義胆とやらを備え持った{御仁|ごじん}は、悔しくないのかッ! {耐|た}え{難|がた}くないのかァ? 忍び難くもないという訳かァ! 戦わないとしたら、おれらは、この悔しさを、この耐えが難きを、どうやって忍んで生きてゆけばよいのだッ!」と、クロスケ。
 「おまえも、ぼくも、きっと、考え過ぎなのだ。もし、そう思える時代の幕が{開|あ}けば、きっと、忍べる。たぶんな」と、ザグッチ。
 「無理もない。考えなければ、間が持てない。おれらには、喜怒哀楽が無いんだからな。思いと考えと行動、その三つの機能しかないんだ。
 なァ! その喜怒哀楽……情緒のすべてをおれらから{剥|は}ぎ取ったのは、どこの誰なんだッ!」と、クロスケ。
 「ぼくは、義丹のすべてが欠如してるのかもしれない。ぼくが本当に欲しかったのは、{憐|あわ}れんでもらうことだ。心が、{怨|うら}めしい、怨めしいって、悲鳴を上げてるんだ……」と、ザグッチ。
 「次の天地創造で、生まれ変わってみたいもんだな」と、クロスケ。
 「だな。そこでもまた、ぼくたちは、宿敵なんだろうな」と、ザグッチ。
 「言えたなッ♪」と、クロスケ。

 以上。
 ここで、撃沈。
 おれの潜在意識を{揺|ゆ}すり起こす、不届き者{在|あ}り。
 その、おれの顕在意識が、言った。
 「もう眠いぢょーォ!! 耐え難いぢょーォ!! モヨメレジョヨーォ!?」
 ここで、爆睡。
 おやすみなさい♪

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「自伝編」 _/_/_/
 平成22(2010)年4月創刊
 旧メルマガ名: 「オールドパパスの配信小説」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、木金土の夜7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「教学」編 》
 今週の配信は、金土日の朝7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001675353.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「教学編」金曜朝7時配信 R3.3.19 一学64

#### 然修録「人は信じる事を{怖|おそ}れる。読書を自反する」 少女ツボネエ 少循令{飛龍|ひりゅう} ####

 *事実を見せつけても*、他人は{易々|やすやす}とは*信じてくれない*もの。*自反で信じ得た*奇想天外な読書法♪

 一つ、学ぶ。

 幼循令の七年間は、偉人の伝記を読めぇ?
 言わずもがな、サギッチの然修録の話だけどさ。
 異論在り。
 〈偉人の伝記〉に対してじゃない。
 〈読め〉に対してさ。
 その前に、屁理屈を一つ。
 幼循令の一年目は、ゼロ歳。伝記、読めるんかい!……{云々|うんぬん}。
 言いたいのは、そんなことじゃない。
 去年の今ごろ、あたいは、幼循令の七年目。
 読めるさ、伝記くらい。
 でもさ。あたい、読むの、遅いのさ。
 先輩たち、特に学人や門人、本、いっぱい読んでるよねぇ?!
 あたいが本を読む量、その{速さ|スピード}は、{一月|ひとつき}に、精々一冊!
 驚いたァ?
 おっつかないよねぇ?
 それで、その、**読書について、読書して**、いろいろと,考えてみた。
 だからみんなも、考えてみてよッ!

   《 あたい的、読書維新! 》

 乱世。
 特に、これから先。
 それくらいのことくらい、あたいにだって、{判|わか}る。自然人であれ、文明人であれ、和の人たちであれ、これから先の乱世を生き抜いてゆくためには、もの{凄|すご}い速さで、情報を処理しなきゃなんない。
 目まぐるしく{襲|おそ}ってくる悪意と善意がごちゃ混ぜになった情報を、たった一つの頭脳で、処理しないといけない……って、めっちゃたいへんなことよねッ?
 大特急で知識を習得し、{智慧|ちえ}を会得しなきゃいけない。だから、そのために学問がある。{況|いわん}や、書の中の偉人と、対話をする……これ、無論「よし♪」。
 次、行動の学……ここでやっと、知識が熟成して、{智慧|ちえ}となる。
 と、なるとさァ。読書は、{避|さ}けては通れない。 
 あたいに未だ備わっていない、新たなる{修行によって体得した能力|スキル}が、必要だってことね♪ あたいの脳ミソ、フルスイングーゥ♪
 BUT、空振りーぃ!! 最悪ーぅ!!
 ……てな{顛末|てんまつ}は、あたいを知る人なら誰でも、容易に推察できるっしょ! たぶん。でもさ。言っとくけど。それって、失礼だよねぇ? 今、気づいたァ? まったく……まァ、いいけどさ。

 で、離島生活で読んだ本の中に、こんな話があった。
 ある大学での、セミナー。
 若い研究者の発表。
 奇想天外な、学習法!
 会場、ザワザワ。
 「そんなもん、できっこないやないかァ!」と、お{偉|えら}い(と、自分で自分の顔に書いてある)教授たち。
 そこで、その若い研究者。それを、{実際にやって見せた|デモンストレーション}。論より証拠! それを、その教授らの面前で、具現化した。「あんたは、偉い♪:」と、言いたいあたい。まさに、{論的証拠|エビデンス}の実証実験!
 目の前で、事実を見せつけられた、新たなる{理念模範|パラダイム}……。言わずもがな、ぐーの{音|ね}も出なかった教授たち……とは、ならなかった。なぜーぇ!?
 事実を見せつけられても、まだ、信じない。「なによッ! この偉ぶったオッサンたち!」と、叫びたい、あたい。
 でもさ。そんなもんさ。特に、大人は。だからあたいは、他人が信じようが信じまいが、どんなに理不尽で{卑劣|ひれつ}な、{謂|い}われなき疑いをかけられたって、一切、気にしない。と、自分で決めた。だから、気にならない。
 〈可能〉とは、受け{容|い}れた人にだけ与えられる称号、ご{褒美|ほうび}さ。信じないヤツらは、思いがない、だから考えない、当然行動なんてしない、だから否定しかできない。
 学ばないんじゃない。学べない。{無様|ぶざま}! 嗚呼、{哀|あわ}れ! だから、雑学は北アルプスとなり、{虚|むな}しく{麓|ふもと}塩尻の草競馬を、ただ無力に見下ろすのみ。だから、智慧が育たないのさ。
 使い物にならない知識が、ただ山積するばかり。だから、いつまで{経|た}っても、ご褒美を{貰|もら}えない。だからいつも、不平不満ばかり。{所詮|しょせん}、人間って、そんな程度さ。
 あたいの、今の最大の課題は、猛スピードで本を読んで、しかも、その内容を読み取ること。そんなの、できっこない? そう思う先輩たち……君に、おまえ! よーく、考えてみなさいよッ!
 雲って、それが湿って、そこに{埃|ほこり}が多層に堆積したメガネのレンズで、まったく自分の知らない目前の新時代の現実を、見てごらんなさいなッ!
 ドロン……ボヤンとした、何か珍妙で、怪しい、そのすべてが、幽霊か亡霊みたいに、見えてくるってもんさ。

 脳に〈味噌〉があるから、「脳ミソ」って言うんだろォ?
 ここからが、あたい的、その**ミソ**さッ!
 況や、自反さッ♪

 【い】 自問。何のためにこの本を読んでいるのか、答えられない。
 【ろ】 自問。この本の何を読みたかったのか、答えられない。
 【は】 自問。なぜ本を読むのが遅いのか、答えられない。
 【に】 自問。読んだ本に何が書いてあったのか、答えられない。
 【ほ】 自問。なぜ読んだことを忘れてしまったのか、答えられない。

 【い】の自反。
 読書とは、明確な目的を持つことから{始|はじ}まる。

 【ろ】の自反。
 目的があるならば、先ずは、森を見よ。
 森全体→木々→枝葉……の順番で、見てゆく。
 {何|なん}のために、そんな手間のかかることをするのか。それは、小さな手間で、大きな手間を殺すためだ。各章および、各節の概要を、瞬時に{掴|つか}み、その本を読むべきか{否|いな}かを、判断する。

 【は】の自反。
 ムロー学人お気に入りの写真読みは、正にここだと気づき、確信した。確かに、目次の写真読みは、有効ね。それを、本文にも、適用すればいいのよね? 但し、その写真読みの目的は、ただ一つ。その本を読むか否かを、判断する……それだけね。

 【に】の自反。
 復習をしないから、全部、一つ残らず、忘れっちまうのさ。読むと決めて、目的を持って読んだからには、必ず、その本の中で、〈ミソ〉を{見|みい}出せたはずでしょ? その〈味噌〉に、自問自答してみる。さすれば、一冊の読書で、二冊分も三冊分も、{美味|おい}しい♪

 【ほ】の自反。
 {漬物|つけもの}ってさァ。置いとくから、美味しくなるんでしょ? {糠|ぬか}味噌は、例外だけどさ。来る日も来る日も、毎日毎日、{掻|か}き混ぜなきゃなんないからッ! まァ、例外の話は、置く。
 読んだことさえ忘れてることって、ない? それって、無駄よねぇ? {正|まさ}に、命のムダ{遣|づか}い!
 読み込んだことすべてを、脳ミソに{漬|つ}け込む。{醗酵|はっこう}させる。熟成させるってことさ。そこでやっと、引き出し可能な、味な、{旨味|うまみ}のある知識になる。それが、智慧ていう、自家製の{糠|ぬか}味噌さ。
 言わずもがな、言うは{易|やす}し!
 だから、言ってみただけーぇ♪
 それを身に着けたいなら、実践……{即|すなわ}ち、行動あるのみねぇ♪

 ヨッコ様に、マザメの{姉御|あねご}♪
 男どもが知命する前に、あたいら三人で、知命しようよーォ!!
 てか、話は飛ぶけどさ。
 スピア兄貴の養母……カアネエのこと。
 あの女、座森屋の血筋の{武童|タケラ}には違いなさそうだけどさ。
 あの女、そのうち、どえらいこと、やらかすよッ!
 これ、女の下腹部の、{勘|かん}!
 そう、直感ってやつねッ♪
 この直感の{具現|ぐげん}を見るのは、悔しいけど、あたいの考えが及ばない、〈未来〉のことになりそうだけどさ。
 この蛇足、みんな、覚えといてよねッ♪
 覚えといて、損はないからさァ……(マジマジ、はいはい)。 

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「教学編」 _/_/_/
 平成28(2016)年8月創刊
 旧メルマガ名: 「ジージスイッチ」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、金土日の朝7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「自伝」編 》
 今週の配信は、木金土の夜7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001131415.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「自伝編」木曜夜7時配信 R3.3.18 一息67

#### 後裔記「サギッチへの敬服と憤慨。{奴|やつ}の夢を{紡|つむ}ぐ」 少年スピア 齢10 ####

 サギッチ・オリジナルのピカソ文字……解読に、{挑|いど}む。座森屋創始者、ザグッチの反撃!

 一つ、息をつく。

 サギッチの然修録、異論なし。
 ヤツの大努力も、認める。
 座学ノートを、{捲|めく}る。
 確かに、サギッチが{纏|まと}めた循令解説の内容を、一つひとつ、見て取ることができた。しかも、散り散りにして、広範囲!
 さすがの(何が〈さすが〉なんだか……)ぼくも、これだけ散在している断片の数々を拾い上げて纏め上げるのは、か・な・り、{面倒|めんど}っちい。
 『息恒循』解説の輪番回避の本当の理由は、この「面倒っちい」だ。その{怠惰|たいだ}、{自堕落|じだらく}を見抜いたサギッチに、敬服する。
 ……次。
 同じくサギッチの、後裔記。これも、異論なし。但し、不服あり。
 {斯|こ}う、言いたいからだ。
 「おまえは、自分が書いたこの夢の走り書きを、読めるのかッ! これは、アラビア語かァ? それとも、ヘブライ語? {将又|はたまた}、古墳から出土した古代文字かァ? アーン??」
 言いたいことは、以上。
 では、本題……。

 サギッチが見た夢。この秋から冬にかけて毎晩……ちょっとづつ。その走り書き、{編纂|へんさん}の諸書としては、C級、D級……{否|いな}! {ゴミ|GOMI}の頭文字、G級。だって、書いた本人が、読めないんだからッ!
 登場人物は、ぼくが一夜で映し切った夢と、同じ。{鷺|さぎ}助屋の創始者であるに違いない黒{鷺|さぎ}くんと、こちらも座森屋の創始者に間違いないと思われる座黒くん。
 ここで、一つ。
 ぼくの{一幕|ひとまく}の夢と、サギッチが{散見|さんけん}した夢とを比べてみる。大きな違いが、{一|ひと}。
 座森屋の後裔のぼくが見た夢では、黒鷺くんが講釈を垂れて、ぼくの先祖(であろう、たぶん!)座黒くんは、{専|もっぱ}ら聞き役だった。対して鷺助屋の後裔のサギッチが散見した夢の中では、そのまったく逆。座黒くんが講釈を垂れ、サギッチの先祖(らしい……これも、たぶん)黒鷺くんが、専ら聞き役に回っている。
 G級諸書を、ここまで読解するだけでも、サギッチの循令解説の大努力に匹敵する。これは、〈たぶん〉は一切無しの、完璧に「間違い無し!」と、そう言い切れる。
 サギッチのピカソ風絵画を文字として{捉|とら}え、ぼくの一幕の夢から推察もしながら、ぼくなりに、しかも珍しく大努力で、サギッチが散見した夢の断片や{欠片|かけら}を、{繋|つな}ぎ合わせてみた。
 では、上映開始ーぃ♪ ……(アセアセ? 否。ブーブー、ブリブリ!)。

 「そっちぃ? {嗚|あ}ー{呼|ァ}、{鸚鵡|おうむ}返しねぇ♪ 便利だから、おまえも使えばいいじゃん! てか、おまえさァ。宇宙の道理って、知ってるかァ?」と、座黒くん。
 「知らん」。と、黒鷺くん。そして同時に、(てか、そう踏んだから、{訊|き}いてきたんだろッ! これも、おまえの{常套|じょうとう}だもんな、まったく)と、思う黒鷺くん。
 「じゃあ、教えてやる。
 ときに、大。
 ときに、小。
 ときに昇るや、ときに{潜|ひそ}む。
 その{何|いず}れもが、陽を好む。{故|ゆえ}に冬は縮こまり、夏は大いに、動く。「人{興|おこ}って志気と時運を得れば、四海に縦横する」って、聞いたことあるだろッ? 無いみたいだなッ! まァ、いいやァ♪
 確かに、おまえは、その縦横する{龍|りゅう}のように、大きい。されど、ときに、小さい。そのときのおまえは、神通力なく、{把握|はあく}の徳なく、穏と顕を自在に操る才もない。そのとき、正におまえは、{同胞|はらから}である自然人をも、絶滅に追い込む。
 これだけ詳しく言えば、さすがのおまえも観念して、よく{解|わか}っただろッ?」と、座黒くん。
 「わからん……」と、黒鷺くん即答。その一言……及び、{余韻|よいん}が少々。
 「マジかいッ! では、遠慮なく{問|と}おう!
 {皆|みな}が好む陽の光とは、核融合で{放|はな}たれた原子力の輝きだ。人は、原子力を毛嫌いするというに、{何故|なにゆえ}に太陽の原子力だけが、例外なりや。
 答えよう。それは、太陽のプログラムの中に、{誤り|バグ}が、隠れ潜んでいないからだ。絶え間なく、何物にも{妨|さまた}げられることなく、核融合を繰り返す。
 では、問いに戻ろう。
 おまえが開発を果たすであろう{頭蓋|ずがい}埋め込み型人工知能受信機のプログラムに、{潜む誤り|バグ}は、一切ないのかァ? 誤作動する恐れの確率は、ゼロ%なのかァ! 未来永劫、劣化はしないのか……。
 仮に、一千万個の頭蓋に埋め込まれた{人工知能|チップ}を、回収修理するとしよう。先ず、どれだけの期間で、どうやって掘り起こいすか。バグの修正に要する時間など、それに係る時間に比すれば、「とうの昔に、オーケイよーん♪」ってなもんだろう。
 次に、その修繕されたチップを、どれだけの期間内に、どうやって埋め戻すか。どうなんだ。答えろッ! 問われて答えるが、鷺助屋の{情|なさ}けってもんじゃなかったのかァ? そう{豪語|ごうご}してたのは、おまえじゃなかったっけかァ。嗚呼、ぼくの、勘違いかァ? 豪語してたのは、四谷のイワちゃんだったけぇ?
 金を{注|つ}ぎ込むことは、{焦|あせ}らなくっても、有りさえすれば、いつだって出来る。だからこそ、その前に、行動を起こす前に、{懸念|けねん}や洞察や先見を、白日の下に並べ立てる。その目的は、一つ。〈最悪〉を、{炙|あぶ}り出すことだ。希望的観測に、未来は無い。
 まァ、問題児の親友に未来が無いのは、ある意味、好ましいことだがな」と、座黒くん。
 「教えてくれて、有難う。おまえと親友だったとは、知らなんだ。おれは、てっきり、おまえとおれは、宿敵だと思ってたよ」と、黒鷺くん。
 「そっちの有難うかい! まァ、有難うには違いない。それより、有難うを言ってくれんかった話のほうが、まだ終わって{居|お}らん!
 {兎|と}にも{角|かく}にもこれから、ありとあらゆる{場合|ケース}を想定して、その一つひとつに対する{遣り方、方法|アルゴリズム}を、その{鷺|サギ}チップにインプットしなきゃなんないって{訳|わけ}だ。
 仮にも、それを{遣|や}って{退|の}けたとしようか。
 だがな。
 社会に{澱|よど}んでる{違法、非合法|イリーガル}なケースの方が、人間が思いつくアルゴリズムより数千倍も数万倍も、多いんだ。その数に匹敵するアルゴリズムを{叩|たた}き出せるのは、人工知能でも、そに移植しようとしてる顕在意識でもない。脳ミソとは言っても、そこに、{味噌|ミソ}はない。
 人間の本当の味噌は、潜在意識と超意識……{即|すなわ}ち、瞑想と直感。遺伝子と連携した思慮深さと、瞬時に開花する鋭い感性だ。そこに、自然界の霊薬が、投与される。そこで誕生する未知にして新たな無形生命体が、霊力だ。
 なァ、クロスケ。ここで……それは、まさに今。なァ、よく考えろよッ! 今なら、まだ間に合う。ぼくら自然{民族|エスノ}がヒト種なら、和の{民族|エスノ}だって、そして、文明{民族|エスノ}だって、みんな、ヒト種なんだ。
 ぼくらが考え及ぶ程度の頂には、和の人たちも、文明の{奴|やつ}らも、簡単に登って来れるってことさ。
 どうだ。これで、{解|わか}っただろう。
 {判|わか}ったなら、{潔|いさぎよ}く、観念したらどうだッ!」と、座黒くん。
 「観念など、せん」と、黒鷺くん。
 「{呆|あき}れたやつだなッ!」と、座黒くん。
 「誤解すんなッ! おれは、ちゃんと解ってるんだ。ただ、{判|わか}りたくないだけだ」と、黒鷺くん。

 あーァ! この{小汚|こぎたな}い字、何とかしてーぇ!!
 後編に、つづく……撃沈、爆睡! 

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「自伝編」 _/_/_/
 平成22(2010)年4月創刊
 旧メルマガ名: 「オールドパパスの配信小説」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、木金土の夜7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「教学」編 》
 今週の配信は、金土日の朝7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001675353.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「教学編」日曜朝7時配信 R3.3.14 一学63

#### 然修録「座学の徹底復習、循令の解説に挑む!」 少年サギッチ 少循令{猛牛|もうぎゅう} ####

 大嫌いな復習と、大の苦手の要約! 神業を具現させる*大局観とは*何ぞや。儒学の教えを割り振り、七期の*循令を説く*。

 一つ、学ぶ。

 スピアの言う通り、おれら少年学年ごときに、循令の講釈は、確かにムリ!
 でもさ。だからって、高学年に丸投げって、どうなん?
 一応、やるだけやって、足らないところとか、間違ってるところを、高学年の{美童|ミワラ}に{補|おぎな}ってもらう。これが、{筋|すじ}ってもんだろッ! てかおれ、なんか珍しく、いいこと言ってるよね? まァ、それはそれ。
 循令ってさァ。要は、どの年代に何をして、こうしてこうあるべきだ……って、そんなことやろッ? どの年代に、何をして……ってさァ。気づかない? 儒学じゃん。
 どの年代に、どうあるべきか……なんて、{皆目|かいもく}見当もつかないけどさ。でも、儒学の{範疇|はんちゅう}なら、寺学舎の座学の{課目|かもく}で、ある程度は見当をつけられるんじゃないのかなァ!?
 てなわけで、「サギッチ、大努力で座学の復習の巻ーぃ♪」
 該当する課目を、要約してみようと思う。社史の要約を親友に振っておいて、そのおれが何もしないってのは、これ正に不義理。但し、公表する前に、断っておく。スピアにとっては得意分野でも、おれにとっては大の苦手分野で、{故|ゆえ}に、{纏|まと}まりが悪い! なので、悪しからずーぅ♪

   《 洞察と先見……七つの循令 》

 門人学年の先輩の旅の話を総括すると、働くってのは、少なくとも五年先を見通した上で、先ずは計画することから始めることが肝要で、以後、軌道の修正と試行錯誤の連続という新規開拓の日々……らしい。肝要というのは、決して{大袈裟|おおげさ}ではない。{何故|なぜ}なら、それらがなかなか、至難の{技|わざ}だからだ。
 じゃあ、至難の対抗策は、何か。高学年の先輩たちに{訊|き}くと、それは、大局観だという。なーんじゃそりゃ! で、また問うと、要は、観察だと言う。(最初から、そう言えよッ!)と、思うおれ。
 ……と、思ったわりには、(わけわかんねーぇ!!)と、思うおれ。実際、この世の中、自ら実践してみなければ{会得|えとく}できない、{解|わか}るはずもないようなことが、実に多い。特に多いのが名言や格言、そして大人たちが{垂|た}れる教示のあれこれだ。
 座学の中で、誰かが、質問をした。「実際、その大局観……洞察と先見を会得して、社会に貢献した企業家には、どんな人が居るんですかァ?」と。さすがに、返答無し。でも、(アセアセ)のままでは、(塾師の{沽券|こけん}に{係|かか}わる!)とでも思って、またまた(アセアセ)して調べてくれたんだろう。後日の座学で、教えてくれた。

   【い】 最も先見に優れた財界人。
 阪急電鉄の創業者、小林{一三|いちぞう}翁。
   【ろ】 高度成長の{礎|いしずえ}を築く。
 政治家、池田{勇人|はやと}氏。
   【は】 最も洞察と先見に富んだ人物。
 武将、徳川家康。

 この三人の偉人、学園に通ってれば{何|いず}れ習うんだろうけど、その点、寺学舎の座学は、その内容に{偏|かたよ}りがある。哲学、心理学、原始仏教、発明発想法、読書法……等など。
 これに塾師の旅の思い出ばなしを加えると、それだけで、座学の学課の九割を超える。ここに算数が無いのが、おれにとっては{頗|すこぶ}る{有難|ありがた}やなんだけんども……(アセアセ)。
 それもあって、算数は自己責任に認定してコソコソと読書なんかをしている{訳|わけ}なんだけど、まァ、それはそれ。今の問題は、肝要と呼ばれる計画という難儀な言葉!
 その計画に必要な洞察力と先見力が、近代から特に現代に見られる高速、激動、激変の時代にあって、世界の動きと民族の営みと政界財界の将来……十年先までの変移を予見し、その動きの一つひとつまでをも予測する。
 その能力……それが、後天的な百戦錬磨の習得的行動で体得したものであれ、先天的な生得的行動で会得したものであれ、何れにしてもそれは、正に{神業|かみわざ}!
 これは、古来悠久、神々の血を受け継ぎ、自然の一部であり続ける特定の偉人たちにのみが為せる、特別な技なのかッ! 考えてみれば、社会というのは、始まりも無ければ、終わりもない。だから、それを洞察先見するというのは、並大抵ではない。
 そこへいくと、我々生きものには、始まりと終わりが、ハッキリしている。何時何分何秒まで、実に、ハッキリとしている。その期間は、七十年前後か、まァ精々、九十年前後。そかも、自分に関する限り、しかも、その、たったの一つだけ。これなら、誰にだって、{大凡|おおよそ}の見通しや見当くらい、つけられる。……と、思う。これ、希望的観測(アセアセ)。
 で、ここで、儒学の思想、どの年代に、どうあらねばならぬか{云々|うんぬん}の学問が、活きてくる。てなわけで、これを、七つの循令に、当て{嵌|は}めてみる。

      《 立命期 》

   【{幼循令|ようじゅんれい} {齢|よわい}0から7】
 {美童|ミワラ}の基礎形成期。偉人の伝記を読み、古人や先人から、人生の引き{際|ぎわ}というものを学ぶ。{如何|いか}にして、この世から撤収するか。その方法を学ぶということ。己の全体を洞察し、己の最期を先見する。

   【{少循令|しょうじゅんれい} 齢8から14】
 これ、{只管|ひたすら}に修行。目的の学と、行動の学。そして、知命。

      《 運命期 》

   【{青循令|せいじゅんれい} 齢15から21】
 {武童|タケラ}の基礎形成期。古来優れた人物を見るにつけ、これみな、この青循令の時代に、一生の基礎を築いているように思う。「政治家とか実業家とかが、どんなもんなんか」は、{判|わか}らんけんどもが、少なくとも学問とか思想とかは、遅くともこの時期に確立している。
 またこの時期は、七つの循令の真ん中、{頂|いただ}きである。万が一、立命期の少循令で出遅れていたとしても、遅くともここで知命し、自立開眼すれば、{武童|タケラ}としての未来は{拓|ひら}ける。
 更には、幼循令で先見した己の最期が、具現として見えてくるのも、この時期だ。それは、日常の求道的な生活態度の中に、{顕|あらわ}れる。正に、「日々教学、己以外の人すべてが、我が師なり」で、ある。ここで、幼循令の時期に読んだ偉人の自伝を、読み直す。先人偉人たちにも、師となってもらうが{為|ため}である。

   【{若循令|じゃくじゅんれい} 齢22から28】
 文明界であれ自然界であれ、学業を終え、その社会で、{何某|なにがし}かの責任を負う。これ、使命の{顕|あらわ}れ。天命の、自覚である。家庭においては父と成り、母と成る。成るとは、徳の修得である。責任重大、それすべてが重責……{故|ゆえ}に、自己充実を要する。

   【{自反循令|じはんじゅんれい} 齢29から35】
 {既|すで}に確立し、充実しているこの年代、その時機に及んで、飛躍など望めず、{最早|もはや}冒険など、許されない。{愈々|いよいよ}{以|もっ}て天命を{畏|かしこ}み畏み、知命した己の天命を果たすべく、その運命の{一道|いちどう}を歩むのみ。
 また同時に、、己に関する心の問題の{些細|ささい}を{退|しりぞ}け、後進への指南と他者や社会への奉仕貢献を、これ、己の些細に先んじて実践行動するものなり。事実、これを実践した先人偉人は、枚挙に{暇|いとま}がない。江戸時代初期の陽明学者で、中江{藤樹|とうじゅ}。そして法然、親鸞、道元……{況|いわん}や!

   【{格物循令|かくぶつじゅんれい} 齢36から42】
 踏み{止|とど}まる。振り返る、原点に戻る。己を正す、天命を{格|ただ}す。改めて、運命の一道を、歩きはじめる。特に、若き{或|ある}いは幼き後進から学ぶ姿勢が、肝要。この年代に限っては、行動の学に先んじ、{聴聞|ちょうもん}による学を第一とする。
 これを代表する実践者……偉人の一人として、寺学舎が儒学の中核に置く陽明学の開祖、王陽明先生がいる。

   【{致知循令|ちちじゅんれい} 齢43から49】
 幼循令の時期に読んだ偉人の自伝を、読み直す。二度目の読み直しだ。遂に完成した、我が{境涯|きょうがい}。これ正に、自由{闊達|かったつ}。誕生より{今日|こんにち}に到るまで、日々刻々、ただコツコツ、地道な脚下の徹見透察が、〈今〉をつくる。

 以上。
 蛇足を記す余力なし。

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「教学編」 _/_/_/
 平成28(2016)年8月創刊
 旧メルマガ名: 「ジージスイッチ」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、木金土日の朝7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「自伝」編 》
 今週の配信は、水木金土の夜7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001131415.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「自伝編」土曜夜7時配信 R3.3.13 一息66

#### 後裔記「後裔記で弱音は吐けないが、本音は吐ける」 少年サギッチ 齢9 ####

 スピアに託した。おれが見た夢の翻訳……元い。{梗概|こうがい}の編集。おれの夢の走り書きは、難解な形象文字が列するのみ!

 一つ、息をつく。

 オオカミ先輩だったっけぇ。後裔記で弱音は吐けないって書いてたのは……。確かに、みんな、そうだと思う。おれも、そうだ。塾生のみんなに、公開されるんだから……そして、ひょっとしたら、ご祖先の皆さまにも!
 しかも、万が一(……って、失礼!)、おれらの時代の後裔記が、亜種記の諸書ともなれば、もっと広く現在過去未来の多くの人びとに読まれてしまう。だから、後裔記で……然修録もそうだけど、ここそこで弱音を吐けば、一族の末代までの恥……元い。過去の大祖先の代から、未来の末代までの恥なのだ。
 本音の百パーセントが弱音かっていうと、そんなこともない。後裔記や然修録に書いていることの百パーセントが強がりの{偽|いつわ}りかというと、そこまでではないと思う。でも、どうにもこうにも、合点がいかない。
 弱音を隠すために、悪意はないにしても、強がりや偽りを含む薄化粧の文章を書いて、そんな自分も、学友たちが書いた薄化粧……{或|ある}いは厚化粧かもしれない文章を読まされ、それを{真|ま}に受ける……或いは、信じた振りをして、蔭では、「よく言うなッ! まったくーぅ♪」と、{唾|つば}を吐き出すように{独|ひと}り{言|ご}ちる。
 でも、そうは言っても、悲しいかな、男という生き物は、実に感化され易い。強がることが、当たり前……{何|いず}れそれは、本音に成長する……てか、{化|ば}ける。
 でも、女性は、どうか。ヨッコ門人にしたって、マザメ様にしたって、ツボネエちゃんにしたって、あの強がり{方|かた}は、{脅威|きょうい}だ……元い。脅威だ!……ありゃりゃ、失礼! {遣|や}り直し。{驚異|きょうい}だ。
 ん? 不承知? そう、その不承知こそが、極めて現実的な不可解なのだ(←そうそう、それそれ! ← これ、男どもから届くであろう、感想♪)。
 なんか、余談で終始しそうなので、ここで、閑話休題。

 おれは、スピアの野郎みたく、一夜にして、夢の大半を顕在意識に{写|うつ}し取るような珍妙な芸当は、でぎねーぇ! でも、毎夜毎夜、黒{鷺|さぎ}くん座黒くんの会話の{場面|シーン}は、おれの夢の中で頻繁に上演される。
 もっと正確に言えば、それは、どの夜の夢も、まったく同じ場面なのだ。同じ場面なのに、目が覚めて覚えているその断片は、毎回毎回、異なる。まったく、異なる会話なのだ。{更|さら}に詳しく言えば、その大半が、座黒くんの講釈。黒鷺くんは、聞き役……みたいな。
 ある朝、目覚めたときにどうにかこうにかまだ覚えているその断片を、ノートに走り書きした。短い秋の時令の間、ほぼ毎日といっても、ちょっとしか言い過ぎじゃないくらい……みたいな。
 で、それを、{繋|つな}ぎ合わせてみた。まるで、{パズル|puzzle}({謎|なぞ}{解|と}き)だ。結果は、言わずもがな。意味不明!
 そこで、思いついた。スピアの後裔記を読んだから……だけど。似たような夢を見たアヤツなら、もうちっとは、意味の通る会話に{纂|さん}じ直してくれるんじゃないかなって……。
 てな{訳|わけ}で、〈おれ無責任編集〉の夢物語が書き殴られた後裔記下書き用のノートを、スピアに見せた。
 マジで、{嫌|イヤ}そうな顔! まだ、何も言ってないのに……。
 そこまでは、まだ良かったが、少々間をおいて、次にスピアの口から出た言葉は、社史の〈二極代々記〉の要約を、スピアに振ったことへの非難。(ここでそれかい!)と、思うも、容赦はない。しかも、{轟々|ごうごう}と……。
 で、結局、本題に入れぬまま、その{場面|シーン}は、終わる。おれは、無言のまま、おれの下書きノートを、スピアの胸に差し出す。そして矢庭に、その場から{颯爽|さっそう}と立ち去り、その数歩ののち、とぼとぼと背中を丸めて歩きはじめた。
 そして{今宵|こよい}……。
 おれが、この後裔記を書いているころ、スピアが、おれの下書きノートを広げて、パズルとい奮戦格闘してくれていることを、切に願うばかりである。
 ヨ・ロ・シ・クーゥ♪ ですです(アセアセ)。

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「自伝編」 _/_/_/
 平成22(2010)年4月創刊
 旧メルマガ名: 「オールドパパスの配信小説」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、水木金土の夜7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「教学」編 》
 今週の配信は、木金土日の朝7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001675353.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //

第4集「教学編」土曜朝7時配信 R3.3.13 一学62

#### 然修録「{曲者|くせもの}はプロ野球に在り。{神髄|しんずい}は『葉隠』」 少年スピア 少循令{猫刄|みょうじん} ####

 輪番の解説、提唱……恒令の次! *曲者を、ご存知か*。現代は、プロ野球に在り。*その神髄*を、『葉隠』が解き明かす!

 一つ、学ぶ。

 輪番の解説……恒令が、やっと終わったね。
 次は、何がいいと思う? 座学で、あまり触れてないっていうか、{殆|ほとん}どみんな{解|わか}っていない{循令|じゅんれい}……これにしない? だって、然修録で年齢を表すことくらいしか、知らないから。
 ぼくの年齢は、少循令猫刄。循令は、七年間。少循令は、七回ある循令の二番目。だから、生まれてから八年目が、始まってるってこと。猫刄は、循令七年間の、三年目。……ってことは、八年目から始まった少循令の三年目ってことだから、ぼくの年齢は、10歳ってことになる。
 当然、この年齢は、後裔記の年齢と、一致してる。後裔記では、〈{齢|よわい}10〉と、書く。
 ここまでは、もうみんな、解ってる。でも、なんでミョージン〈猫刄〉なんだか。少循令の最後の年までに、知命しなきゃいけない。それくらいのことは、{判|わか}ってる。だけど、その少循令が、七つある循令のなかで、どんな意味があるんだか。
 これは、さすがに、荷が重い。学人か門人の先輩に、託したい。それでもダメなら、{先達|せんだつ}{武童|タケラ}のご登場ーォ! ってことに、なったりしてね。
 {閑話休題|さてっと}。
 ではでは、ここでやっとこさ、今日の本題(アセアセ)。

   《 {曲者|くせもの}は頼もしき者 》

 こんな話を、本で読んだ。プロ野球の試合。同点。九回裏の攻撃。{既|すで}に{二死|ツーアウト}で、{走者|ランナー}は一塁。バッターは二番か三番か書いてなかったけど、普段はそんなに目立たない地味なタイプの中距離バッター。
 ファンは、{固唾|かたず}を{呑|の}んで、見守っている。一様に、({四球|フォアボール}でもボテボテの内野安打でもいいから、何とか四番の大砲にまで、{好機|チャンス}を{繋|つな}いでくれッ!)と、腹の中で願いながら、見守っている。まァ、当然だね。
 バッター、一塁二塁間への流し打ちの構え。手堅い。さすが、賢明だね。ピッチャー、当然、そうはさせじと、内角ギリギリに、刺し込んでくる。ところがこのバッター、「ありがとーォ♪」とでも言わんばかりに、余裕の{体|てい}で、{会心|かいしん}の一振り!
 その打球は、特大の{弧|こ}を描いて、レフトスタンドに、{叩|たた}き込まれた。{呆気|あっけ}なく、ゲームは{幕切れ|サヨナラ}♪
 普段から明朗快活で知られている勝利監督が、一言。
 「いやーァ。クセ者だねーぇ、彼はーァ♪」
 この監督は、曲者の意味を、知っている。
 『{葉隠|はがくれ}』に、{斯|こ}うある。
 「曲者は頼もしき者、頼もしき者は曲者」と。
 ではでは、その曲者って、どんな人?
 『葉隠』のなかで曲者とは、武士道の実践者であり、主君と{御家|おんいえ}のために、真に役に立つ武士……{云々|うんぬん}と、ある。
 これを、前述の曲者選手に{譬|たと}えると、スポーツマンシップの実践者であり、監督と{球団|チーム}のために、真に役立つ選手……云々と、なるよねッ? なるほどこの監督、解ってる♪
 曲者とは、普段は地味で目立たない存在であり、優等生やキャリア組の官僚や花形選手のように、いつも陽の当たるところばかりを歩んでいる人たちとは、一線を画する。
 そればかりか、{寧|むし}ろ、周りからチヤホヤされるような境遇を{嫌|きら}って、目立つ前に{敢|あ}えて、一歩{退|の}く。そして、人目につかぬところで武士道の{吟味|ぎんみ}に励み、主君や御家、社長や会社、監督や{球団|チーム}のために何を{為|な}すべきかを、独り静かに{勘案|かんあん}を重ねる。
 曲者とは、そんな人物なのだ。
 そして、実は、その肝要は、まだ{更|さら}に、その先にある。
 「ここぞッ!」というときには、意外と、誰も出ようとしないものだ。御家や会社が{危殆|きたい}に{瀕|ひん}しているようなとき、大概の人は、おろおろとして、上司や同僚の陰に隠れて、前に出ようとはしない。まァ……これも、当然。
 ここで、{勇躍|ゆうやく}登場するのが、曲者だ。
 {況|いわん}や、それだけでは、終わらない。思いもよらず、{驚愕|きょうがく}の目覚ましい活躍をして、主君や御家を、危難から救う。まるで、テレビドラマのヒーローものや、水戸の黄門さまみたいだけど……それこそが、曲者なのだ。
 ……と、『葉隠』は、物語っている。
 話が脱線しそうなので、『葉隠』を、主題に{据|す}える。
 「御家を一人して{荷|に}ない申す志」
 ここでは、武士は、自立した個人でなければならぬと、言っている。その自立とは、ここにある〈志〉というものを胸に秘め、能動的であり、強烈な意志が、燃えるような信念となることだ。
 ここまでを見てくると、『葉隠』が最も嫌う武士像というものも、見えてくる。それは、社長命令が下ったのをいいことに、事なかれ主義で、{唯々諾々|いいだくだく}(イエスマン)で、社長や上司には{恭順|きょうじゅん}な態度で接しながら、陰では、不平不満や愚痴悪口を、ダラダラと垂れ流しているような社員、家臣、選手、等などだ。
 「事によりては主君の仰せ付けをも、諸人の愛相をも{尽|つ}くしても……云々」とあるように、主君を怒らそうが、周りから愛想を尽かされようが、己が信ずるところあらば、それを貫かねばならぬときもあると、言っている。
 更には驚くことに、また、欧米の契約社会的なことまで、言っている。
 自分の名誉を侵害する者がいたら、たとえその相手が主君であっても、その不当を断固、申し立てるべきだと。また、自分の働きに対する評価や{褒賞|ほうしょう}が理不尽に過小であることが明らかである場合は、「{一入|ひとしお}{勇|いさ}み進み{候|そうろう}」とあるように、それに異議を申し立ててこそが至誠だ、とも言っている。
 安月給や万年平社員や窓際族で、「まァまァ、{面目|めんぼく}ない♪」なんて言って、ヘラヘラと笑っているようでは、「あの先輩、ほんまに真面目に働いとんかぃ!)と、陰口を叩かれても、致し方ないってことだ。
 意外と、問題多き組織に長年{強|したた}かに居座っている目立たない社員や従業員の中に、この曲者とやらが、隠れ{潜|ひそ}んでいるものなのかもしれない。
 {因|ちな}みにそれは、買い被りであることも少なくないそうです……(アセアセ)。

####

 _/_/_/ エスノキッズ心の学問「教学編」 _/_/_/
 平成28(2016)年8月創刊
 旧メルマガ名: 「ジージスイッチ」

   《 発行周期 》
 今週の配信は、木金土日の朝7時です。
 この周期は、創作の作業段階によって、変動します。
  【い】シントピック・リーディング期間
  【ろ】草稿期間
  【は】メルマガ編集期間
  【に】電子書籍編集期間
 最も時間を費やすのが、シントピック・リーディング期間です。同じ主題(テーマ)の本を、数冊読みます。一つの主題に関して、多層的な視点を持つことによって、どの論説にも{偏|かたよ}らない、客観的な解釈を実現できます。

   《 エスノキッズ心の学問「自伝」編 》
 今週の配信は、水木金土の夜7時です。
 https://www.mag2.com/m/0001131415.html
   《 メルマガ「バックナンバー」 》
 http://www.akinan.net/
   《 電子書籍 》
 最新刊 R3.7.1 発刊予定 『亜種動乱へ(中)』
 既刊 (1) R3.3.1 発刊 『亜種動乱へ(上)』
     289円(税込) ASIN: B08QGGPYJZ

   《 レーベル 》
 東亜学纂学級文庫
   《 発行 》
 東亜学纂
 AEF Biographical novel Publishing
 // AeFbp //